Dolcissima Mia Vita

A Thing of Beauty is a Joy Forever

短歌

題詠百首2025 詠草

五十嵐きよみさん主宰の「題詠百首」(facebookで開催)おかげさまで今年も完走しました。いつものように、特にテーマを設けずに詠みはじめましたが、詠んでいる途中で、そうだ、五首単位の連作群ならいけるかもしれない、とひらめいて、後半はそのようにな…

飯田有子『林檎貫通式』の「たすけて枝毛姉さん」について

たすけて枝毛姉さんたすけて西川毛布のタグたすけて夜中になで回す顔 これは提喩(synecdoche)、すなわち部分や付属物によって本体を指し示す比喩の歌ではなかろうか。 枝毛も毛布のタグも顔も、姉さんの一部あるいは付属するものなのだとすれば、この歌は「…

橋本俶子歌集『交野原』を読む

橋本俶子さんはうちのご近所にお住まいのご婦人で、うちがむかし焼菓子の実店舗を営んでいたころは、よくミニパウンドの詰合せを買いにお越しくださったのだった。柔和で明るく率直なお人柄のうちにも、何か確固とした信念のようなものを感じさせる、素敵な…

睦月都 歌集『Dance with the invisibles』感想

短歌の世界では名誉とされるらしい賞を受賞した歌人の第一歌集で、この歌集も何かの賞を受けたとのこと。歌壇には疎いのでよくわからないのだけれど。 いきなり揚げ足取りみたいで申し訳ないが、タイトルの invisibles にかすかな違和感をもつ。この単語が名…

題詠100首 2024

「短歌は奴隷の韻律」と喝破した小野十三郎の短歌否定論を読んだあとで、それでもここに戻ってきてしまうのは、やはりこの詩型が好きだからなのかもしれない。 五十嵐きよみさん主宰の「題詠100首」に参加しました。ありがとうございました 2024-001:言 言ひ…

題詠100首 2023

五十嵐きよみさん主催の「題詠100首」完走いたしました。主催の五十嵐さま、お世話になりありがとうございました。 2023-001:引 引き潮やあらはれいづる磯浜に春日を浴びて蟹とたはむる 2023-002:寝 みみづくも濡れそぼつらむひさかたの雨音しげく聞こゆる寝…

菅原百合絵『たましひの薄衣』を読む

人死にて言語(ラング)絶えたるのちの世も風に言の葉そよぎてをらむ 歌集の終り近くに置かれた、「禁色」と題された連作のなかの一首である。 源氏物語の柏木の禁断の恋をめぐる歌ではじまり、禁書目録、猥褻本の著者の追放、サヴォナローラの焚書、炎に包…

川野芽生『Lilith』を読む

気になっていた歌集 図書館にたのんで買ってもらったら期待していた以上でした川野芽生『Lilith』 藤棚が解体されると知らずに巣を作っている鳩のようなものなのかもしれない、私は。私を構成していたはずのものは消え失せ、ネジを巻こうとしても手首のどこ…

題詠百首2021

五十嵐きよみさん主催のFacebookのイベント「題詠100首」ことしも完走いたしました。 五十嵐さん、ありがとうございました。 2021-001:求 求愛の姿態そのまま凍らせて永久にもだせりギリシヤの壺は 2021-002:悲 悲しみの母は立ちたりみはるかすかぎり廃墟の…

「七日間ブックカバーチャレンジ」やってみました

インスタグラムで #7日間ブックカバーチャレンジ というものに声をかけていただいたのでやってみました naoya matsumoto on Instagram: “Voici des fruits, des fleurs, des feuilles et des branches Et puis voici mon cœur qui ne bat que pour vous. (Ve…

雨の歌

雨の歌 雨うけに雨おつるおとたえまなくものをおもへどあふすべのなき 雲となり雨となりても逢ふことのかなはぬ恋とさとりぬるかな あすの米あらふくりやの小夜ふけてさくらをちらす雨ふりやまず たましひのくらがり峠けふも雨妥協といふことつゆしらぬまに …

小さき額

小さき額 十二首 病める子にたべさせんとてやはらかくやはらかくうどんうすあじに煮る あづけたる園の電話に馳せゆけば小さき額に熱さましはる いつになくことばすくなの病める子をうしろにのせて重き自転車 病める子のつぶらまなこに甘ゆれば添ひ寝せんとて…

あかねいろの空

あれから34年ですね 墜落のときにあはせてそらをみるきみの最期に見しそらのいろ 御巣鷹忌墜ちし時刻にみるそらのあかね色てふかなしみのいろ かぞふればみそとせあまりよとせ経ぬあの夏の日の墜落の惨 御巣鷹にきみみまかりしその日より夏の夜ばかりうきも…

みなべのうみ

みなべのうみ 十二首 あめつちにあまねくひかり満つるあさ春告げ鳥の初音はつかに 鳥かげのよぎるつかのま見しひとのおもかげゆゑにながくなげきつ をとめごは横笛ふけりあづさゆみ春をよろこぶ小鳥のごとく 伐採をまつ森の樹にけさもまた鳥の来鳴きてわかば…

愛染坂

「愛染坂」十二首 夏の季節のために 鼻緒よりペディキュアの爪ひからせて祭り太鼓にいそぐをとめご 姿見にすがたうつしてなつゆかたくるりまはれば花咲くごとく 子のためにアイロンあつる夏ゆかたせみの声降るまつりのあさに をさなごのたべのこしたるわたあ…

江ノ電の駅

連作「江ノ電の駅」十二首 海を主題に 由比ヶ浜に夕さりくれば波のおとたかくきこえて潮みちくらし 肺腑まで海のにほひにそまりけり夏のひかりの江ノ電の駅 さねさし相模のうみの大波にさらはれしわがさんだるいづこ 材木座海岸の夏はてにけり空まふ鳶の声の…

遠景の少年

短歌連作「遠景の少年」十二首 髪二尺ばさりときつて少年とみまがふきみにあふ新学期 放課後の渡り廊下のトロンボーン木星といふ快楽の神 プール掃除のいつかあそびとなりし子らしぶきあがりてわらひさざめき 変声をむかへぬままに生涯ををへにし君の通夜の…

イスファハンの薔薇

短歌連作「イスファハンの薔薇」十二首 ガブリエル・フォーレの同名の歌によせて 咲くためのちからたくはへ冬薔薇はかたくつぼみをとぢてねむれる あづさゆみ春まつ庭の薔薇の芽のほのかにあかくいろづきにけり しろたへの薔薇一輪のさきそめぬあめはれてけ…

題詠百首2019

facebook のイベント「題詠100首」に参加して百首詠みました 主宰の五十嵐様 ありがとうございました 2019-001:我 我もまた島とならんや善悪の彼岸に寄する波のまにまに 2019-002:歓 ぬばたまの夜のふけゆけば合歓の葉のまなこをとぢてねむる吾妹子 2019-003…