北海道美術ネット新館

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道外の国際芸術祭

2019年秋の旅 さくいん。あるいは、なぜ9月下旬に旅程を組んだかという話

この文章を書いているのは10月14日。 本日をもって、過去のこの手の催しとはくらべものにならないほどの多くの話題を提供した「あいちトリエンナーレ2019」が閉幕する。 9月28日に筆者が「2019年秋の旅」から帰ってきたとき、可能ならばあいちトリエンナーレ…

岡山芸術交流(3) 2019年秋の旅(83)

(承前) 岡山芸術交流は、ひとつの会場で少数のアーティストの作品しか発表していないので、移動にそれなりの時間がかかりました。各会場間の距離はそれほど離れておらず、すべて徒歩圏内でしたが。 ただ、チケットを買った際に渡された地図がひどかったです…

岡山芸術交流(2) 2019年秋の旅(82)

(承前) 前回の更新から1週間以上が過ぎてしまい、旅も終わりに近づいて筆者のモチベーションがダダ下がりなのがはた目にもバレバレになっており、申し訳ありませんが、がんばって続きを書こうと思います。 前項で筆者は「岡山芸術交流」に否定的なことを書き…

岡山芸術交流(1) 2019年秋の旅(81)

(承前) この「秋の旅」の日程はさくいんにも記したとおり「岡山芸術交流」の開幕に合わせたものなのだが、結論から先に言うと(そして、もう会期はおわっているから営業妨害にはならないだろうけど)、東日本大震災からの復興という背景があってその土地にし…

四間道・円頓寺と鷲尾友公「MISSING PIECE」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(77)

(承前) 「円頓寺の夕暮れ : 2019年秋の旅(54)」でも紹介したので、しつこいと感じる方もおられるかもしれないが、今回のあいちトリエンナーレ2019で、ほんとに「意外な収穫」(つまり、ホー・ツーニェン作品が良かったとか、モニカ・メイヤーと藤井光が重たか…

毒山凡太朗「君之代」に見る「あいトリ」の幅の広さ あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(76)

(承前) 円頓寺商店街エリアで、もうひとつ気になっていた作品。 公式サイトでは、次のように説明されている。 この会場には、3つの作品が展示されています。《君之代》では、1895年から50年間に及ぶ日本統治時代に国家教育を受け、日本語を話すことができる …

弓指寛治「輝けるこども」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(75)

(承前) 超長期連載となっている「2019年秋の旅」だが、冗談でも何でもなく、4カ月も前のことはかなり忘れかけているので、先を急ぎたい。 幸か不幸か、アート関連の記事は、もうあと数本しか予定していないから、簡略にいきます。 四間道・円頓寺 し け みち…

高嶺格「反歌:見上げたる 空を悲しも その色に 染まり果てにき 我ならぬまで」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(71)

(承前) 豊田市美術館を出て、となりにある旧豊田東高校のプールに足を運ぶ。 ここは10年以上前に高校が移転した跡らしい。 今回訪れた3カ所では、学校のプール跡がいずれも会場になっていた。 高嶺格さんの作品は、いつも、言語化が容易でない部分をはらんで…

スタジオ・ドリフト「Shylight」 あいちトリエンナーレ :2019年秋の旅2019(70)

(承前) 豊田市美術館の館内で印象的だった作品を、もうひとつ。 こちらは、ロネケ・ゴルダイン(1980年生まれ)とラルフ・ナウタ(1978年生まれ)により2007年、アムステルダムで設立されたユニットによる発表。 冒頭画像は、作品を真下から見上げて撮ったも…

レニエール・レイバ・ノボ「革命は抽象である」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(69)

(承前) 豊田市美術館でいちばん良かったと思う作品について書く。 天井からは、巨大な人の指先がにょきっと生え、床の上には、旧ソ連の国旗にデザインされ、そして共産主義のトレードマークともいえる鎌とハンマーの一部が置かれている。 通称「カマトンカチ…

豊田市美術館への道 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(68)

(承前) あいちトリエンナーレ2019が終わってしまったいまとなっては、すでにどうでもいいような情報なのだが、なにを言いたいかというと 豊田市美術館は山の上にある! ということだ。 次の画像は、館に向かう坂の途中の風景。 今回の豊田市行きは「ホー・…

和田唯奈「しんかぞく」  あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(67)

(承前) 先を急がなくてはならないのだが、豊田市会場で異彩を放っていた若手の作品にちょっとだけ触れたい。 上の画像に「レンタルあかちゃん」とあるから、利重剛が若い頃に撮った短編映画「レンタチャイルド」のようなものかと思ったら、まったく違った。 …

小田原のどか ↓(1923ー1951)  あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(66)

(承前) この作品を見たのは、ホー・ツーニェンの重量級の作品に圧倒された直後だった。 つい忘れがちになるけれど、起源からいえば、上に載っている像よりも大事な存在である「台座」そのものをテーマにした作品だ。 何の台座かというと、前項の最後にカラ…

小田原のどか あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(65)

(承前) 前回の記事から半月以上がたってしまった。 しかし、ここまできて、完結をあきらめるわけにはいかない。 小田原のどかさんの作品は、豊田市駅周辺の2カ所に展示されていた。話の都合上 ↓ (1946-1948 / 1923-1951) と題された、名鉄豊田市駅下の展示か…

トモトシ「Dig Your Dreams.」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(64)

(承前) 豊田市駅の周辺では、実際に見た順番とは違う順で作品を紹介していこう。 豊田市、ということで、あのトヨタ自動車に題材を得たトモトシさんの作品は、わかりやすくオモロカシイ(©江口寿史)ものだった。 だいたい、タイトルからして、トヨタのCMで…

喜楽亭から豊田駅前へ あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(63)

(承前) 「旅館アポリア」についてはまだ書きたいこともあるが、会場があまり広くないので、会期末にはかなり窮屈な思いをしたり、入るまでに待たされた人も多いのではないかと思う。ただ、この会場あっての作品であり、たとえば美術館の一角であれば、特攻隊…

続き 京都学派と「旅館アポリア」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(62)

(承前) ところで、この作品を見た人や、前項を読んだ人の中には、特攻隊や小津安二郎など先の大戦を取り上げた作品で、どうして京都学派という日本の哲学・思想が登場するのだろうとふしぎに感じた人もいるだろう。 京都学派といっても、はっきりと輪郭が決…

ホー・ツーニェン「旅館アポリア」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(61)

(承前) ホー・ツーニェン「旅館アポリア」が発表された会場の「喜楽亭」について、豊田市文化振興財団のサイトには次のように書かれている。 豊田市神明町にあった「喜楽亭」は、明治時代後期から続いた料理旅館で、大正期の代表的な町屋建築として知られて…

なごのステーション あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(58)

(承前) なごのステーションは、四間道(し け みち)・円頓寺(えんどうじ)エリアの拠点だが、さすがに2カ月以上たつと、どんな場所であったのかすっかり記憶が薄れている。 あまり大きくない会場(学校の教室よりもすこし狭い印象)で、札幌国際芸術祭2017やさっ…

葛宇路 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(57)

(承前) これも前項のキュンチョメ作品と同様、ツイッターなどで世評の高かった作品。 円頓寺商店街の現地近くまで行ってみたら、会場ボランティアの人たちが 「一番おもしろいと評判ですよ、どうですか」 などと呼び込みをしていたのが面白かった。 商店街ア…

キュンチョメ「声枯れるまで」 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(56)

(承前) 北海道に帰るまで知らなかったことがいくつかあった。 「キュンチョメ」というのは男女2人によるユニットであること(ツイッターのアイコンが女性の顔なので、彼女のペンネームなのだとばかり思っていた)。こちらのnote によると、会場には三つの作…

「ふれあいえんどうじ」とアイシェ・エルクマン あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(55)

(承前) いまごろになって「あいちトリエンナーレ2019」を回る際のコツみたいのを書いても情報としては意味がないのだが、それでも記録しておくと、名古屋の両美術館以外のエリアについては、ローカルのインフォメーションカウンターみたいな場所がわかりやす…

愛知芸術センターから四間道へ 2019年秋の旅(53)

(承前) 地下に降りて、コーヒーショップで一服。 以前なら、ただですわれる長いすなどを探していただろうが、今回の旅のテーマ(?)が「貧乏くささからの脱出」なので、コーヒーぐらい飲むのだ。 喫茶に隣接した愛知芸術センターの情報コーナーはなかなか充実…

閉ざされていた部屋のこと あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(52)

(承前) 「表現の不自由展・その後」は、閉ざされていた。 この数日後に、扉は再び開いたのだが。 「あなたは自由を奪われたと感じたことがありますか?」 との問いかけに、ポストイットに自分のことばを書き付ける。 ここで展示を見る権利が奪われたことを記…

袁廣鳴(ユェン・グァンミン)「日常演習」 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(51)

(承前) そろそろ愛知芸術センターの感想を切り上げて次に行きたいのだが、あと1人だけ。 台湾の台北生まれ、拠点の袁ユェン広鳴グァンミンの映像作品「日常演習」には、ちょっとびっくりした。 巨大都市・台北を上空からドローンでゆっくり撮影しただけの映…

「アート・プレイグラウンド」が楽しすぎて子どもたちがうらやましい! あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(50)

(承前) さまざまなタイプの作品に接することができた「あいちトリエンナーレ2019」の中で、文句なしに楽しさナンバーワンに感じられたのが、この「アート・プレイグラウンド」だった。 子どもたちや親子連れが会期中無料で参加することができ、ふんだんに用…

パンクロック・スゥラップ「進化の衰退」 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(49)

(承前) マレーシアのアーティスト集団「パンクロック・スゥラップ」による、縦1.1メートル、横4.3メートルの巨大な木版画。 マレーシアといっても、首都のある半島ではなく、その対岸のボルネオ島の北部であり、筆者はよく知らないけれどジャングルが残る熱…

ウーゴ・ロンディノーネ「孤独のボキャブラリー」。その場を去りがたくなるインスタレーション。 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(48)

(承前) エキソニモ「The Kiss」とならんで、あいちトリエンナーレ2019のアイコン的な存在のインスタレーション。 専有する面積も他のアーティストの倍ぐらいありそうだ。 フライヤーなどにも採用されていた写真は、あいちトリエンナーレ2019の会場ではもちろ…

「さよならテレビ」 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(47)

(承前) 筆者は以前、自分が訪れた時期は、話題の「表現の不自由展・その後」が閉鎖し、サカナクションやユザーンのプログラムは終わっている一方で、終盤の小泉明郎さんの上演などが行われる前で、いわば「谷間の時期」だったと書いたが、タイムリーなプログ…

伊藤ガビン「モダンファート 創刊号 特集 没入感とアート あるいはプロジェクションマッピングへの異常な愛情」 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(46)

(承前) これは単純におもしろかった。 四角形の部屋に、人数を制限されて入れられ、十何分か(正確な時間を覚えていない。ごめんなさい)六つの面に展開する映像と音声を見るというもの。 作者本人が「雑誌のようなもの」というだけに、いくつかのコンテン…