fittingboxとデザイナー【FLUU NKUU】
都心の中にあって、暮らしと仕事が交差するまち・半蔵門。
その駅前に2025年1月、新しいカフェとオフィスがひとつになった場所「COMFORT STAND FIRST」がオープンしました。
空間設計を手がけたのは、設立間もないデザインユニットFLUU NKUU(フルー ヌクー)。実はこのプロジェクトが、彼らにとっての“第一作”です。
今回、FLUU NKUUの古市 翼さんに、初の実作であるCOMFORT STAND FIRSTについて、その背景や空間づくりへの想いを綴っていただきました。
サブスク家具 fittingboxをどのように取り入れたのかについても、あわせてご紹介します。

略歴
FLUU NKUU(フルーヌクー)
古市 翼と貫井 総子による空間デザインユニット。御茶ノ水の女坂で結成。
「ふつうの、日々のためのデザイン」を心がけている。2025年1月に第一作となるCOMFORT STAND FIRSTがオープン、日本空間デザイン賞 ヤングタレント賞を受賞する。
古市 翼(ふるいち・つばさ)
1991年神奈川県生まれ。工学院大学大学院修了。ZYCC株式会社、芦沢啓治建築設計事務所を経て、2024年に独立。FLUU NKUU共同主催。
貫井 総子(ぬくい・ふさこ)
1990年東京都生まれ。工学院大学卒業。飯島直樹デザイン室を経て、独立。貫井堂として模型制作活動を開始する。2021年より工学院大学特任助教。2024年よりFLUU NKUU共同主催。
COMFORT STANDとFLUU NKUUの出会い
2025年初春COMFORT STNAD FIRSTがオープンしました。
半蔵門駅前に新しくできたスペシャルティコーヒーを提供するカフェ・オフィスであり、FLUU NKUUがデザインしたはじめてのプロジェクトでもあります。
私たちの自宅兼事務所の近くにCOMFORT STAND御茶ノ水店があり、貫井が「デザインの参考に写真を撮ってもいいですか」と声をかけたことがキッカケでした。
店長さんと話をしていると「半蔵門に新しい店舗を計画していてデザイナーを探している」と言うのですが、よくよくお話を伺うとどうも面白いビジネスモデルでカフェを運営されていることが分かってきました。このカフェを運営しているのはオフィスビルの管理会社だと言うのです。
あるとき、ビル管理会社である彼らのクライアントから「一階テナントの入居者を探すことに難航していて、小さな区画なので入居してくれないか」と話があったそうです。それをポジティブに受け止めて、小さなコーヒースタンドをはじめたことがCOMFORT STAND の成り立ちだそうです。

私にはその話がとても新鮮で、あたらしいビジネスモデルのように思えました。オーナーとしてはオープンの度に入居者を探す必要がなくなり、他の入居者としても管理人さんが顔見知りのカフェ店員でもあるということが安心感につながります。
その活動は順調につづき東京を中心に店舗数を増やしましたが、半蔵門の区画は75坪とこれまでの規模よりもずっと大きかったため、改めてデザインを見直しフラッグシップショップとして計画することになりました。
そのタイミングで偶然通りかかった私たちもコンペに参加させていただけることになり、COMFORT STAND のフラッグシップショップ プロジェクトが始まりました。
COMFORT STAND FIRSTで表現したかったこと
そこから、このプロジェクトにおける「ふつうの、日々のためのデザイン」とはなにかを考えるようになりました。
半蔵門駅の周辺、一番町を歩いていると新宿通りを中心としたオフィス街と、大通りから少しはなれた場所に広がる住宅街があることが分かります。働くひとと暮らすひとのどちらの居場所もあること、それはCOMFORT STAND FIRSTにつながっているのではないかと感じました。丁度同じタイミングで、広すぎるテナント面積を按分するためにオフィスを併設することを検討していたからです。
カフェでリラックスすること、オフィスで集中して働くこと、どちらにとっても居心地のよい空間をつくることができたら、それはこのまちで過ごす人たちにとって「ふつうの、日々のためのデザイン」になるのではないか。ベビーカーを押す親子連れとスーツのビジネスマンが並んで歩くこのまちの景色をそのままカフェの中に引き込みたい。そう思うようになりました。
そして、どちらにとっても居心地のよい空間をつくるために、私たちは「おいしそうな素材」に注目しました。
パウンドケーキの断面みたいなテラゾー、ビスケットみたいに素朴なタイル、内装のマテリアルだけど人が直感的に心地よいと感じる食べ物みたいな素材を「おいしそうな素材」と呼び、それらを空間の手が触れるところ、目に留まるところにレイアウトしました。
そうすることで、どういったシチュエーションであっても、ふとした瞬間に直感的な心地よさを感じてもらえるのではないかと考えたからです。
また、多くの人に好きな居場所を見つけてもらえるよう、席にバリエーション設けお互いが気にならない距離感を大事にしました。店員さんと話しやすいカウンター席、ペットフレンドリーな屋外席、作業のしやすいビックテーブルやハイテーブル、お喋りや商談でつかいやすいラウンジやブース席など、多様な人の受け皿になる空間を目指しました。
オープンしてみると、このカフェにはビジネス利用のオフィスワーカーと赤ちゃん連れの親子が同じ空間の中で過ごすという景色が広がるようになりました。書類片手に商談するビジネスマン、ノートPCで作業するクリエイター、学校から帰ってくる子どもを待つパパ、赤ちゃんを連れて開催されるママ会、それらが同じ空間の中で日常的に起きています。
それは、このまちの人たちによく似合う景色で、でもほんのすこしユーモアのある出来事だと思いました。
fittingboxについて
一方で、カフェ利用を想定した席とワーク利用を想定した席のバランスについて悩みました。オープンしてみないと利用率の傾向が分からなかった為です。
そこで少し家具の台数にゆとりを持たせ、部分的にfittingboxを活用することにしました。家具のサブスクサービスを取り入れることで、将来的にカフェの席やオフィス家具の追加が必要になった時に購入するよりも気軽に対応することができるからです。
まずはfittingboxの家具を屋外のベンチにだけ使うという最小限の活用からはじめました。
気候のいいシーズンには屋外ベンチの台数を増やしたり、季節に合わせてデザインを変えたりと柔軟な対応をすることで街と空間が気持ちよくつながってほしいと考えています。
購入する家具とサブスクを組み合わせることは、クライアントにとって安心できる要素だと思います。どのような家具がどのくらい必要なのか分からない状況でも、落ち着いて分析する時間をつくることができますし、将来への投資として空間に余白を持たせることができます。
おわりに
COMFORT STAND FIRSTでこういった景色をつくることができたのは、カフェが持っている状況と敷地のつながりに気が付くことができたからだと思います。そういった言葉にならない小さな気配を丁寧に拾い上げることがデザインには大事なのだと改めて感じるプロジェクトでした。
その他にも、書ききれなかった細かなディテールがたくさんあります。空間全体に、昼と夜の明るさの変化でムードが変わる淡いグレーを用いていること。照明やドアハンドルに至るまで制作し、クラフトマンシップのあるディテールを心がけていること。実際に体験していただけたら嬉しいです。
また、fittingboxを採用したことで、「決めないでおくこと」が私たちの選択肢にあるということに気が付きました。クライアントもデザイナーもプロジェクトが始まるとたくさんの決断が必要になります。心のどこかで「決めなくては」と思ってしまうこともありますが、fittingboxは家具の選択に余白をもたらしてくれます。
「まだ決めなくてもいい、分かった時に決めればいい」という考え方は、手探りでお店作りをしているクライアントや私たちにとって、とても魅力的なアプローチだと思いました。
「まだ決めなくてもいい、分かった時に決めればいい」という言葉は、fittingboxが家具サブスクリプションというかたちで届けたい価値を、まさに体現しているように感じます。
FLUU NKUUさんが描く「ふつうの、日々のためのデザイン」は、余白や変化を許容する柔らかさと、使う人の感覚に寄り添う強さを併せ持っていて、私たちも大きな刺激を受けました。
今後も、用途や規模にとらわれず、クリエイティブな視点と柔軟な発想で空間をつくる方々と、fittingboxのしくみを通じてご一緒できることを楽しみにしています。
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