断捨離の一環でスキャナーで読み取ってpdf化している天文書の紹介ネタ第2弾のさらなる続編です。
1980年出版の『写真で見る彗星』には数多くの彗星が紹介されてますが、今回は1950年代に明るく観測されたものを3つほどピックアップしておきます。
まずは特異な姿になったこの大彗星。


1956年に発見されたアラン・ローラン彗星(当書での表記はアラン・ロラン彗星)です。2番目に掲載された写真のとおり、尾の一部が太陽の方向に伸びて見える〝アンチテイル〟が観測されたことで有名な彗星です。地球と彗星と太陽の位置関係により、彗星の尾のうちのダストテイルが見掛け上で通常とは逆向きに細く伸びて見える時期があったとのこと。最大光度の記述はありませんが、0等まで明るくなったらしいです。
アラン・ローラン彗星が明るく観測された1957年には、もう一つの大彗星が発見されました。

ムルコス彗星です。写真下の説明にあるとおり、既に明るくなっている時期に肉眼で発見された彗星で、各地で独立発見者が相次いだようです。実は第一発見者が横須賀市在住の倉賀野さんという日本人だったらしく、その報告が早ければ "C/1957 P1 (Kuragano)" という認識符号・名称で現在は呼ばれていた可能性があったのです。ちなみに倉賀野さんは富士山の登山中に8合目で御来光を待っている際に肉眼で地平上に雲のような天体を発見したとのことですが、それがこの彗星だったことが後に判明したみたいです。なお、この彗星の最大光度は1等でした。
3つ目は大彗星ではなく、この周期彗星です。

6年半ほどの公転周期を持つジャコビニ・ツィナー彗星(当書での表記はジャコビニ・ジンナー彗星)です。最初の発見は125年も前のことで、1959年は9回目の回帰だったことになります。短周期彗星なので割と頻繁に太陽に近づき、今年の3月にも近日点(軌道上の太陽最接近ポイント)を通過しました。比較的好条件で回帰した2018年には約7等の光度になり、小型双眼鏡で容易に確認できました。同年、個人的に撮影した画像を元に作成した過去記事へのリンクを貼っておきます。
fornax8.hatenablog.com
この彗星の軌道には地球の公転軌道に近づくポイントがあり、そこを地球が通過する際に流星群活動が認められており、10月りゅう座流星群の母彗星であることが判明しています。同流星群については1933年にヨーロッパで、1946年にアメリカにおいて数千個/時の大流星雨が観測されたことがあります。日本では1972年に母彗星が地球軌道との近接ポイントを通ってから間もない時期に地球が通り過ぎる(1946年と似たような状況になる)ことから、流星雨が見られる可能性が極めて高いと予想されながらもほぼ不発となり、期待外れに終わりました。 その一方で、ほとんどノーマークだった1985年と1998年に数百個/時の活動が国内で観測され、気まぐれな活動を示す印象があります。個人的に1998年の活動を目撃し(と言っても実際にカウントしたのは数十個/時のレベルでしたが・・・)、短時間における流星出現数の急増/急減の一部始終を見て唖然とした記憶が残ってます。
(多分つづく)