◯働き方改革(6)ドラマ『ブラック・プレジデント』「ブラック企業」
「ブラック企業」問題へのアプローチ
この作品は2010年代に社会問題化したブラック企業を扱うものです。
三田村は、経営方針を勝つための正論と疑わず、社員を酷使している自覚もないCEO。
だが大学で経営学を学ぶことで、初めて自分が正しいと思い込んでいたことの危うさに触れていくのです。
一方で、彼を悪役とせず、経営に必要な現実主義を体現する人物として、理想だけで動こうとする大学の弱点をえぐり出しています
この対立が「働くとは何か」「企業とは何を担うべきか」という問いを投げかけるのです。
三田村は、社会人学生として教授陣と対等に議論し、企業側の理論で論破します。大学教育が理想論に偏りがちで、また、学生たちが学ぶ意味を見失っている現状を浮き彫りにしていくのです。
秋山杏子の教育論との対立は、現実社会が抱える問題、労働観、キャリア形成、自己肯定感、価値観の多様性へ広がります。秋山の理想主義は、正しくありたいという願望、
三田村の合理主義は、現実を生き抜く力です。
これは、人間ドラマとしての成長物語としてみることもできます。
三田村に、大学は、世界を見直すためのリハビリのように作用し、学生との関わりによって、他者の痛みに気づける人間へと変化していくのです。
逆に学生や秋山も、三田村から理想を守るための強さや現実を見据える視点を獲得していきます。相互の変化が描かれることで、作品は、社会風刺を超えた成長群像劇へとなるのです。
ブラック企業問題を、笑いと風刺を交えて、わかりやすく娯楽形式で、働き方の問題を考えさせます。教育の意義や学び直しの価値もあるでしょう。
社会人学生ということで生涯学習やキャリアの再構築というテーマにも広がります。

