
おれはジャパンカップが好きだ。日本ダービーや有馬記念に並ぶくらい好きかもしれない。ひょっとすると一番好きかもしれない。おれは府中の2400mが好きだし、そこで行われる唯一の古馬G1なのだから、好きでいられないわけがない。おまけに、海外の強豪がやってくる……。
……と、という「おまけに」がここ20年くらい物足りなかった。いや、去年なんかよく来たように思うが、とにかくおれが競馬を始めた頃に比べたら、そのあたりのワクワク感は減っていた。
今年の来日馬は結局一頭。が、その一頭がレーティング世界一、今年のエクリプス賞受賞馬。このクラスの馬はさすがにめったにやってこない。ただ、ヨーロッパの馬が府中の高速馬場に対応できるのだろうか?
おれが最近とても参考にしているVtuberである四条紅羽さん(この人のすごさについてはあらためて記事にしたい。というか、その知識の深さはこの動画でもわかるだろう)によれば、今の府中は欧州血統が好走しており、欧州短距離血統でカランダガンは勝負になる、とのことだった。
カランダガンありかな? と、思って週末を迎えた。オッズの蓋を開けてみると、カランダガンは人気していた。ちょっと予想外に人気していた。たとえば、東スポの予想を見ても、虎石晃と松浪大樹が本命にしていたし、わりと競馬メディアでも「あり」のようだった。そして何よりも、「今年のカランダガンが好走しなかったら、もう外国馬まったく来てくれないんじゃないのか?」という競馬ファンの思いがあった……のかどうか。
おれにもその思いはあった。しかし、貧乏人が手を出すにはむずかしいオッズだ。海外遠征というものはそれだけで力を出し切れるかという話もある。カランダガンは内心応援しつつ、抑えに回すことにする。
では、なにから買うか? それも四条先生の解説に乗ることにした。ブレイディヴェーグ、これである。なにやら使うレースであれやこれや言われることの多かったこの馬。たしかになんでエリザベス女王杯馬がマイルをうろうろしているのかは少し不思議だった。とはいえ、府中牝馬ステークスは強かった。府中の2400で引退レース。引退レースというのはまたこれで一つ考えるところもあるが、豪脚炸裂で……三着くらいないかな? という馬券。相手も先生に従ってカランダガン、タスティエーラ本線、ジャスティンパレス、クロワデュノール、ダノンデサイル、マスカレードボール、シンエンペラーあたりへワイド、三連複。あとは、推しの馬ということでシンエンペラーの単勝とワイドなども買う。
さてレース。いきなり落馬発生。スタート直後にアドマイヤテラの川田が落馬。この空馬がレースに参加してしまう。シンエンペラーあたりが逃げるんじゃないのかと思っていたら、セイウンハーデスが後続を引き離す。1000m57秒台。昭和であれば「テレビ馬」と呼ばれるかもしれない。ブレイディヴェーグが最後方を進む。そのくらいでいいかもしれない。
直線、先頭争いに空馬が絡みつつ、人気薄の逃げ、先行勢が力尽きる。カランダガンはまだ後ろ。ブレイディヴェーグも最後方。そこで出てきたのはなんだ? クロワデュノール。
クロワデュノールが伸びてくる。今回、クロワデュノールはおれにとって困った存在だった。最終追い切りまで出走を決断していなかった海外帰りの馬。いや、凱旋門賞帰り自体はあまり問題ないかもしれないが、その出走過程が気になった。パドック見てもわからん。血統も向いているというし、実力は折り紙付き。抑えないわけにはいかなかった。
が、その外からマスカレードボールとカランダガンが合わせ馬で追い込んでくる。リアルタイムではカランダガンいつの間に? という印象だった。ブレイディヴェーグはまだ後ろ。もうこうなったら心情だけでカランダガンを応援するしかない。最内に空馬、少し抜け出したマスカレードボール、追い詰めるカランダガン……!
結果、ゴール板を先頭で駆け抜けたのはアドマイヤテラだった。が、それはどうでもいい、問題のゴール板前、カランダガン差し切った……? ように見えた。バルザローナとルメールが握手する。そしてタイム表示「2.20.3」。え? レコードやんか! と、思ったら、ダノンの勝負服と社台の勝負服が落馬していえる映像に。また空馬が二頭発生してどっか走っていく。いや、ダノンデサイルとマスカレードボールじゃねえか。なにがあった? なんか戸崎、痛そうにしているぞ。あ、空馬のマスカレードボールがつまずいた、こっちも大丈夫か? いや、なにが起こっているんだ?
とはいえ、いや、20年ぶり、海外馬の勝利! しかもアーモンドアイのレコードを破った! むちゃくちゃすごいやんか! すげえレースだった! もう最高!
……が、一応タイトルを「ほぼ最高」にしたのは、空馬が気になったのと、レース後の落馬と、おれの馬券が当たらなかったことによる。ブレイディヴェーグも最後がんばったが6着まで。健闘したんじゃないのだろうか。マスカレードボールは強かったな。ダノンデサイルは馬体重やパドックに疑問符がついていたが底力あった。クロワデュノールは、四条先生によれば先行ではなく差しに回ったほうがいいというが(それはおれにはわからんが)、先行から力を見せて4着。5着ジャスティンパレスは息の長い活躍をしている。
ま、ベリーベリナイスなレースだった。これでまた来年以降も外国馬が来てくれるかもしれない。というか、騸馬だしカランダガンがまた来るかもしれない。来年は来年の馬場とメンバーがあるだろう。来年またジャパンカップを見たいものだ。