2003年に芸術の森美術館で開かれ、道内中堅の現代美術作家の水準の高さを見せた記念すべき展覧会となった「北の創造者たち 虚実皮膜」展。その出品者のうち、4人の「その後」を紹介する展覧会が、同館で開催中です。すでに、坂巻正美さんと上遠野(かとおの)敏さんの個展が終わり、現在は鈴木涼子さんの個展となっています。
東京都写真美術館でのグループ展や上海ビエンナーレへの出品などめざましい活躍を続けている鈴木さんのこれまでの作品については、下記のリンク先をご覧いただくことにして、今回は、あっさりと。会場もわりと、あっさりした雰囲気だったので。
今回は、昨年の個展で発表した「HOME LIGHT SERIES」ではなく、03年の「虚実皮膜」展で展開していた「ママドール」シリーズの続きといえそうな写真作品。
会場左側には、西洋人の顔を二重写しにしたカラー作品がならび、正面と右側にはモノクロのヌード写真が展示されています。
前者は、とくに解説がなかったので「ママドール」とおなじ方法論で制作されたものかどうか、つまり、母と娘のネガを重ね合わせてプリントされたものかどうかはわかりません。
後者は、8つ切ほどの小さなものと、高さ2メートルを超える巨大なものとがあります。小さいほうには着衣の写真もあります。いずれにせよ、共通しているのは、横に人物が並んでいることです。男性のヌードは正面を向き(性器は自然なかたちで手で隠されている)、男女のヌードは背中を向いていますが、ふたりとも似たようなポーズをとっています。背景は白く飛んでいます。
ひとりのヌードならありきたりですが、ふたりが対のポーズで立って(あるいはすわって)いるところに、作者の意図がかくされているのではないでしょうか。
あまり断定的なことはいえませんが、わたしたちはひとりでは生きていけない、お互いに依存しあって暮らしている存在であることなどを、思わずにはおれません。
うつくしいモデルなどではない、中年の夫婦とおぼしき男女が背中を向けて立っている写真は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの「Two Virgins」の裏ジャケットを思わせますね。
背中のしわに人生が刻まれています。
2月14日-3月5日
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
このつぎは、伊藤隆介さんです。
□gaden.comのロングインタビュー
■05年の個展(画像あり)
■挿絵展(02年 画像あり)
■リレーション・夕張(02年)
■2002年の札幌美術展
■01年の個展(画像あり)