Dolcissima Mia Vita

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2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『またの名をグレイス』に見る人格の複数性

『またの名をグレイス』Alias Grace 原作(1996) を読んだあと、Netflix のドラマ(全6話、2017)を見た。 原作者のマーガレット・アトウッドが superviser (顧問のようなものかしら)としてクレジットされていて、おそらく製作への助言があったのだろう、限…

スコットランドの歴史、メアリー・スチュアート、ルネサンスのシャンソンのこと

12月15日 中村隆文著『物語 スコットランドの歴史』読了。 アリステア・マクラウドの本を読んで以来スコットランドの歴史が気になり、Duolingoでゲール語 (Scottish Gaelic) を勉強し始め、ゲール語で水を意味する uisge が whiskey の語源と知る。スコット…

ミステリアスなモテット集 異端と寛容のはざまの16世紀に

このところ繰り返し聴いて心の慰めを得ているアルバムは、ロンドンを拠点に活動するヴォーカルグループ「シグロ・デ・オーロ」Siglo de Oro が2022年に発表した「ミステリアス・モテット・ブック 1539 」Mysterious Motet Book 1539 である。 「黄金の世紀」…

映画『アンオーソドックス』に見る規範(羈絆)からの脱走

ドラマ 『アンオーソドックス Unorthodox』(全4話)をNetflixで見た。 主人公のエスティが着衣のまま湖の中に入ってゆき、大きく深呼吸してからかつらを外すと、ほとんど丸刈りに近い短い髪があらわれる場面に息を呑んだ。 超正統派のユダヤ教(ハシディズ…

石牟礼道子『春の城』または無名の庶民の言葉の温かさ

石牟礼道子『春の城(完本)』読了。900ページを超える分厚い本だが、その世界にずっと浸っていたくて、出先にも持っていって読み継いでいた。 タイトルは島原の原(はる)の城、島原の乱でキリシタンたちが立てこもった城であり、その落城が春であったこと…