
広尾の山種美術館で開かれている「日本画と洋画のはざまで」という美術展に行ってきました。
「洋画」というのはすなわち日本における油彩画を指します。明治以降、西洋の油彩画が日本に紹介されるようになり、それまでの日本の伝統的な絵画を「日本画」、西洋の技法による油彩画を「洋画」と呼んで区別するようになったとの由。
今回の展示は、洋画と日本画、それぞれが互いに影響を受けながらどのように発展して行ったかを、山種美術館の館蔵品を中心に展観しようとするもの。
狙いは抜群。久々に、とても面白いテーマ展示でした。
印象に残った作品を挙げればキリがないのですが、例えばこれ。

(小林古径「静物」1922年、カンヴァス・油彩、山種美術館蔵)
小林古径と言えば、日本画に不案内の私でも知っている日本画の大家。その古径が、生前唯一描いた洋画だそうです。これを観て「禅」の世界を感じるのは私だけでしょうか。
こちらもまた、まるでセザンヌ。

(奥村土牛「雪の山」1946年、絹本・彩色、山種美術館蔵)
それから、この作品。

(山口蓬春「卓上」1952年、紙本・彩色、山種美術館蔵)
この視点の使い方。セザンヌを通り越して、ブラックかピカソかという感じです。
自分ではあまり意識していなかったのですが、どうやら私は、日本画の画家が、西洋の技法や主題を取り入れてきた例ばかりに目が行っていたようです。
会場には、逆に洋画家が日本古来の画材や技法を取り入れた作品も多く並んでいました。竹橋の東京国立近代美術館から岸田劉生の「道路と土手と塀(切通之写生)」が来ていましたし、古くは高橋由一や、新しいところでは梅原龍三郎が日本画の技法で描いた作品など、とても見応えのある展示内容でした。
さて、ミュージアムショップを挟んで第二会場。山種美術館と言えば、この人のこの作品。

(速水御舟「炎舞」1925年、絹本・彩色)
実物は今回初めて観たのですが、日本画とか洋画とかの垣根を取っ払った、独特の存在感。私はこれを観て、はるか昔の学生時代、京都の青蓮院で観た不動明王(いわゆる「青不動」)を思い出しました。そこでは「炎」は「憤怒=怒り」。ところが御舟のこの炎を観ていると、炎に自らの身体を焼く蛾のあわれを感じずにはおれません。とすれば、それは紅蓮地獄か?
・・・などと考えているうちに、あっという間に時間が過ぎていきます。多分この絵とは、これからまだまだ付き合っていくことになるでしょう。
展示は11月7日までです。例によって会期終了間近のアップで申し訳ありません。
開館1周年記念特別展「日本画と洋画のはざまで」
2010年9月11日~2010年11月7日
山種美術館