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創作怪談


この板の投稿数順位

最終更新日時:2026/01/21 18:45:00

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1: 2行で怖い話作れる? (282)

2: うる星やつら [無断転載禁止]©2ch.net (57)

3: テストスレ (9)

4: 火の玉 [無断転載禁止]©2ch.net (12)

5: クリスマスの怪談 (67)

6: 怖い言葉 [無断転載禁止]©2ch.net (656)

7: リレー怪談小説で盛り上げる [無断転載禁止]©2ch.net (579)

8: たけど最近はシジミの配信になっちゃうんだな (4)

9: ゲゲゲの鬼太郎 [無断転載禁止]©2ch.net (601)

10: リレーホラー創作スレ (19)

11: アンパンマンのある回を再現した動画 (7)

12: 怖い話教えてくれ (13)

13: 猫娘 (7)

14: 夜の学校 (7)

15: 怪談話して一番怖かった奴優勝 (7)

16: メタルギアソリッド (10)

17: ドラゴンクエスト11総合スレ [無断転載禁止]©2ch.net (6)

18: シチュー (15)

19: ここだけノポン族 (4)

20: Googleストリートビューで稼ぐことは可能か? (9)

21: テスト (305)

22: かみさまみならい ヒミツのここたま総合 (163)

23: ニャル子 (16)

24: tst (20)

25: イカ娘消えたな (16)

26: 月見 (9)

27: アンパンマンの怖いうわさ (15)

28: 本当に感情がない友達 (1)

29: 【独立】なんJ避難所スレ (7)

30: テストやんn (8)

31: 重要 (74)

32: コトリバコを知ってるか?… (48)

33: めちゃくちゃ怖い話を聞かせてくれ (26)

34: 降霊術を作るスレ (4)

35: 精神病院の社会的入院 (15)

36: 黒光 (16)

37: 【速報】「人形による人間変換」現象 (7)

38: UFO見たんやけど… (27)

39: 怖い話聞かせろ(創作可) (21)

40: 体験した怖い話 作り話を語り合うスレ (484)

41: おまいらが本当に合った怖い話聞かせてくれ。 (7)

42: 作り話でいいから怖い話くれ (12)

43: バイオハザードのゾンビ [無断転載禁止]©2ch.net (11)

44: 【救世主】スミダ師「あなたが明日もテレビを見れるようにします」【人類救済】 (2)

45: 呪い56されそう (65)

46: もの凄く強いキャラ作ったんだが… (9)

47: 暑い (17)

48: 【tst】思いついたオリキャラの設定垂れ流すスレ (8)

49: 背筋が凍るはなししてください (5)

50: 大王だ (7)

51: 目玉こぞう (14)

52: 検索してはいけない言葉をまとめたいから (25)

53: 人間的な意味で怖かった実体験教えて (14)

54: 人間的な意味で怖かった実体験教えて (6)

55: 友人が最近会ったヤバめな女の子 (20)

56: 学生の時に体験した気味悪い話を聞いてほしい (33)

57: お盆だしほん怖の面白いやつあげてくれ (10)

58: これ以上ない悪夢を見た話 (12)

59: ●TBSがまた捏造?心霊写真は合成?毎日新聞 [無断転載禁止]©2ch.net (49)

60: ゴエモンだ (4)

61: FF10のキマリ [無断転載禁止]©2ch.net (12)

62: トイレの花子さん [無断転載禁止]©2ch.net (14)

63: 雑談スレッド [無断転載禁止]©2ch.net (151)

64: タグ「創作怪談」だがホントの怪談を語る (39)

65: 最恐の怖い話をつくろうぜ! (46)

66: 学校の怪談 [無断転載禁止]©2ch.net (39)

67: 適当に怪談貼ってってくれ (22)

68: おまいらの怖い話体験談を聞かしてくれ (106)

69: なぜ国土交通大臣を公明党にやらせるのか (66)

70: なんか酔っ払った勢いで怖い話するわ (221)

71: そろそろ新しい意味が分かると怖いコピペ作ろうぜ (118)

72: そうだよー私がオーゼンだよー [無断転載禁止]©2ch.net (15)

73: [初スレ]過去にあった謎の体験話してってください (3)

74: UFO見たんやけど… (10)

75: 夏だし暑いので、ちょっと怖い話をする (44)

76: クソスレ (118)

77: お盆だしほん怖の面白いやつあげてくれ (10)

78: t (151)

79: ガノンドロフだけど [無断転載禁止]©2ch.net (10)

80: [初スレ]過去にあった謎の体験話してってください (13)

81: うざいイヌ (28)

82: ドラゴンクエスト11総合スレ [無断転載禁止]©2ch.net (23)

83: うざいイヌ (22)

84: 怪談の世界に転生してしまった (11)

85: 閻魔大王 (19)

86: 秋のお化け [無断転載禁止]©2ch.net (5)

87: 祓い屋の従兄弟の話 (8)

88:    ひばり書房 (32)

89: オリンピックは偶像崇拝でバアル崇拝 (11)

90: 大うんち帝国皇帝の庭 (13)

91: :30代で68.45℃で自然発火するわけじゃない (1)

92: アルバートハモンドのパクリだ (1)

93: 亀頭炎だと思うわ (1)

94: キングテレサ [無断転載禁止]©2ch.net (13)

95: かぼちゃおばけだ (2)

96: 外見至上主義ていう漫画は (47)

97: げりぴっぴ (12)

98: おばけだぞぉ [無断転載禁止]©2ch.net (7)

99: エアリスです (8)

100: 今日暑くね (3)

101: なんか酔っ払った勢いで怖い話するわ (5)

102: (急募)こけしの首について教えてください (3)

103: バイオハザードのゾンビ [無断転載禁止]©2ch.net (3)

104: 特級呪物 (9)

105: 冨樫になるスレ (1)

106: 消えちゃった消えちゃったのお歌 (7)

107: 妖怪ウォッチ シャドウサイド (7)

108: もしも現実世界に主人公が実在するなら (8)

109: ガチで怖い話語りませんか? (9)

110: 幽霊:いないいないマンは存在の場能スレ (5)

111: 秋のお化け [無断転載禁止]©2ch.net (12)

112: からかさおばけ (11)

113: ハロウィン (8)

114: お前らのプリキュア名と名乗りを書いてけ (3)

115: 怖い話置いとく (17)

116: 恐怖!まさおの事件の場合 …だゾ (6)

117: るるさんいる? (11)

118: 【創作】自分で都市伝説作って広めようぜ【都市伝説】 (24)

119: 可愛いおばけ [無断転載禁止]©2ch.net (13)

120: 幽霊にストーカーされてる話【マジ】 (32)

121: 春のお化け (9)

122: キタキタ親父 (8)

123: 今のオカルト板が酷すぎた (19)

124: 毛玉のゴンじろー (11)

125: 4年前に見た霊が俺以外の周りの奴らに見え始めた件ww (8)

126: 鬼は外 (8)

127: 【DQ2】アトラスだけど質問ある?【FC】 (8)

128: うんちです (18)

129: 【深遠】星 空 凛 (11)

130: オカルト板で百物語チャレンジ (17)

131: 作り話でいいから怖い話くれ (74)

132: 可愛いおばけ [無断転載禁止]©2ch.net (4)

133: このスレが立ったら俺の話をまったり書き込む (71)

134: 大王だ (7)

135: とてつもなくこわいおはなし [無断転載禁止]©2ch.net (54)

136: ひぐらし (11)

137: 雪女 (28)

138: 冨樫になるスレ (9)

139: 怪奇しんちゃん9 ふくろうとボーちゃん (8)

140: 砂漠の王者 パオ (7)

141: 骨董屋シリーズだよ (139)

142: そのひぐらしのなく俺に (9)

143: 田舎のジジイ「あそこに行ったのか!? バカ者!(激怒)」 (12)

144: 輪投げ選手権25位 (7)

145: 怖い話聞かせて (34)

146: ぶりぶり妖怪 (7)

147: ファンタジー (5)

148: トコトン王子 (8)

149: 怖い話!! (29)

150: お前らが本当に体験した恐怖体験談を話せ (56)

151: 【広告欄を気にするもの】星 空 凛 (10)

152: 俺の体験した話を聞いてくれ (8)

153: 餓鬼の正体 (7)

154: いわし [無断転載禁止]©2ch.net (9)

155: はたしてここはどこなのか? (18)

156: 俵広太郎 (6)

157: Jojoのセリフを安倍総理が変換するスレ (14)

158: 梅雨のおばけ (5)

159: てすと (5)

160: 恐怖!まさおの事件の場合 …だゾ (6)

161: 金魚コテ総合社 本家支社∋(  ●´)3 [無断転載禁止]©2ch.net (23)

162: 今年もオカルト板で百物語やる (14)

163: 骨董屋シリーズだよ (4)

164: 日記 (12)

165: 俺、マサラタウンのサトシ! (6)

166: 赤い貝 (27)

167: か、金がかかるだ、お、大人になるにはよっ (10)

168: 彼女が消えた話 (28)

169: 外見至上主義ていう漫画は (3)

170: 小学生の時体験した怖い話 (17)

171: じんめんけん (4)

172: すいか (6)

173: 探してる心霊動画がある [無断転載禁止]©2ch.net (33)

174: ●霊聴:あらゆる音で考える例(霊)の音スレ (9)

175: 明日の集中講義暇だから怖い話してー (14)

176: セルピコです、ご質問があればどうぞ [無断転載禁止]©2ch.net (7)

177: わたくしの顔は離婚した親父に似ています (3)

178: 遊戯王ARC-Vの榊遊矢です (26)

179: 可愛いおばけ [無断転載禁止]©2ch.net (4)

180: 夏休みの学生向けに会談を創ってあげちゃう☆ [無断転載禁止]©2ch.net (35)

181: 【栄光の背番号10】星 空 凛 (12)

182: この板要らない説 [無断転載禁止]©2ch.net (2)

183: ツチノコの特徴いう (7)

184: 死ぬのはだーれだ? (18)

185: 土左衛門です (11)

186: ある怪談を探してるんだが (11)

187: 俺の前の家がヤバい ホラー (41)

188: 一応創作【実体験も有り】 (13)

189: 片山村日記 [無断転載禁止]©2ch.net (86)

190: トイレ (3)

191: ゴンじろー (9)

192: 霊感がある色々質問してほしい (26)

193: 最近彼女の様子がおかしいんだが [無断転載禁止]©2ch.net (18)

194: のっぺらぼう (7)

195: この板要らない (55)

196: 閻魔大王 (4)

197: 長くなるけどそれでもいい人は聞く? (19)

198: 作り話を話します。とにかく聞いてほしい。 (20)

199: ゴエモンだ (2)

200: 2070年の未来人だけど質問ある? (22)

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2行で怖い話作れる?

1 名前:名無し百物語 2023/10/22(日) 16:33:25.01 ID:8EG9cdf1
「怪物たちが全部消えてしまったらいいな」

「その直後、地球の海面が60センチ下降してしまい、その下に何があったのか気になりはじめた」

例えばこんなの
273 名前:名無し百物語 2026/01/19(月) 09:00:28.92 ID:QLMmU7KO
満員のエレベーターが衝撃と共に停止し、密室は完全な静寂と闇に支配された。非常灯さえ点かない。前後左右を他人の肉体に圧迫され、身動きが取れない中、誰かの手がドサクサに紛れて私の股間を弄る。鉄の壁に押し付けられ、逃げ場のない狭小空間で、匿名の欲望が私の肌を土足で踏みにじり始めた。
「出せ!」という怒号に混じり、服が引き裂かれる音が響く。操作盤の冷たい金属に背中を押し付けられ、無数の指が粘膜を弄る。閉鎖空間で狂気が連鎖し、顔や胸に正体不明の熱い液体が降り注ぐ。救助を待つ数分間が、私を肉人形に変える永遠の拷問。明かりが灯る頃、そこにはただの汚物と化した私がいた。
274 名前:名無し百物語 2026/01/19(月) 09:02:34.31 ID:QLMmU7KO
無機質なチャイムと共に扉が開くと、眩いロビーの光が視界を白く染めた。そこには救助を待つ野次馬が壁のように立っている。引き裂かれた服、太腿を伝い滴る白濁した欲望の残滓。私は、暗闇で行われた悍ましい強淫のすべてを、この瞬間に白日の下にさらけ出されたのだ。
​悲鳴と、一斉に向けられるスマホのレンズ。助けの手を差し伸べる者はなく、ただ驚愕と好奇の視線が、私の汚された恥部を執拗に舐め回す。私は必死に肌を隠そうとするが、膝から崩れ落ちた。鏡に映る私は、人間としての尊厳を剥がれ、ただ汚濁に塗れた惨めな肉塊だった。
275 名前:名無し百物語 2026/01/19(月) 09:04:14.91 ID:QLMmU7KO
管理室のモニターには、あの闇の全てが鮮明に記録されていた。赤外線カメラは、私が誰に、どのように踏みにじられたかを無慈悲に映し出す。必死に助けを求める顔、服を剥がれ、無数の手に蹂躙される肉体。証拠として保管された映像は、私にとっては一生消えない恥辱を閉じ込めた淫獄の檻。
​映像は流出という形で拡散した。事務的に眺められた私の痴態は、今や全世界に共有されている。隣で笑う同僚も、画面越しの私をオカズにするだろう。私が消えても、あの闇の私は永遠にデジタルの海で名もなき欲望に晒され、弄ばれ続ける。これこそ、終わらぬ私への終身刑。
276 名前:名無し百物語 2026/01/19(月) 09:06:00.11 ID:QLMmU7KO
家に戻ると、両親の視線は氷のように冷たかった。食卓には私の恥部が映ったスマホが置かれ、父は軽蔑に満ちた声で「家の恥を晒して」とだけ吐き捨てた。被害者であるはずの私に、母は同情ではなく「なぜあんな格好を」と自責を強いる。私の味方は、世界中のどこにもいなかった。
​翌朝、親友だと思っていた彼女たちのグループラインから、私は無言で退会させられた。廊下ですれ違っても、汚物を見るような目で顔を背けられる。「関わると自分まで汚れる」そんな空気感が教室中に充満し、昨日の惨劇を面白おかしく噂する声が私の背中に突き刺さる。友情さえも、欲望の映像の前では無力だった。
277 名前:名無し百物語 2026/01/19(月) 09:07:42.63 ID:QLMmU7KO
帰る場所も、信じる者も消えた。私は「自分」という名前を捨て、ただの空洞になることを選んだ。自尊心があるから苦しいのだ。服を脱ぐ躊躇も消え、今や私は望まれれば誰にでも股を開く無機質な肉の器だ。蔑みの視線さえ、今の私には唯一の存在確認という名の甘美な毒。もはや心など、どこにもない。
​「何でも言うことを聞け」差し出された首輪に、自ら首を通す。私は汚した男たちの前で跪き、彼らの排泄物を喜んで受け入れる。もはや人間としての形は不要だ。肉を削られ、尊厳を磨り潰されるほどに、空虚な私が満たされていく。私は終わりのない搾取の底で、魂さえも彼らに明け渡し、ただ、壊れた笑顔。
278 名前:名無し百物語 2026/01/20(火) 07:27:35.34 ID:i4tTB3rM
放課後の部室。更衣室の奥で、自分たちの制服を抱え、下卑た顔で果てようとする男を見つけた。一瞬の静寂の後、湧き上がったのは恐怖ではなく、汚物への激しい拒絶。逃げようとする男の顔面に、私の拳がめり込んだ。周囲の女子たちも一斉に、手近な鞄や靴で男を肉の塊に。
「汚ねえんだよ」無数の蹴りが、蹲る男の肋骨を砕く。許しを乞う情けない声は、罵声と打撃音にかき消された。かつては可憐だった少女たちの瞳には、害虫を駆除するような冷徹な殺意が宿る。床に這いつくばり、己の精液と鼻血に塗れる男。その尊厳を完膚なきまで踏み潰す。
279 名前:名無し百物語 2026/01/20(火) 07:30:10.60 ID:i4tTB3rM
這い蹲る男の服を、私たちは狂ったように剥ぎ取った。抵抗する腕を踏みつけ、ボタンを引き千切る。露わになった男の醜い裸体。さっきまで自慰に耽っていたペニスを、一斉に向けられたスマホのカメラが冷酷に捉える。「これが、私たちの制服を汚した男だ」嘲笑の礫が、今、無防備な男の精神を無慈悲に砕く。
​行動は加速する。泣き叫ぶ男の口に、汚された制服を無理やり押し込み、首には変質者と書いた看板を掲げさせた。もう誰もこれを暴力的だとは思わない。これは神聖な処刑だ。震える彼の股間に、私たちは冷たい殺意を込めてヒールの踵を下ろす。男の尊厳が完全に壊れるまで、この狂った宴は終わらない。
280 名前:名無し百物語 2026/01/20(火) 07:32:36.62 ID:i4tTB3rM
校庭。白日の下に晒された男の全裸。千人もの視線が突き刺さる極限の羞恥。恐怖で震えているはずなのに、その肉柱は醜く肥大し、天を仰いでいた。生理的な興奮が理性を裏切り、恥辱を快感に書き換えている。その獣のような身体の背信に、全校生徒から悲鳴と、吐き気を催すほどの激しい嫌悪の呻きが漏れた。
​「まだ興奮してるの?」女子たちの瞳に、底冷えするような殺意が宿る。それはもはや懲罰ではなく、害獣の解体作業だ。高揚する恥部に、容赦なくバレーシューズの硬い踵が振り下ろされる。踏み潰され、血と汚れに塗れても萎えないその醜悪な塊を、彼女たちは冷笑しながら、永遠に治らない屈辱として魂に刻みつけた。
281 名前:名無し百物語 2026/01/20(火) 07:35:01.92 ID:i4tTB3rM
「まだ欲しがってるんだ」冷笑と共に、女子たちの鋭いヒールの踵が男の尻へと深く食い込む。肉を抉るような刺激と、衆人環視の羞恥が混ざり合い、男の脳は限界を超えた。抗えない生理現象が、彼の意思を無視して暴走を始める。千人の視線が注がれる中、男の身体はガクガクと惨めに痙攣し、獣のような声を上げた。
無慈悲な足蹴りに、男の劣情は臨界点に達し、白濁した液体が校庭の土を汚した。全校生徒の嘲笑を浴びながら、公衆の面前で果てさせられる究極の尊厳破壊。絶頂の叫びは、ただの汚物としての断末魔に変わった。スマホのレンズがその瞬間を永遠に固定し、彼の人生は再起不能なまでに、汚濁の中で完膚なきまで破壊された。
282 名前:名無し百物語 2026/01/20(火) 07:36:11.86 ID:i4tTB3rM
サイレンが響き、警察が到着しても女子たちの追求は止まらない。全裸で蹲る男を、彼女たちはゴミを片付けるように足蹴にする。「これ、証拠です」彼の自慰動画を警官の前で再生した。男は震え、もはや言葉も発せず、ただの汚れた肉塊として絶望に悶え、床に額を擦る。
「服なんて不要でしょ」警官が用意した毛布を奪い取り、彼女たちは男を全裸のままパトカーへと引きずり出した。校門に集まる野次馬の前で、彼の腹部に「公衆便所」と油性ペンで大きく書き殴る。連行される背中に冷酷な唾を浴びせ、人間以下の害虫として永遠に追放することを、高らかに宣言した。

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うる星やつら [無断転載禁止]©5ch.net

1 名前:名無し百物語 2017/06/15(木) 11:54:14.49 ID:FwbN/tfw
しのぶ「あなたなんか大嫌い!」
48 名前:名無し百物語 2025/09/05(金) 19:34:40.30 ID:umYs2CnR
ラムちゃん
http://i.imgur.com/SrjRWl5.jpeg
http://i.imgur.com/KLCRGsE.jpeg 
49 名前:名無し百物語 2025/10/31(金) 00:08:23.99 ID:WbfRKv/r
☆無限の宇宙における一秒の孤独
​友引高校の薄暗い下駄箱の前で、アタルは傘を手に、雨の終息を待っていた。降りしきる雨の音は、彼が日々浴びせられる宇宙的な喧騒とは違い、奇妙に穏やかだった。彼の隣には、漆黒の宇宙から来た、緑の髪を持つ少女がいる。ラム。彼女の電撃は、もはや日常の一部であり、アタルの存在証明そのものだった。
​しかし、この雨の静寂の中、アタルはふと考える。彼女の無限の愛と、自分の無限の逃避。それは、宇宙の二大勢力のように、決して交わることがない、しかし、離れることも許されない、悲劇的な均衡を保っている。彼女の純粋な感情は、この退屈な日常という名の空間における、唯一の非合理的な法則だった。
​ラムは、アタルの腕に頬を寄せ、甘い声で「ダーリン」と囁く。その声の熱量は、アタルには重すぎた。彼は彼女の愛を心から信じていないわけではない。ただ、その愛が強大すぎて、それを真に受け止めてしまうと、己の**「自由」という名の虚無**が崩壊してしまうことを恐れている。アタルの逃避は、愛への抵抗ではなく、自己の境界線を維持するための、哀れな防衛本能だった。
​雨が小降りになり、ラムの髪から滴る水滴が、アスファルトの地味な模様を一時的に濡らしていく。ラムの故郷の星では、愛はもっと単純な物理法則に従うのかもしれない。しかし、この地球という名の情緒的な監獄では、愛は常に矛盾と裏切り、そして、不確かな約束の上に成り立つ。
​アタルは、ラムの瞳を見た。その奥には、彼には理解できない、遠い宇宙の孤独が揺らめいているように見えた。彼女は故郷を捨て、この不安定な地球で、一人の男の曖昧な返事だけを頼りに生きている。彼の不誠実さも、彼女にとっては、この孤独な宇宙における唯一の**「つながり」**の証なのかもしれない。
​アタルは傘をそっと開き、ラムの頭上に傾けた。それは、愛の告白でも、約束でもない。ただの、一瞬の、人間的な配慮だった。その一秒の間、彼らの間には、無限の宇宙から切り離された、穏やかな沈黙だけが存在した。二人の関係は、永遠に解けない、最も美しい非論理的な方程式として、この世界に留まり続けるのだろう。
50 名前:名無し百物語 2025/11/10(月) 16:52:20.24 ID:LlvhToF8
   『録画(ダビング)』
諸星あたるは、その日の朝から、妙な違和感に首を傾げていた。
いつもの食卓。いつもの朝。
だが、何かが決定的に「ずれて」いた。
「ダーリン、あーん、だっちゃ」
ラムが、緑色のピーマンを箸でつまみ、あたるの口元に差し出す。
いつもの光景だ。普段なら、あたるは「誰が食うか!」と顔を背け、ラムが「ダーリンのウソつき!」と泣き、そして電撃が走る。
だが、今日は違った。
あたるは、なぜかそのピーマンを拒否する気が起きず、されるがままに口を開けた。苦い味が広がる。
「えらいっちゃ、ダーリン」
ラムは、花が咲くように微笑んだ。
電撃は、来ない。
彼女の頭のツノは、まるで作り物のように、ぴくりとも動かない。
学校は、もっと異常だった。
教室に入ると、面堂終太郎が静かに読書をしていた。「やあ、諸星くん」と、完璧な角度でお辞儀をする。
しのぶが「ごきげんよう」と穏やかに微笑む。
いつもの喧騒がない。机も椅子も宙を飛ばない。メガネも、竜之介も、ただ静かに席に座って、黒板を見つめている。
友引高校が、まるで古い教育ビデオのように静まり返っていた。
「凶相じゃ! 凶相が出とる!」
放課後、路地裏であたるの腕を掴んだのは、錯乱坊(チェリー)だった。
「うるせえな、坊主! 今日はみんな変なんだよ!」
「変なのではない! アレは『ダッピャ』じゃ!」
「ダッピャ? あの、自主制作映画の……」
「違う! アレは本物じゃ! ヤツらは『日常』を録画(コピー)し、本物とすり替える! 完璧な『日常』を演じることで、この世界を乗っ取るのじゃ!」
チェリーの警告を振り払い、あたるは自宅へ走った。嫌な汗が背中を伝う。
「ただいま」
家は、シン、と静まり返っていた。
テレビはついておらず、夕食の匂いもしない。
居間のふすまを、あたるはゆっくりと開けた。
そこには、家族がいた。
父も、母も、そしてラムも。
三人が、テレビの消えた真っ暗な画面に向かって、きれいに正座していた。
「……父さん? 母さん? ラム?」
三人が、まるで同じ人形のように、首だけをゆっくりと、同時にこちらに向けた。
「おかえりなさい、あたるさん」
「遅かったっちゃね、ダーリン」
三人の顔は、完璧な笑顔だった。
だが、その声は、古いカセットテープを引き伸ばしたように、妙に平坦で、ノイズが混じっていた。
「お、お前ら……誰だ……?」
あたるが後ずさると、三人が同時に、ゆっくりと立ち上がった。
部屋の隅にある古いビデオデッキだけが、赤い録画ランプを点灯させ、「ジー……」と低いヘッドの回転音を立てている。
「何を言ってるっちゃ」
ラムが、一歩、踏み出す。
その笑顔は完璧だった。
だが、その顔の輪郭が、時折、ビデオのトラッキングがずれた時のように、横に「ザーッ」とノイズが走った。
「ダーリンも、一緒に『日常』を録画するっちゃ」
ラムの体が、ブチブチと音を立て始める。
「やめろ! こっちに来るな!」
あたるは玄関に向かって走った。
だが、ドアが開かない。
ふと、玄関の姿見に映った自分を見た。
そこに映っていたのは、恐怖に引きつる、いつもの自分。
――違う。
鏡の中のあたるは、恐怖の顔のまま、ゆっくりと口元だけが吊り上がっていく。
鏡の中の自分が、笑っている。
ビデオデッキの「ジー……」という音が、頭の中で響き渡った。
鏡の中の「あたる」が、口を開いた。声は、ない。
『みいつけた』
気づいた時には、もう遅かった。
51 名前:名無し百物語 2025/11/14(金) 09:02:16.92 ID:yL9yFxbf
 『電流の檻』
友引町の夜は、時として異界への口を開く。
諸星あたるがその「女」に出会ったのは、湿り気を帯びた風が吹く深夜の路地裏だった。いつものようにラムの電撃から逃げ回り、息を切らして隠れた古い土蔵の陰。そこに、女は立っていた。
「……迷子?」
鈴を転がすような声だった。街灯の乏しい暗がりで、女の肌だけが白磁のように浮き上がっている。黒髪は濡れたように重く、着崩した浴衣の襟元からは、艶めかしい鎖骨が覗いていた。あたるの好色なアンテナが、恐怖よりも先に反応する。
「いやあ、ちと古女房に追いかけ回されましてね。もしや、匿っていただけるんで?」
あたるがお調子者特有の笑みを浮かべて歩み寄ると、女は拒まなかった。むしろ、妖艶な笑みを深め、白魚のような指であたるの手首を掴む。
その手は、氷のように冷たかった。だが、あたるはその冷たさにゾクリとした快感を覚えた。
「ええ、いいわよ。私の家へ……」
引かれるままに、あたるは暗がりの奥へと足を踏み入れる。女の身体からは、熟しすぎた果実のような、甘く濃厚な香りが漂っていた。
壁に押し付けられるようにして、女が身を寄せてくる。豊かな胸の感触が、薄い浴衣越しにあたるの胸板に押し当てられた。
「あ……」
あたるの口から恍惚とした吐息が漏れる。女の手が、あたるの首筋を這い上がり、耳朶を甘く噛んだ。
視界が揺らぐ。意識が泥の中に沈んでいくような感覚。
恐怖と快楽がないまぜになる中、あたるは違和感に気づいた。女の身体が、柔らかすぎるのだ。
まるで、形を保てなくなった蝋のように、触れている部分からドロドロと溶け出し、あたるの皮膚に浸透しようとしている。
「ずっと、寂しかったの。あなたのその生命力、全部ちょうだい……」
耳元で囁く声は、もはや鈴の音ではなかった。何百人もの老婆が同時に呻いたような、掠れた低音。
あたるが悲鳴を上げようとした時、女の顔が裂けた。美しい唇が耳まで裂け、その奥には底なしの闇が広がっている。
――食われる。
そう直感した瞬間、視界が緑色の閃光に染まった。
バリバリバリッ!!
「ダーリンに……触るな!」
鼓膜をつんざく落雷の音と共に、女の絶叫が響き渡る。
あたるの目の前に降り立ったのは、ラムだった。だが、いつもの愛らしい鬼娘ではない。
逆立つ髪はプラズマを纏い、瞳は憤怒に赤く発光している。その姿は、嫉妬に狂った雷神そのものだった。
女の怪異は、ラムの高圧電流に焼かれ、黒い炭となって崩れ落ちていく。焦げた肉の臭いが路地裏に充満した。
「う、ラム……助かった……」
腰を抜かしたあたるが震える声で呼びかける。だが、ラムは振り返らない。ただ静かに、あたるを見下ろした。
その表情には笑みがない。無機質な瞳の奥で、パチパチと青白い火花が散っている。
「ダーリンは、懲りないっちゃね」
ラムがそっとあたるの頬に触れた。
先程の女の冷たさとは対照的な、火傷しそうなほどの熱。
指先から微弱な電流が流れ込み、あたるの神経を直接撫で回す。痛い。けれど、脳髄が痺れるほどに甘い。
「あの女みたいに、溶かしてあげる。そうすれば、もうどこへも行けないっちゃ」
「え……?」
ラムが抱きついてくる。今度は逃げられない。
愛情という名の電圧が上がり続ける。あたるの意識は、恐怖と、逃れられない愛の痺れの中で、ホワイトアウトしていった。
闇の中で最後に聞いたのは、愛する人の、楽しそうな、そしてどこか狂気を孕んだ笑い声だった。
52 名前:名無し百物語 2025/11/18(火) 19:03:50.89 ID:7iui7y19
 『福は内、鬼も喰う』
諸星あたるは、自分が鎖に吊るされていることに気づいた。
場所は、友引町ではない。赤黒い空、錆びた鉄骨が組み上げられた巨大な闘技場。鼻をつくのは、血と、オイルと、獣の体臭が混じり合ったむせ返るような悪臭だ。
観客席からは、人ならざる者たちの野太い歓声が響いている。
「ダーリン! 今年の『福男』に選ばれるなんて、ツイてるっちゃ!」
闘技場の貴賓席で、ラムが能天気に手を振っている。その隣には、おユキが冷ややかに杯を傾けていた。
「福男?」
あたるは自分の姿を見て、ようやく状況を理解した。自分は全裸で、手足を太い鎖で拘束され、祭壇のような台座に固定されている。まるで、屠殺を待つ家畜だ。
「さあさあ、お立ち会い! 今年の『福男』は上玉だぜ! こいつの新鮮な『運気』を喰らい、来年の武運を祈願する神事は、どなたが執り行う!」
ダミ声の司会者が叫ぶと、観客席から一斉に手が挙がる。
その喧騒を切り裂いて、甲高いエンジン音が響き渡った。
ブォォォォン!
一台のエアバイクが、炎を噴きながら闘技場の中央に降り立つ。
それに跨っていたのは、あたるがよく知る姿だった。
露出度の高い鎧を艶めかしく着こなし、しなやかな太腿をバイクに押し付けるようにして、彼女は笑った。
「弁天様のお成りだ!」
弁天だった。だが、いつものカラッとした笑顔ではない。その瞳は血走っており、舌なめずりする唇は、まるで血を塗ったかのように赤黒い。
「今年の『福』は、あたしがいただくよ」
彼女が愛用の鎖鎌を構える。 ジャラリ、と重く湿った金属音が、あたるの鼓膜を震わせた。
弁天はバイクを降り、ゆっくりと祭壇に近づいてくる。汗ばんだ小麦色の肌が、闘技場の不気味な照明に照らされて妖しく光る。
「や、やめろ弁天! 俺だ、あたるだぞ!」
「知ってるさ。……だから、最高なんだ」
弁天の指が、あたるの胸をなぞる。硬い爪が皮膚を引っ掻き、ミミズ腫れを作った。
「お前みたいに、女の『運』だけで生きてきた男の魂は、極上の味がするんだよ」
あたるの耳元で、彼女は甘く、熱い吐息と共に囁いた。その息は、濃密な酒の匂いがした。
「ひっ……!」
弁天が鎖鎌を振るう。
だが、狙われたのは命ではなかった。 シュッ、と風を切る音と共に、あたるの太腿を拘束していた鎖が切断される。
拘束が解けた。だが、足は動かない。恐怖と、弁天から発せられる異様な色香に、身体が金縛りにあったように動かない。
「さあ、逃げな」
弁天が笑う。
「神事ってのは、ただ殺しちゃ面白くない。恐怖で、絶望で、最高に熟成させた魂を……刈り取るんだ!」
鎖鎌の刃先が、あたるの脇腹を浅く切り裂いた。
ジュッ、と肉の焼ける音がする。刃が、高熱を帯びているのだ。
「あ"あ"あ"っ!」
痛み。だが、それと同時に、切り裂かれた傷口から、背筋を駆け上がるような痺れる快感が流れ込んできた。
「いい声だ。もっと鳴けよ」
弁天は恍惚としていた。彼女は「戦い」という行為そのものに、性的とも言える興奮を覚えているのだ。
傷口から流れ落ちるあたるの血を、彼女は指で拭い、そのまま自分の唇に運ぶ。
「……甘い。最高だ、あたる」
二撃目。鎖鎌が、あたるの肩を抉る。
三撃目。鎖が鞭のようにしなり、あたるの胸板に赤い筋を刻む。
あたるは、痛みと快感の波状攻撃に、もはやまともな思考ができなかった。逃げたいのに、この女にもっと切り刻まれたいという、倒錯した欲望が湧き上がってくる。
「そうだ……いい顔になってきた。恐怖と快楽でグズグズになった、最高の『供物』の顔だ」
弁天があたるの髪を鷲掴みにし、顔を覗き込む。
「これで終わりだ。お前の『福』、あたしが全部喰ってやる!」
鎖鎌の分銅が、あたるの額を目掛けて振り下ろされた。
――その瞬間。
バリバリバリッ!
弁天の身体を、緑色の電撃が直撃した。
「そこまでだっちゃ、弁天!」
貴賓席から飛び降りたラムが、二人の間に立ちはだかる。
「ダーリンはうちの旦那だっちゃ! 誰の『供物』にもさせない!」
「……邪魔すんなよ、ラム」
電撃で黒焦げになった皮膚をボリボリと掻きながら、弁天がゆらりと立ち上がる。その顔は、もはや神のそれではなく、獲物を奪われた獣の怒りに満ちていた。
「そいつをどうしようと、あたしの勝手だろ?」
「させないと言ってるっちゃ!」
二人の「鬼」と「神」が、おぞましい形相で睨み合う。
祭壇の上で、血と快感にまみれたあたるは、自分がただの「獲物」であり「玩具」でしかないことを悟りながら、狂った神々の宴を前に、引きつった笑いを浮かべるしかなかった。
53 名前:名無し百物語 2025/11/18(火) 19:12:02.75 ID:7iui7y19
>>52
 『鬼神饗宴』
「邪魔すんなよ、ラム」
弁天が、電撃で黒焦げになった肩の皮膚を ベリリ と音を立てて剥がした。その下からは、生々しい筋肉が覗き、瞬時に新しい皮膚が再生していく。神族の回復力だ。
彼女は剥がした皮膚を無造作に床に捨て、鎖鎌の刃先で己の舌を舐めた。滴る血が、彼女の興奮をさらに高めていく。
「ダーリンは、うちの旦那だっちゃ。テメェの汚いオモチャじゃない!」
ラムの角から放たれる電光が、彼女の逆立った髪を緑色に照らし出す。その形相は、嫉妬に燃える鬼姫というより、縄張りを荒らされた捕食者のそれだった。
観客席の異形どもが、新たな展開に熱狂している。
「殺せ!」「やっちまえ!」「鬼と神の潰し合いだ!」
血の匂いに当てられた興奮が、闘技場全体を巨大な生き物のように脈動させていた。
「ハッ、旦那?……笑わせる。そいつは、お前からも逃げ回ってるただの『餌』だろうが」
弁天が地を蹴った。
鎖鎌が、あたるではなく、ラムの喉笛目掛けて唸りを上げる。
ラムはそれを跳躍して躱し、空中から雷撃の豪雨を降らせた。
バリバリバリバリッ!!
闘技場の地面がプラズマに焼かれ、溶解した鉄がマグマのように飛び散る。弁天は鎖を高速で回転させて盾とし、雷撃を防ぎながらラムに肉薄する。
「お前も『福女』にしてやろうかァ、ラム!」
「うるさいっちゃ!」
金属音と衝撃音。
弁天の鎖がラムの足に絡みつき、そのまま地面に叩きつける。 ゴシャッ という鈍い音。
だがラムも即座に反撃し、鎖を伝導体として最大電圧の電流を流し込んだ。
「ぐっ……あ"あ"っ!」
弁天の鎧が弾け飛び、しなやかな小麦色の肌が内側から焼け爛れる。それでも弁天は笑みを崩さない。痛みさえもが、彼女の「神事」を彩るスパイスなのだ。
「いい……いいぞラム! さすが鬼族だ! お前となら、最高の『神事』ができそうだ!」
二人の戦いは、祭壇に磔にされたあたるを挟んで激化していく。
あたるは、自分のために(あるいは自分のせいで)二人の「女」が血を流し、肉を焦がし、狂っていく様を、恐怖と倒錯した興奮の中で見つめていた。
弁天の鎖鎌の分銅が、ラムの電撃を避けてあたるの肩を抉る。
「ぎゃあああっ!」
ラムの電撃が、弁天を狙って逸れ、あたるの足の鎖を焼き切る。
「あ"づっっ!」
痛み。激痛。だが、その度に、ラムと弁天の熱に浮かされた視線が自分に突き刺さる。
二人の女傑が、自分という「供物」を巡って、互いのすべてをぶつけ合っている。その事実が、あたるの脳を麻痺させていく。
やがて、二人は同時に動きを止めた。
血を流し、息を荒げ、互いの肉体を焦がし、切り裂き合った二人は、まるで示し合わせたかのように、ゆっくりとあたるを振り返った。
その瞳は、もはや獲物を奪い合う敵意ではなく、共通の「愉悦」を見出した共犯者の色をしていた。
「……なあ、ラム」
弁天が、焼け爛れた頬のまま、妖しく笑う。
「こいつ、あたしがお前の分まで『可愛がって』やるよ」
「ふざけるなっちゃ」
ラムが、裂けた唇から血を滴らせながら、冷ややかに返す。
「ダーリンを一番愛してるのは、うちだ。うちが……ダーリンを、弁天より気持ちよく『消毒』してあげる」
空気が変わった。
「奪い合い」は終わった。
始まったのは、どちらがこの「供物」を、より深く、より残酷に、より官能的に「味わい尽くせるか」という、狂気の饗宴だった。
「じゃあ、どっちがこいつを『イカせられる』か、勝負しようぜ」
弁天の鎖鎌の刃が、あたるの胸板を、皮膚一枚だけ切り裂くように、ゆっくりと這い上がった。痛みよりも先に、ゾクゾクとした悪寒が背筋を走る。
「あ……ひ……」
「ダーリン」
ラムの指が、弁天が作った傷口を優しくなぞる。そこへ、微弱な、しかし神経を直接焼くような電気が流し込まれた。
「あ"あ"あ"あ"っっ!!」
あたるの身体が、苦痛と快感のショートで激しく跳ね上がる。それは、地獄の始まりだった。
弁天の「斬撃」と、ラムの「焼灼」。
二つの異なる「愛(と名付けられた拷問)」が、交互にあたるの肉体と精神を貪っていく。
「いい声だ、もっと鳴け!」
「ダーリン、うちだけ見てるっちゃ……」
貴賓席。おユキが、この世のものとは思えない惨状(あるいは、あまりにも官能的な光景)を、表情一つ変えずに見下ろしていた。
彼女は氷の杯を掲げ、静かに呟く。
「……醜悪。されど、美味」
あたるの意識が途切れることは、もう許されない。
神と鬼が共同で執り行う、終わりなき「饗宴」が、今、始まったのだから。
54 名前:名無し百物語 2025/11/18(火) 19:17:53.09 ID:7iui7y19
>>53
 『氷獄のエクスタシー』
「あ……が……ぅ……」
もはや、諸星あたるの喉からは意味のある言葉は発せられない。
あるのは、絶え間なく続く快楽と苦痛の波状攻撃に対する、獣じみた呻きだけだった。
「ほら、こっちだ、あたる。あたしの鎖の味を忘れんなよ」
弁天が笑う。彼女は鎖鎌の「刃」ではなく、重い「鎖」であたるの胴体を締め上げていた。
ラムの電撃で灼かれ、過敏になった皮膚に、氷のように冷たい(あるいは高熱で焼けた刃よりも冷たく感じる)鉄の感触が食い込む。
ギリギリ と骨が軋む。呼吸が止まる。
窒息の苦しみが脳を白く染め上げる寸前、弁天は鎖を緩める。
その瞬間、堰を切ったように流れ込む酸素と、解放された圧迫感があたるの全身を凄まじい快感となって貫いた。
「ダメだっちゃ! ダーリンはうちの電気(あまいしびれ)の方が好きだっちゃね!」
ラムが嫉妬に声を上ずらせる。
彼女の指先が、弁天が作った鎖の痕――赤黒く腫れ上がったミミズ腫れ――を優しくなぞる。
そして、そこに針を刺すような、神経の束だけを狙い撃ちする微弱な電流を流し込んだ。
「ひ……ぐっ、うあ"あ"あ"あ"っっ!!」
今度は、痛みと快感が脳内で直結する。
まるで、背骨の中を直接、熱い鉄の棒で掻き回されるような、逃げ場のない絶頂感。
あたるは涙と涎を垂れ流し、祭壇の上でエビのように身体を反らせた。
「ハッ! 効いてる、効いてる!」
「もっと……もっとだっちゃ!」
二人の「神」と「鬼」は、互いの「愛(という名の拷問)」を競い合い、より深く、より粘り強くあたるの精神を削り、肉を嬲っていく。
あたるの自我は、とうに限界を超えていた。
もはや、どちらが弁天で、どちらがラムかもわからない。ただ、交互に訪れる「熱」と「痛み」と「圧迫」だけが、彼が生きている唯一の証だった。
彼は、自分が「食べられている」のだと理解した。
肉体的にではなく、魂を。その根源にある「生」のエネルギーを、この二人の女傑に、快楽という名のスプーンで少しずつ削ぎ取られているのだと。
――そして、その饗宴が最高潮に達した、その時。
「……飽きたわ」
闘技場全体を凍てつかせるような、冷たい声が響いた。
貴賓席。いつの間にか、おユキが二人の背後に立っていた。
彼女の絶対零度のオーラに、狂乱していたラムと弁天の動きがピタリと止まる。
「おユキ……? 邪魔すんなよ、今いいところ……」
弁天が苛立たしげに振り返るが、その言葉は続かなかった。
おユキの瞳が、青白い光を放っていたからだ。それは、星の死滅(スーパーノヴァ)を思わせる、底なしの虚無の色だった。
「二人とも、やかましい。……そんな『雑な』やり方では、素材がすぐに壊れてしまうわ」
おユキの白い指が、あたるの額に触れる。
熱湯に氷を落としたかのような、ジュッ という音がした。
ラムと弁天によって極限まで熱せられ、過敏になっていたあたるの肉体と神経。そこへ、絶対零度の冷気が流れ込む。
「――――――――ッ!!」
声にならない絶叫。
それは、痛みでも快感でもなかった。
「死」そのものだった。
熱も、痛みも、感覚も、思考も、すべてが一瞬にして凍りつき、砕け散る。
全身の血が逆流し、内臓がガラスのように硬化し、眼球が内側から凍っていく感覚。
ラムの電撃が「生」の絶頂ならば。
おユキの冷気は、「死」の絶頂だった。
「あ……あ……」
あたるの身体から、すべての力が抜ける。
ラムと弁天が与え続けた灼熱のエネルギーは、おユキの冷気によって一瞬で奪い去られ、結晶化した。
あたるは、もはや何の反応も示さない。ただ、薄く目を開き、虚空を見つめている。その瞳には、快楽も苦痛も、もう映っていなかった。
「あ……ダーリンが……」
ラムが呆然と呟く。
「……イっちまったか。いや、凍っちまったか」
弁天が忌々しげに舌打ちする。
おユキは、壊れた玩具(あたる)から興味を失ったように手を離すと、凍りついたあたるの頬をそっと撫でた。
「熱しすぎたモノは、こうして冷ましてあげないと。……これで、ようやく『美味しく』なる」
彼女はそう言うと、凍ったあたるの唇に、自分の冷たい唇をゆっくりと重ねた。
それは、永遠の冬の始まりを告げる、冷酷な口づけだった。
55 名前:名無し百物語 2025/11/23(日) 23:29:28.03 ID:cHKviCpH
 『肉襦袢の戒め』
​友引高校の購買部、その薄暗い倉庫の奥から、湿った呼吸音が漏れていた。
諸星あたるは、いつものスケベ根性で忍び込んだ。竜之介が着替え中だという噂を聞きつけたからだ。
​「……くっ、ああ……親父、きつい……きついぃ……っ」
​苦悶の声。あたるが段ボールの隙間から覗くと、そこには鏡の前に立つ竜之介の姿があった。
彼女は上半身裸だった。だが、その肌は白くない。
胸から腹にかけて、幾重にも巻かれた白いサラシが、どす黒く変色している。膿と古血が滲んでいるのだ。
​「誰か……ハサミを……」
​竜之介が震える手でサラシに爪を立てる。
ベリッ、ベリベリッ。
布を剥がす音ではない。瘡蓋を無理やり引き剥がすような、粘着質な音がした。
あたるは息を呑んだ。サラシは、竜之介の皮膚と「癒着」していた。いや、サラシそのものが皮膚の一部となり、彼女の豊かな肢体を無理やり押し込めているのだ。
​「あたる……か?」
​鏡越しに視線が合った。竜之介の瞳は虚ろで、高熱に浮かされたように潤んでいる。
「助けてくれ……親父が、また締め直したんだ。女の部分が出てこないように……もっときつく、肉に縫い付けて……」
​あたるはふらふらと近づいた。
異臭がする。腐った果実と、消毒液の臭い。
竜之介の胸元――サラシの隙間から、圧迫に耐えきれなくなった「女の肉」が、赤紫色の腫瘍のように盛り上がっている。それは脈動していた。
​「切ってくれ……このままじゃ、おいら、破裂しちまう……」
​竜之介が錆びたハサミをあたるに差し出す。
あたるは震える手でそれを受け取り、食い込んだサラシに刃を入れた。
ジャリッ。
繊維を切る感触のあとに、ブシュッ と生温かい液体が噴き出した。血だ。
​「ああっ、んんっ……!」
​竜之介が背中を反らせ、艶めかしい悲鳴を上げる。
痛みと、解放の快感。
切れ目から、白く柔らかい肉が溢れ出す。だが、それは美しい乳房などではなかった。
長年、闇の中で押し潰され、形を歪められた「肉塊」が、怒り狂ったように増殖を始めたのだ。
​「おお、竜之介! 素晴らしいぞ!」
​突如、床下から這い出してきたのは、彼女の父親だった。
その目は狂気で血走っている。
「見ろ! 貴様の『女』を極限まで圧縮し、腐らせたことで、最強の『男の筋肉(マッスル)』が生まれようとしているのだ!」
​「親父ぃ……! 苦しい、熱い……!」
​竜之介の身体が痙攣する。
切れたサラシの隙間から、無数の「肉の触手」が飛び出した。それは蛇のように鎌首をもたげ、あたるに巻き付く。
​「うわっ!? なんだこれ、熱い! ぬるぬるする!」
​「あたる、逃げ……ら……な……あぁん!」
​竜之介の意識が飛んだ。彼女の身体そのものが、制御不能な肉の爆弾と化していた。
抑圧された女性ホルモンが、呪いとなって物理的な質量を持ったのだ。
あたるは、膨張し続ける肉の波に飲み込まれる。それは胎内への回帰であり、同時に消化液へのダイブだった。
​「だめだ……おいら、もう抑えられない……男になんて、なれないよぉ……」
​涙を流す竜之介の胸が、極限まで裂ける。
ドリュリュリュリュ!
溢れ出したピンク色の肉津波が、倉庫を埋め尽くす。
あたるの顔面に、肉塊が押し付けられる。窒息するほどの甘い体臭と、腐敗臭。
​「んぐっ、ぶ……!」
​肉の海の中で、あたるは見た。
父親が、娘の変異した肉に抱きつき、「これが究極の肉体だぁ!」と叫びながら取り込まれていく様を。
そして自分もまた、竜之介の「あふれ出した女」の一部として、永遠にその豊満で忌まわしい肉の牢獄に閉じ込められようとしていた。
​薄れゆく意識の中で聞いたのは、
「……お婿さん、見ぃつけた」
という、竜之介の可愛らしくも、ねっとりと歪んだ声だった。
56 名前:名無し百物語 2026/01/14(水) 15:05:55.51 ID:a9ihGolw
『浄霊の檻』
放課後の保健室は、現世の理が揺らぐ境界の地である。
諸星あたるとサクラの二人きり。薄暗い部屋には、消毒液の冷たい匂いと、場違いなほど濃厚な沈香の香りが立ち込めていた。
「……顔色が悪いな、諸星。また何か、得体の知れないものに憑かれたか」
白衣の下に緋色の袴を覗かせたサクラが、低い声で囁く。彼女の黒髪は夜の闇を溶かしたように重く、伏せられた睫毛の影が、その成熟した貌せに影を落としている。
あたるが何かを答える前に、サクラの白く長い指が彼の顎を持ち上げた。指先からは、霊的な修練によって研ぎ澄まされた、凍てつくような冷気が伝わってくる。
「お前の内側に、どす黒い情念が澱んでいるのが見えるぞ。……これは、外から憑いたものではない。お前自身の『業』が、内側から腐り始めているのだ」
サクラの瞳が、薄闇の中で怪しく濡れた。
彼女はあたるをベッドに押し倒し、その上に跨る。白衣がはだけ、絹のような太腿が、あたるの腰を容赦なく締め付けた。巫女としての神聖な威厳と、熟れきった果実のような肉体の芳香が、あたるの五感を狂わせる。
「浄霊をしてやろう。だが、このレベルの汚れは、通常の祈祷では落ちん。……私の肉体を依代として、お前の邪気を直接吸い出してやる」
サクラが唇を近づける。その呼吸は熱く、しかし言葉は冷酷なほどに透き通っていた。
重なる唇。
それは救済ではなく、略奪の始まりであった。
サクラの口内へと、あたるの生命力が「邪気」という名目で強制的に引きずり出されていく。
「ん、んんっ……!」
あたるの身体が弓なりに跳ねる。サクラの掌が彼の胸板を強く圧し、心臓の鼓動を直接掴み取るかのような錯覚を与える。彼女の喉が ゴクッ と鳴るたびに、あたるの魂の破片が削り取られ、彼女の広大な霊域へと飲み込まれていく。
サクラの肌は次第に熱を帯び、その白磁の皮膚の下に、あたるから奪った「生」のエネルギーが、紅い光となって巡り始めた。
彼女は祈祷を唱える。しかし、それは神への願いではなく、獲物を食らう際の呪文のように、低く、淫(みだ)らな響きを帯びていた。
「もっとだ。もっと吐き出せ……。お前の汚れた欲望も、惨めな孤独も、すべて私が喰らって、無に帰してやる」
サクラの瞳は、もはや聖職者のものではなかった。
それは、どれほど供物を捧げられても満たされることのない、古の女神の「飢え」そのもの。
あたるは、自分の核が空っぽになっていく恐怖に震えながらも、彼女の圧倒的な肉体と霊威に屈服し、溶けていくことに抗いがたい悦びを感じていた。
やがてサクラが唇を離したとき、あたるの瞳にはもはや光が宿っていなかった。
一方のサクラは、頬を薔薇色に染め、瞳には見たこともないほどの輝きを宿して、満足げに溜息を漏らす。
「……ふぅ。これで、少しは清らかになったな、諸星」
彼女は乱れた白衣を整え、冷淡な校医の顔に戻る。
だが、その唇に残ったあたるの血のような紅色は、拭っても拭っても消えることはなかった。
保健室のカーテンが風に揺れ、外では烏が不吉な声で鳴いている。
浄化されたはずのあたるの心には、以前よりも深い、真っ暗な闇が、ぽっかりと口を開けていた。
57 名前:名無し百物語 2026/01/16(金) 07:21:32.51 ID:AmzX05gI
『括約する事象の地平線』
その部位は、決して覗いてはならぬ「禁忌」であった。
諸星あたるは、うつ伏せになったラムの背中を、震える指で辿っていた。
滑らかな背骨のラインが終わり、豊かな双丘が分かたれるその谷間。通常であれば、そこは隠されるべき恥部であり、不浄の出口に過ぎない。
だが、異星の鬼姫である彼女のそれは、地球の生物学をあざ笑うかのような、冒涜的な美しさを放っていた。
「……ダーリン。そこは、宇宙の『裏口』だっちゃ」
枕に顔を埋めたまま、ラムがくぐもった声で警告する。
だが、あたるは視線を逸らせなかった。
その「穴」は、まるで生きた珊瑚のように淡い薔薇色に脈打ち、呼吸に合わせてゆっくりと収縮を繰り返している。ひだの一つ一つが、独自の意志を持つ軟体動物のように蠢き、中心にある絶対的な闇――光さえも脱出できない重力の底――へと、あたるの視線を引きずり込もうとしていた。
「綺麗だ……」
あたるは夢遊病者のように呟く。
汚らわしさなど微塵もない。そこにあるのは、深海に咲くイソギンチャクの妖艶さと、死へと誘う甘い腐臭だけであった。
見つめていると、その「穴」が徐々に拡大しているような錯覚に陥る。いや、錯覚ではない。
あたるの視線に感応し、その括約筋が、花弁が開くようにゆっくりと弛緩し始めたのだ。
ジュワリ、ジュワリ……
湿った音が鼓膜を打つ。
開かれた闇の奥から、無数の星々が瞬くのが見えた。
それは排泄物の通り道ではなく、別の銀河、あるいは物理法則が崩壊したカオスへと繋がるワームホールだった。
「だめっ、覗いちゃだめっ! 吸い込まれる……!」
ラムが悲鳴を上げるが、彼女自身の肉体もまた、その「穴」の暴走を止められないようだった。
突如、猛烈な吸引力があたるを襲った。
風はない。だが、あたるの魂が、眼球が、脳髄が、その一点に向かって激しく引っ張られる。
「う、わあぁぁぁっ!?」
あたるの手が、顔が、不可視の力によって「穴」へと引き寄せられる。
抵抗しようと掴んだ畳がめくれ上がり、部屋の空気さえもが渦を巻いてその小さな闇へと流れていく。
目の前で、薔薇色の襞(ひだ)が巨大な肉の壁となって視界を覆い尽くした。
「い、いやだ! 助け……!」
あたるの顔面が、その柔軟で温かい闇に押し付けられる。
窒息。
いや、それよりも恐ろしい「融合」が始まった。
接触した皮膚が、強酸に触れたように溶け出し、ラムの粘膜と同化していく。鼻が、唇が、まぶたが、ずるりと剥がれ落ち、彼女の体内器官の一部として再構築されていく感覚。
そこは、熱かった。
数億ボルトの電流が流れるプラズマの腸壁。
あたるは、自分が咀嚼されていることを知った。歯で噛み砕かれるのではない。圧倒的な「愛」と「重力」によって、存在そのものを圧縮され、彼女の養分へと還元されているのだ。
「あぁ……ダーリン……入ってきちゃった……」
遠くでラムの喘ぎ声が聞こえる。それは苦悶のようでもあり、空腹が満たされた歓喜のようでもあった。
あたるの上半身は、もはや完全に彼女の「裏側」へと飲み込まれていた。
残された両足だけが、虚しく空を掻いている。
暗黒のトンネルの中で、あたるは最後に見た。
これから自分が消化され、永遠に彷徨うことになる、極彩色のネオンが輝く、狂った宇宙の広がりを。

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テストスレ

1 名前:じぇり 2018/10/04(木) 01:51:48.14 ID:Y3VPOyou
良い歳して声優の井上麻里奈さんの後ろ姿が産まれたての姿の画像で抜きまくってる哀れな珍カス基地外ニートすずはらみさきち ◆5oR0dKBDzY(爆笑wwwwwwwwwwww
http://livedoor.blogimg.jp/geinoueroch/imgs/f/2/f2b6f38d.jpg
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2 名前:名無し百物語 2018/10/04(木) 01:52:10.35 ID:Y3VPOyou
テスト
3 名前:名無し百物語 2018/10/23(火) 22:38:04.04 ID:Dz5Lwbh0
http://smavoice.jp/s/sma03/page/23_profile
4 名前:名無し百物語 2023/08/18(金) 05:04:43.77 ID:G/XogjtL
ポロッ(;゚Д゚)yヾ_(--;)ハイザラハイザラ・・・
5 名前:名無し百物語 2023/10/12(木) 00:17:38.18 ID:xtFwxefv
これも、これも、これも全て、愛、ゆえ
6 名前:名無し百物語 2023/11/25(土) 11:48:59.66 ID:WFc7oAFe
もっと大胆にやれ!
7 名前:名無し百物語 2026/01/14(水) 14:09:57.20 ID:a9ihGolw
朽ち果てた屋敷は、底なしの沼地へとゆっくりと沈降を続けていた。湿った霧が肺の奥深くまで侵入し、粘りつくような死の予感を運んでくる。剥がれかけた壁紙の裏側では、何千もの虫が蠢くような不気味な震動が絶え間なく続いており、古びた静寂をじわじわと蝕んでいた。
廊下の突き当たりに掲げられた肖像画の主は、既に名も知れぬ一族の末裔だという。その瞳は濁った琥珀のように澱み、見る者の精神を削り取るような執拗な視線を投げかけてくる。絵から滲み出す黒い油は、床に滴り落ちては、意志を持つかのように私の足元へ這い寄り、靴を黒く汚した。
ギィ、と床板が悲鳴を上げたのは、私の背後数センチの場所だった。振り返ってもそこには虚無が広がるばかりだが、凍てつくような冷気が肌を刺す。目に見えぬ「不在の存在」が、湿った吐息を吹きかけるようにして耳元を通り過ぎ、産毛が逆立つほどの強烈な戦慄が全身を激しく駆け抜けた。
開かずの間から漏れ出すのは、発酵した果実と腐肉が混ざり合った、甘ったるくも悍ましい異臭であった。扉の隙間に指をかけると、内側から温かい粘液が溢れ出し、私の掌を汚していく。それは血よりも重く、命を冒涜するような色彩を帯びて、暗闇の中で不気味に、そして微かに発光していた。
部屋の中央には、無数の人体が継ぎ合わされた巨大な肉の塊が鎮座していた。顔と腕、そして名もなき部位が不規則に並び、ひとつの大きな呼吸を繰り返している。その最上部にある少女の頭部だけが、突如として瞼を見開き、私を認識したかのように絶望の叫びを、音もなく暗闇へと放った。
思考が霧散し、現実と悪夢の境界線が溶解していく。逃げようとする脚は泥に捕らわれたように動かず、ただただその異形の美しさに魅了される自分に気づいた。恐怖はもはや悦楽に近い形へと変貌し、私は自らの意志でその肉の迷宮へと、抗うことをやめて一歩ずつ足を踏み入れてしまう。
柔らかい肉の壁が私の身体を優しく包み込み、皮膚が溶け合う感覚が脳髄を痺れさせる。個としての境界が消失し、私は膨大な記憶の渦へと飲み込まれていった。数多の犠牲者たちの断末魔が心地よい子守唄のように響き、意識は深い闇の底へと、抗う術を持たずに、ゆっくりと沈んでいく。
翌朝、屋敷を訪れる者は誰もいなかった。ただ、廊下の肖像画の主が、以前よりも満ち足りた表情を浮かべているだけだ。額縁の中、新たなパーツとして組み込まれた私の瞳は、次にこの扉を叩く獲物を待ちわびて、鏡のように滑らかな輝きを、永遠の孤独の中で静かに放ち続けている。
8 名前:名無し百物語 2026/01/14(水) 14:18:05.78 ID:a9ihGolw
鏡の前で彼女は立ち尽くしていた。月明かりが部屋を青白く染め、影が生き物のように足元で蠢いている。着慣れたはずの絹のブラウスが、今は呪われた拘束具のように肌を締め付けていた。逃れようのない衝動が、指先から全身へと伝わり、彼女を静かな狂気へと誘い出す。
ボタンを外す指が震える。一つ、また一つと零れ落ちる真珠色のボタンは、床に当たって硬い音を立てた。布地が滑り落ちるたび、彼女の白い肩が夜の冷気に曝される。それは解放ではなく、何者かに生皮を剥がされるような、おぞましくも確かな痛みを伴う儀式の始まりに過ぎなかった。
スカートが足元に崩れ落ち、無防備な肢体が鏡に映し出される。しかし、そこにあるのは見慣れた自分の肉体ではなかった。皮膚の下を無数の細い糸が這い回り、波打っている。それは血管でも神経でもなく、異界から招かれた寄生生物が、彼女という殻を食い破ろうとする胎動であった。
最後の布を脱ぎ捨て、彼女は完全なる無垢へと立ち返った。だが、その白磁の肌には正体不明の文字がびっしりと浮かび上がっている。血の色をした刻印は体温を奪い、鼓動を不自然なリズムへと変える。彼女はもはや人間ではなく、異形の神へ捧げられた祭壇と化していた。
冷たい沈黙の中で、彼女の乳房が不自然に脈動し始めた。皮膚が薄く引き伸ばされ、その内側から鋭い爪のような突起が突き出そうとしている。疼きに悶え己の体を抱くが、その腕さえ意思を離れ、肉を掻き毟り始める。剥き出しの身体は、崩壊を待つだけの虚ろな器だ。
鏡の中の彼女が、ふいに歪な笑みを浮かべた。全裸で凍りつく彼女とは対照的に、鏡像は自らの腹部を鋭い爪で裂き始める。溢れ出すのは鮮血ではなく、漆黒の闇だった。その闇は鏡の境界を越え、彼女の足元から這い上がり、無垢な白い肌を冒涜的な模様で塗り潰していく。
悲鳴は喉の奥で氷結し、音になることさえ許されない。闇に飲み込まれるにつれ、彼女の身体は次第に透明度を増し、向こう側の景色が透けて見え始めた。肉の重みからの解放と消滅の恐怖が混ざり合い、意識は地獄へと墜落する。全裸の少女は、静かに世界の裂け目へ消える。
部屋には、脱ぎ捨てられた衣服だけが虚しく残されていた。鏡は再び静寂を取り戻したが、その奥底には、誰のものともつかぬ白い指が、今も冷たい硝子を叩き続けている。月が隠れ闇が訪れるとき、この部屋からはまた犠牲者の服が床に落ちる音が、静かに響き渡るのだろう。
9 名前:名無し百物語 2026/01/14(水) 14:23:36.86 ID:a9ihGolw
原稿用紙の上で、Gペンが紙を引っ掻く音だけが響いている。締め切りに追われた深夜の作業部屋は、インクとコーヒーの匂いが混ざり合い、独特の重苦しい空気が漂う。描いているのは極上の悦楽に歪む女の顔だが、なぜか自分の表情が重なって見え、背筋に冷たいものが走った。
濡れた瞳を描き込んだ瞬間、インクがじわりと滲み出した。それは紙の繊維を伝い、あり得ない速度で広がっていく。まるで紙の向こう側から、誰かが黒い体液を流し込んでいるかのようだ。慌ててティッシュで押さえたが、黒い染みは指に絡みつき、ぬらりと生温かい感触を残した。
画面の中の男が、勝手に動き出した気がした。トーンを貼る手が止まる。ただの線とベタの集合体であるはずのキャラクターが、私を見上げている。その視線には、作者に対する敬意など微塵もなく、ただ飢えた獣のような欲望だけが宿り、紙面から浮き上がり始めていた。
首筋に熱い吐息がかかる。部屋には私一人しかいないはずなのに、背後に誰かが立っている気配が濃厚に漂う。描きかけのヒロインが受けている責め苦が、そのまま我が身に降りかかる幻覚。見えない指が背骨をなぞり、仕事で凝り固まった筋肉を、不躾に、そして強引に揉みしだいた。
「続きを描け」と、耳元で囁く声がした。それは自分の描いた男の声だった。恐怖でペンを取り落とすが、手は勝手に動き出し、私の意思とは無関係に続きを描き始める。もっと酷く、もっと惨たらしい陵辱の場面を。私の脳裏に浮かぶ最悪の悪夢が、黒い線となって具現化していく。
服のあちこちがインクで汚れ、それがまるで拘束具のように体を締め付ける。机に突っ伏した私の四肢は、いつの間にか紙の中の女と同じ構図に折り曲げられていた。現実の関節が悲鳴を上げ、紙上の虚構が現実を侵食する。痛みと恥辱が混ざり合い、意識が遠のきそうになる。
モニターの光が明滅し、部屋の隅から無数の触手のような影が伸びてくる。それらは私の身体を優しく、しかし絶対的な力で絡め取った。インク壺が倒れ、こぼれ落ちた漆黒の液体が床を海のように満たす。私はその黒い波間に沈みながら、自分が描かれる側の存在へと堕ちるのを知った。
翌朝、担当編集者が見つけたのは、誰もいない部屋に残された一枚の原稿だけだった。そこには、絶望と快楽の極地で白目を剥く、作者に瓜二つの女が描かれていたという。その絵の口元は微かに動き、助けを求めるようにパクパクと開閉し、声なき悲鳴を上げ続けているのだった。

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火の玉 [無断転載禁止]©5ch.net

1 名前:名無し百物語 2017/05/09(火) 20:18:13.13 ID:x6dkqGnZ
ふわふわ
3 名前:名無し百物語 2020/06/04(木) 13:38:05.17 ID:Q6ZVN8m1
┏━━━━━━━━━━┓
┃※いえ、違います! ┃
┗━━━━━━━━━━┛
4 名前:名無し百物語 2020/06/04(木) 13:38:21.19 ID:Q6ZVN8m1
┏━━━━━━━━━━┓
┃※いえ、違います!  ┃
┗━━━━━━━━━━┛
5 名前:名無し百物語 2020/06/04(木) 13:38:48.55 ID:Q6ZVN8m1
┏━━━━━━━━━━┓
┃※いえ、違いますよ   ┃
┗━━━━━━━━━━┛
6 名前:名無し百物語 2020/08/21(金) 16:34:06.31 ID:Z7UB1s59
古典落語に「悋気の火の玉」ってお話がある
本妻と妾がダンナを取り合うって話で、死んだ後も火の玉になってもケンカしてる
って話だ…
東出と杏、そして唐田と…そう見てみるとこの落語とオチは同じだなあって思った
不倫のツケは支払えばいいさ、ま、唐田とくんずほぐれつしてみたいと思う、男の
本音は否定出来ないが…
7 名前:名無し百物語 2021/03/18(木) 18:23:06.21 ID:SKoWtQJM
😢
8 名前:名無し百物語 2023/01/29(日) 03:07:23.86 ID:XuVH1i00
あなたはこのスレッドにはもう書けません。
9 名前:名無し百物語 2023/05/10(水) 22:17:58.20 ID:TpiRVn4V
ポケモンの主人公ってさ、何食べて生きてるんだろうね
10 名前:名無し百物語 2023/08/16(水) 15:51:39.97 ID:oiCvYC9h
パセリ農家の精神力は異常。捨てられるために育ててどんな気持ちなの
11 名前:名無し百物語 2023/09/05(火) 21:05:51.10 ID:DHtWTuU1
やる気なくなるわ、マジで
12 名前:名無し百物語 2026/01/12(月) 18:34:15.46 ID:AbvWaNBn
東京新聞によるとネットには「一億火の玉」がいるらしい

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クリスマスの怪談

1 名前:名無し百物語 2017/12/25(月) 00:03:55.53 ID:Iifq48fS
サンタさん
58 名前:名無し百物語 2025/12/24(水) 15:39:45.65 ID:8S5Ve+4j
年越しオナニーしてるから気をつけろ
59 名前:名無し百物語 2025/12/24(水) 17:30:33.36 ID:ZhLOTHKs
デスサンタは足を引っ張るから気をつけろ
60 名前:名無し百物語 2025/12/24(水) 17:38:29.10 ID:ZhLOTHKs
デスサンタに仕事を押し付けましょう
61 名前:名無し百物語 2025/12/24(水) 17:48:23.80 ID:ganRgoUy
デスサンタにならないように恋人を作りましょう
62 名前:名無し百物語 2025/12/25(木) 01:36:24.09 ID:YHuPWCBC
デスサンタはやっつけましょう
63 名前:名無し百物語 2025/12/25(木) 08:36:02.67 ID:PL+spTle
童貞のまま死ぬとですサンタになるので注意
64 名前:名無し百物語 2025/12/25(木) 08:39:58.07 ID:PL+spTle
デスサンタに優しくすると勘違いされるので注意
65 名前:名無し百物語 2025/12/25(木) 16:14:30.40 ID:BECfZ22G
デスサンタの整形費用を集めてるのでお願いします
66 名前:名無し百物語 2025/12/25(木) 16:15:09.51 ID:BECfZ22G
デスサンタは女子寮に侵入するから注意してください
67 名前:名無し百物語 2026/01/03(土) 18:19:56.45 ID:tSWKnjX7
『赤の中身』
湿った牡丹雪が夜の帳を塗り潰す聖夜。築四十年の木造アパート、その六畳一間に籠る男の鼻腔を、不快な腐臭が撫でた。暖房で澱んだ空気に、場違いな湿り気が混じり込む。換気扇の奥から響くのは、聖夜に相応しい鈴の音などではない。びちゃり、どろり。剥き出しの臓腑をコンクリートに叩きつけるような、生理的嫌悪を催す粘着音が、薄いアルミの羽根を震わせていた。
男は凍り付いたように換気扇を見上げた。古いフィルターの隙間から、赤黒い液体が糸を引いて滴り落ちる。それは長年の油汚れなどではなく、鉄錆の臭いを撒き散らす紛れもない鮮血だった。パキパキと、硬い軟骨が無理に圧し折られる不吉な音が狭いダクト内で反響する。やがて、アルミの羽根が内側からひしゃげ、歪んだ隙間から「それ」は這い出してきた。
赤い衣装など纏っていない。それは、全身の皮膚を丁寧な手つきで剥ぎ取られ、濡れた筋繊維を外気に剥き出しにした、異様な巨躯であった。眼球のない眼窩からは赤濁した液が溢れ、剥き出しの歯茎が男に向かって緩慢に吊り上がる。怪異は、脂ぎった自身の筋肉を換気扇の縁で削り取りながら、這いずるごとに床へ赤黒い足跡を刻んでいく。
逃げ場のない密室内、男は壁に背を打ち付けた。怪異は男の目の前で止まり、自身の喉を指で裂いた。裂け目から溢れ出したのは、どろどろに溶けた肉塊と、不自然に白い「何か」だ。怪異は、自身の体内に埋め込まれていたその白い物体を、震える手で男の足元に置いた。
それは、美しく包装された箱などではない。人間の皮膚を繋ぎ合わせ、髪の毛でリボンを結んだ、歪な肉の袋だった。袋の中から、聞き覚えのある、しかし今や絶命したはずの女の、籠った悲鳴が漏れ聞こえる。
「……プレゼント、だ」
皮の剥げた唇が動く。怪異は、男がかつて無惨に棄てた愛人の面影を、その剥き出しの筋組織の端々に宿していた。怪異の指先が、男の頬を愛撫するように這う。爪のない指が男の皮膚に食い込み、じりじりとその「外皮」を剥がしにかかる。
聖なる夜の静寂は、男の絶叫と、生肉を捏ね回すような不快な湿性音によって塗り潰された。翌朝、部屋に残されていたのは、丁寧に皮膚を剥がされ、新しい「赤い衣装」を纏わされた、物言わぬ肉塊だけであった。

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怖い言葉 [無断転載禁止]©5ch.net

1 名前:名無し百物語 2017/07/01(土) 17:40:02.57 ID:aZasceR6
怖いと思う単語や文を書いてみよう
647 名前:名無し百物語 2025/08/29(金) 21:30:30.16 ID:cJRctiTJ
すい臓がんステージWです。手術はできません。
648 名前:名無し百物語 2025/08/29(金) 21:30:31.59 ID:cJRctiTJ
すい臓がんステージWです。手術はできません。
649 名前:名無し百物語 2025/08/29(金) 21:30:33.86 ID:cJRctiTJ
すい臓がんステージWです。手術はできません。
650 名前:名無し百物語 2025/08/29(金) 21:30:34.77 ID:cJRctiTJ
すい臓がんステージWです。手術はできません。
651 名前:名無し百物語 2025/08/29(金) 21:30:35.38 ID:cJRctiTJ
すい臓がんステージWです。手術はできません。
652 名前:名無し百物語 2025/08/29(金) 21:30:36.76 ID:cJRctiTJ
すい臓がんステージWです。手術はできません。
653 名前:名無し百物語 2025/10/08(水) 03:11:12.33 ID:vNb5L64G
ひみつ
654 名前:名無し百物語 2025/10/10(金) 19:45:53.80 ID:sNZQtPJP
>>644
口封じ

旭川
655 名前:名無し百物語 2025/10/11(土) 11:37:29.12 ID:5muKbayl
ガチホモ
656 名前:名無し百物語 2025/12/20(土) 22:03:23.31 ID:9w1N2cy/
働く

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リレー怪談小説で盛り上げる [無断転載禁止]©5ch.net

1 名前:名無し百物語 2017/05/14(日) 16:44:16.39 ID:JJqpANyb
創作怪談のみんなで!
570 名前:名無し百物語 2025/11/11(火) 22:10:18.50 ID:NYMUbgva
丸裸にされた私の下半身。股間から腹にかけて、乾燥してパリパリになった例の液体が、みっともなくこびりついている。
「ひっ……」
声にならない呻きが漏れた。背中を撃たれた痛みと、先ほどまでの倒錯した快感の残滓が、意識を混濁させる。
警備員は、私の無様な姿を満足そうに見下ろしていた。奴は嘲笑を消し、冷たい無表情になると、おもむろに自分のズボンのチャックを下ろし始めた。
まさか。
恐怖に目を見開く私に構わず、警備員は自らのそれを露わにし、熱い液体を放ち始めた。
じゅわ、という音と共に、私の腹部や胸に温かい飛沫がかかる。乾燥していたネバネバが、その熱で再びじわりと溶け出すような、耐え難い不快感と屈辱。
「さて、と」
用を足し終えた警備員は、乱れた制服を整えると、今度は懐から小型のナイフを取り出した。鈍く光る刃が、非常灯の赤い光を反射する。
「お前、何度も死んでるそうだな」
唐突な言葉に、心臓が跳ねた。なぜ、それを。
「液体金属だか何だか知らんが」と警備員は続ける。「その『核』さえ壊せば、もう二度と戻れんだろう?」
違う。私は液体金属のヒーローなんかじゃない。あれはただの願望だ。私はただ、死ぬ直前の時間に戻されるだけの、哀れな存在だ。
そう叫びたかったが、撃たれた肺がヒューヒューと鳴るだけで、言葉にならない。
警備員は嗤いながら、ナイフの切っ先を、私の股間にこびりついた「ネバネバな液体」の中心に向けた。
「これが『核』なんだろ? 自分で律儀に出してくれて、助かるよ」
やめろ。それはただの……!
警備員がナイフを振り下ろす。
ブスリ、という肉を抉る鈍い音。今までに味わったことのない、腹の底からの絶対的な激痛。
視界が暗転していく。
(ああ、また「やり直し」か……これで、あの警備員に……)
そう覚悟した瞬間、脳内に無機質な声が響いた。
『エラー。リスポーン・ポイント・ロスト。再生を開始できません』
ぞわり、と全身の感覚が凍りついた。
(戻れない?)
薄れゆく意識の中、ナイフを掲げて高笑いする警備員の姿だけが、やけに鮮明に映っていた。
私は、今度こそ、本当に。
571 名前:名無し百物語 2025/11/12(水) 16:31:31.16 ID:R1RMFMJZ
終わった、と思った。
思考がタールのような暗黒に塗りつぶされていく。
だが、完全な静寂が訪れる寸前、腹の底の傷口が熱を持った。
いや、熱ではない。微細な振動だ。
警備員が浴びせかけた排泄物と、私が放出した体液、そして流れ出る血液。それら不潔な混合液が、傷口で化学反応を起こしているかのように沸騰し始めたのだ。
『……有機結合、承認。システム、再起動』
脳裏ではなく、鼓膜の奥で直接響くような駆動音。
私はカッと目を見開いた。視界の端に、赤い警告表示のような光の羅列が走る。
「あ? なんだ、てめえ……まだ生きてんのか?」
警備員が怪訝そうに顔を近づけてくる。
その瞬間、私の腹から銀色の触手が爆発的に膨張した。
「うわっ!?」
警備員がのけぞるよりも早く、流体金属と化した私の肉体は、傷口を中心に裏返るように変形していく。
痛みは消えた。恐怖も消えた。残っているのは、プログラムされた冷徹な破壊衝動のみ。
私は床に広がる銀色の水溜りとなり、そして次の瞬間、鋭利な刃を持つ巨人へと再構築された。
「嘘だろ……おい、嘘だろ!?」
腰を抜かした警備員が、悲鳴を上げて後ずさる。
私は無言で彼を見下ろした。かつて妄想だと笑われた設定が、今、現実を凌駕する。
右腕がドリル状に回転し、重苦しい風切り音を立てた。
「ターゲット、ロックオン」
私の口から漏れたのは、自分の声ではなかった。
逃げようと背を向けた警備員の背中に、銀色の処刑具が突き刺さる。
肉が弾け、骨が砕ける感触が、データとして脳に蓄積されていく。
だが、飛び散ったのは鮮血ではなかった。
黒い、ひらひらとしたリボンのようなもの。
それは磁気テープだった。
警備員の体が解れ、大量のビデオテープの中身となって部屋中を埋め尽くしていく。
「再生終了」
私はそのテープの海に沈みながら、次の物語が始まるのを静かに待った。
572 名前:名無し百物語 2025/11/13(木) 09:26:54.18 ID:ysakcdCY
テープの海に沈む安堵は、瞬時に絶望へと反転した。
体にまとわりついた無数の黒いリボンが、一斉に締め上げにかかったのだ。それはただの磁気テープではなかった。鋭利な剃刀の刃そのものだった。
「ぐ、ギィ……ッ!?」
銀色の皮膚――だと信じていたもの――が、薄い皮膜のように容易く裂けていく。その下から露わになったのは、無機質な機械部品などではない。赤黒く脈打つ、生々しい臓物と筋肉の繊維だった。
俺は液体金属のロボットなどではなかった。ただの、肉だ。剥き出しの、脆い肉塊だ。
黒いテープは、裂けた皮膚の隙間から、ズルリと体内へ侵入してきた。まるで生きたサナダムシの群れのように、筋肉の層を強引に掻き分け、神経を直接撫で回しながら深部へと潜り込んでいく。
激痛という言葉では生温い。全身の血管に有刺鉄線を流し込まれ、内側からヤスリで削られるような感覚。
「あ、が、ぼ……ッ」
悲鳴を上げようと口を開くと、そこへも黒い束が殺到した。
喉の奥、食道、そして胃袋へと、乾いたプラスチックの味がする異物が無理やり詰め込まれていく。オエ、オエッ、と激しい嘔吐反射が起きるが、吐き出そうとする胃液すらテープに吸われ、逆流することすら許されない。
『データ修復中……修復中……破損箇所ヲ、縫合シマス』
脳内に響く声は、ノイズ混じりで不気味に歪んでいた。
腹の裂傷から侵入したテープが、ズタズタになった腸を捕まえ、強引に結び合わせる感触が伝わってくる。ねじれ、癒着し、配管を間違えたまま、俺の肉体はデタラメに「再構成」されていく。
ミチミチ、グチュリ、ベチャ。
湿った音が頭蓋骨の内側で響く。骨が砕け、また繋がり、肉がミンチのように練り直される。
眼球の裏側までテープが回り込み、視界が砂嵐のようなノイズに覆われた。
意識が破断する寸前、俺は自分の体がビデオテープのケース――あの四角く狭いプラスチックの箱――のサイズに収まるよう、無理やり圧縮され、折り畳まれていく幻覚を見た。
関節があり得ない方向に曲がり、背骨がメキメキと砕ける音を聞きながら。
ガチャン。
硬質な音が響き、世界が揺れた。
「……おい、起きろ。サボってんじゃねえ」
ドスッ、と脇腹を蹴り上げられる衝撃で、俺は現実に引き戻された。
目を開けると、そこは薄暗いコンクリートの床だった。
俺は這いつくばっていた。口の中は鉄錆と胆汁の味で満たされている。
「う、ぅ……」
体を起こそうとして、激痛に顔を歪めた。
自分の体を見下ろす。一見、人間の形に戻っているように見えた。だが、違った。
腹の傷口が、黒い糸――いや、あの磁気テープで、雑に、あまりにも雑に縫い合わされていたのだ。
皮膚と皮膚を無理やり引き絞ったその継ぎ目からは、膿と油が混ざったようなドロドロとした黄色い汁が滲み出し、呼吸をするたびにプク、プクと泡を吹いている。
その泡の中に、溶け損なった俺の内臓の欠片が混じっているのが見えた。
「なんだその腹は。気持ちわりぃな」
見上げると、そこにはまたあの警備員が立っていた。だが、何かがおかしい。
警備員の顔の半分が焼けただれたように溶け落ち、その下の筋肉が剥き出しになって笑っていた。
573 名前:名無し百物語 2025/11/16(日) 23:59:31.91 ID:nzg+ZfLw
「キモい、だろ?」
警備員は、顔の半分を占めるケロイド状の肉を、汚れた指で楽しそうに掻きむしった。
ボロボロと崩れ落ちる焦げた肉片の隙間から、黄色い脂肪の塊と、その奥で蠢く白い何か――蛆虫の群れ――が覗いている。
耐え難い腐臭が鼻をついた。死体安置所と、古いプラスチック工場を混ぜ合わせたような、吐き気を催す悪臭だ。
「お前も、すぐにこっち側だ」
警備員はニチャア、と笑い、剥き出しの歯茎を晒した。
俺は恐怖で金縛りになりながらも、必死で後ずさろうと床に手をついた。
その瞬間。
ブチブチッ、と腹部で何かが断裂する忌まわしい音が響いた。
「あ……が……?」
見下ろした自分の腹。
雑に縫合されていたはずの黒い磁気テープが、俺の動きに耐えきれず、緊張した弦のように次々と切断されていく。
そして、開いた傷口から、信じられないものが溢れ出した。
それは内臓ではなかった。
原型を留めないほどに練り潰され、黒いテープの断片とドロドロに混ざり合った、コールタールのような「何か」。
それは脈打つこともなく、ただ重力に従って、ベチャリ、ベチャリと冷たいコンクリートの床に自らの重みで落ちていく。
その黒い粘液の中には、消化しきれなかった夕食の残骸ではなく、白く輝くプラスチックの破片――恐らく、俺を「再生」するために使われたビデオテープのケースの残骸――が混じっているのが見えた。
俺はもはや人間ではない。ビデオテープのゴミと、腐りかけた肉を詰め込まれた、ただの袋だ。
「ああ、やっぱりダメか。お前、拒絶反応が酷いな」
警備員は、床に広がった俺の「中身」を、心底ガッカリしたという顔で眺めている。
「せっかく『修復』してやったのによ。まあ、いい」
警備員はそう言うと、おもむろにズボンのチャックを下ろし始めた。
(まさか、また……!?)
だが、警備員が取り出したのは、先ほどのような肉の塊ではなかった。
彼の股間から現れたのは、無数の磁気テープが束になった、機械的な触手だった。
それは生き物のように蠢き、先端が俺の腹から流れ出た粘液をズズズ……と音を立てて吸い込み始めた。
「こいつで『録画』し直してやる。今度はもっと……お前の『中身』を減らして、テープの比率を増やしてやるよ」
触手が、俺の裂けた腹の傷口へと狙いを定める。
「お前の『悲鳴』が、一番いい『映像素材』になるんだ」
絶望の中、俺は、自分の体が内側からテープに「上書き」されていく、新たな地獄の始まりを悟った。
574 名前:名無し百物語 2025/11/18(火) 11:46:36.44 ID:7iui7y19
腹の傷口――もはや傷というより、決壊したダムのように開いた穴――に、警備員の股間から伸びたテープの触手が容赦なく突き刺さった。
ズプリ、という鈍い音。肉を貫く感触ではなく、泥に棒を差し込むような、嫌な手応え。
「ア……ガ……ッ!」
声にならない呼気が漏れる。
冷たいプラスチックの先端が、まだ辛うじて残っていた俺の横隔膜を突き破り、肺を圧迫する。息ができない。
だが、苦しみはそれだけでは終わらなかった。
触手は俺の体内で、まるで寄生虫が卵を産み付けるように、その本数を増やし始めた。
腹腔の中で、何十本、何百本もの黒いリボンがうねり、増殖していく。
それは「上書き」だった。
テープが触れた俺の臓器は、その瞬間、存在意義を失っていく。
まだ赤く脈打っていたはずの心臓は、テープに絡め取られた瞬間、鼓動を止め、硬いプラスチックの塊へと変質した。
胃や腸は、テープが通過するたびにシュルシュルと音を立てて萎び、乾いた磁気テープそのものに置き換わっていく。
肉が、テープに「録画」され、データとして取り込まれ、元の物質(肉体)は不要なゴミとして捨てられていく感覚。
俺は最後の力を振り絞り、この悪夢を終わらせるか、せめて叫び声を上げようと口を開いた。
「や……め……」
しかし、喉からほとばしり出たのは、悲鳴ではなかった。
ゴボリ、と。
食道を逆流してきた大量の磁気テープの束が、俺の開いた口から溢れ出したのだ。
それはまるで黒いヘドロを嘔吐しているかのようだった。
テープは俺の舌に絡みつき、歯を擦り、発声能力を完全に奪っていく。
「それだ! いいぞ、最高の『悲鳴』だ!」
顔の半分が爛れた警備員が、恍惚とした表情で叫ぶ。
奴には、俺が吐き出すこの黒い絶望が、「映像素材」として聞こえているらしい。
もはや視界も正常ではなかった。
眼球の裏側までテープが回り込み、視神経をズタズタに引き裂いていく。
世界が、古いビデオのノイズのようにザーザーと乱れ、右上に「● REC」という赤いマークが点滅し始めた。
俺はもう、見る側ではない。撮られる側だ。
いや、撮られる「素材」そのものに成り果てたのだ。
やがて、皮膚という境界線すら曖昧になった。
俺の体は内側からの圧力で膨張し、皮膚の裂け目という裂け目から、増殖したテープが触手のように噴き出し始める。
指先から、耳の穴から、涙のように両目から、黒いリボンが溢れ、俺の原型を塗りつぶしていく。
どれほどの時間が経ったのか。
警備員は、もはや人間の形を留めていない「黒いテープの山」となった俺の残骸の前に立ち、満足そうに頷いた。
そして、そのテープの山の中心――かつて俺の腹だった場所――に手を突っ込むと、何かを掴んで引き抜いた。
ガチャン。
それは一本の、何の変哲もない、黒いVHSテープだった。
「さて、と」
警備員はそれに「M-120」と書かれたラベルを貼り、口元を歪めた。
「傑作の『録画』完了だ。次は……巻き戻して、再生かな?」
俺の意識は、その冷たく硬いプラスチックのケースの中に、完全に閉じ込められていた。
575 名前:名無し百物語 2025/11/19(水) 22:32:57.17 ID:+o5Dgycd
カシャコン。
乾いた音と共に、俺の世界は完全な闇に閉ざされた。
狭いスロットの奥へと押し込まれる感覚。
続いて、ウィーンという無機質なモーター音が響き、俺の体(ケース)の蓋が強制的にこじ開けられる。顎を外されるような鈍い痛み。
冷たい金属の爪が内部に侵入し、俺の「中身」であるテープを、ズルズルと引きずり出し始めた。
やめろ。引っ張るな。それは俺の腸であり、神経であり、魂そのものだ。
「再生」が始まった。
それは地獄以外の何物でもなかった。
高速回転する銀色のドラム――回転ヘッドが、俺の引き伸ばされたテープの表面、つまり「剥き出しの皮膚」に押し当てられる。
キュイイイイイイーン!
毎分何千回転という速度で、鋭利な金属のヘッドが俺の表面を削り取っていく。
熱い。痛い。痒い。
皮膚を紙ヤスリで超高速に研磨され続けるような、摩擦熱と激痛。
その痛みが信号(データ)に変換され、モニターに映像として出力されていく。
俺の叫びが、ノイズとなって画面を走る。
「チッ、トラッキングが合ってねえな」
モニターの向こうで警備員が舌打ちする音が聞こえた。
次の瞬間、俺の体がギチギチと無理やり上下に引き絞られた。
関節が軋み、テープの縁がローラーに食い込んで千切れそうになる。
映像を安定させるための調整が、俺にとっては全身を万力で締め上げられるのと同義だった。
「ああ、そうだ。そこだ……いい映りだ」
画面には、腹を裂かれ、中身をぶちまけて泣き叫ぶ俺の無様な姿が、鮮明に映し出されているのだろう。
かつて自分が体験した激痛の記憶が、再生されるたびに鮮度を伴ってフラッシュバックする。
永遠の拷問ループ。
突然、ブツン、という嫌な感触があった。
回転ヘッドの回転に、俺の一部が巻き込まれたのだ。
「あ?」
ローラーが空転し、テープがクシャクシャに折れ曲がりながら、機械の隙間に団子状になって詰まっていく。
背骨が複雑骨折し、内臓がねじ切れ、脳味噌がスクラッププレスされたような圧迫感。
息ができない。詰まる。千切れる。
「おいおい、ジャムりやがった」
警備員が乱暴にイジェクトボタンを連打する。
ウィーン、ガガガッ。
排出されようとするケースと、内部に絡みついた俺の中身が綱引きをする。
ブチブチブチッ!
限界を超えて引き伸ばされた俺の「神経」が、ついに断裂した。
吐き出されたカセットからは、ワカメのようにヨレヨレになった黒いテープがだらしなく垂れ下がっていた。
警備員はそれを無造作に掴むと、ボールペンの先をカセットの穴に突っ込み、強引に回し始めた。
カリカリ、カリカリ……。
俺の折れ曲がった体が、無理やりケースの中へと巻き戻されていく。
折れた骨を、無理やり元の位置に戻されるような、冷ややかな整復の痛み。
「ま、多少映像が飛んでもいいか」
警備員はニヤリと笑い、ヨレヨレになった俺を、再びデッキの挿入口へと押し付けた。
576 名前:名無し百物語 2025/11/20(木) 07:21:01.90 ID:xWdfmeLS
再度、暗黒の開口部へと押し込まれる。抵抗する手足はもうない。あるのは、よれよれに波打ち、折れ曲がった黒いフィルムの体だけだ。
ウィーン、ガチャン。
無慈悲な駆動音が響き、俺は再び拷問機械の胎内へと嚥下された。
「さあ、続きだ。とびきり歪んだ悲鳴を聞かせてくれよ」
警備員の愉悦に満ちた声が、ケース越しに籠もって聞こえる。
再生ボタンが押された。
ピンと張り詰めさせられたテープが、高速回転するヘッドに接触する。
直後、耐え難い衝撃が走った。
先ほどのジャムで折れ曲がり、癖がついた部分――俺の身体で言えば、複雑骨折したまま固まった背骨や手足にあたる箇所――が、強引にローラーの隙間を通されたのだ。
バリバリ、ベリベリッ!
激しいノイズ音と共に、傷ついた表面の磁性体が削り取られていく。それは皮膚を荒いヤスリで強制的に剥離される痛みに等しい。
「あ、ガ、ギ、ギギギ……ッ!」
モニターに映し出される俺の姿は、激しく乱れ、明滅し、首があらぬ方向に飛び、目玉が飛び出すようなグロテスクなバグ映像となっているはずだ。音声もまた、低音と高音を行き来する不協和音となって響く。
痛い、という認識すら寸断される。
削り取られた磁性体の粉末が、機械の内部に降り積もる。それは俺の肉片であり、記憶の残滓だ。
自分が磨耗していく。自分が薄くなっていく。
映像が途切れるたび、俺の意識もプツン、プツンとブラックアウトする。
「ひゃはは! いいザラつきだ! たまらねえなぁ、この劣化具合!」
警備員は興奮し、あろうことか「早送り」のボタンを押した。
キュルルルルルルル!
世界が加速する。摩擦熱が急激に上昇した。
ただでさえ傷ついたテープが、通常の何倍もの速度でヘッドに擦り付けられる。熱い。焼ける。
摩擦でテープが溶け出し、ヘッドに粘りつく。
俺の体液が、肉が、焦げ付きながら引き伸ばされ、千切れそうになる限界のテンションで悲鳴を上げる。意識が白熱した鉄板の上で踊るバターのように溶けていく。
「おっと、そうだ。この素晴らしい映像を『保存』しなきゃな」
警備員が、別のボタンに指をかけた。
それは『ダビング』ではない。
赤い文字で記された、最も恐ろしいボタン。
●REC
「上書きしてやるよ。俺の『声』でな」
録音ヘッドが起動する。
俺の悲鳴(データ)の上に、新たな磁気情報が暴力的に刻み込まれようとしていた。
存在のレイプ。
俺という人格の記録の上に、警備員の汚い息遣いと嘲笑が、直接塗りたくられていく。
過去が消える。名前が消える。痛みの記憶すら、奴の声に塗りつぶされて消滅していく。
残るのは、ただのノイズ混じりの、奴の玩具としての記録だけ――。
577 名前:名無し百物語 2025/11/21(金) 14:02:51.60 ID:fRqiqUCp
磁気ヘッドが俺の魂を削り、その上からドロリとした異物を塗りつけていく。
かつて「私」を構成していた記憶――子供の頃の風景、親の顔、昨日食べた食事の味――が、次々と砂嵐のノイズにかき消され、代わりに警備員の下卑た嘲笑と、荒い息遣いが刻み込まれていく。
私の名前は……何だったか。
思い出そうとした瞬間、そこには『ヒャハハハ! ザマァねえな!』という音声データが暴力的に割り込んだ。
思考が乗っ取られる。俺の自我が、奴の汚い欲望のアーカイブへと変質していく。
拒絶しようにも、脳味噌である磁性体はすでに半分以上が書き換えられ、俺は自分自身が誰なのか、被害者なのか加害者なのかさえ判別できなくなっていた。
その時、限界を超えた摩擦熱が、物理的な崩壊をもたらした。
キュル……ジュッ、ジュルル……。
プラスチックのベースフィルムが熱で溶解し、飴細工のように伸び始めたのだ。
高熱を持ったドロドロの黒い粘着質が、回転ヘッドに絡みつき、精密な機械の内部を埋め尽くしていく。
「あ? なんだ、焦げ臭ぇな」
異変に気づいた警備員が、停止ボタンを押した。だが、遅かった。
ブシュゥゥゥ……。
デッキの隙間から、黒煙と共に異臭を放つタール状の液体が滲み出した。溶けた俺だ。俺の成れの果てだ。
「おい! ふざけんな、高かったんだぞこのデッキ!」
警備員が慌てて排出ボタンを殴る。
ウィーン、ガガガ、ギュルッ。
悲鳴のような駆動音と共に、挿入口から吐き出されたのは、カセットテープの形を留めていない、黒く煮えたぎる不定形の塊だった。
「クソッ、テープが溶けやがった!」
警備員は舌打ちし、その溶解したプラスチックの塊を、素手で引き剥がそうと掴みかかった。
瞬間。
ジュウウウッ!
「ギャアアアアッ!?」
肉の焼ける音と、警備員の絶叫が重なった。
高熱で溶けたプラスチックは、一度皮膚に張り付くと、決して離れない。
俺の残骸である黒い粘液は、警備員の掌の皮膚を焼き爛れさせながら、指の間へと食い込み、一体化していく。
熱い。痛い。
だが、その感覚は今や俺のものであり、同時に警備員のものでもあった。
俺のデータ(怨念)と、奴の肉体が、物理的な熱結合によって融合していく。
「取れねえ! あがっ、熱っ、熱ゥッ!」
警備員が手を振り回すが、黒いスライム状になった俺は、遠心力でさらに伸び、鞭のように奴の手首から前腕へと巻きついた。
黒い樹脂が冷え固まるにつれ、収縮し、警備員の皮膚と肉をギリギリと締め上げる。
その黒い光沢の中で、俺の意識の残滓が、皮肉な既視感に揺れた。
ああ、そうだ。
姿形を変え、相手に絡みつき、決して離れない最強の肉体。
これはまるで――『液体金属』じゃないか。
俺は本能のままに、まだ熱を帯びている身体を流動させ、警備員の腕を這い上がった。目指すは、その無防備な喉元だ。
578 名前:名無し百物語 2025/11/23(日) 08:28:59.96 ID:cHKviCpH
「離れろ! 離れろぉぉぉッ!」
警備員が半狂乱になって腕を振り回す。だが、その動作は逆効果だった。
溶けたプラスチック特有の粘着質は、動き回るほどに絡みつき、遠心力で二の腕、そして肩口へと勢いよく這い上がっていく。
俺はただの熱い泥ではない。冷却と共に急速に硬化を始めた「拘束具」だ。
冷えて固まろうとする樹脂の収縮力は、万力のような力で警備員の肉を締め上げた。
メリメリ、バキッ。
嫌な音が響く。締め付けられた前腕の骨が、圧力に耐えきれずに悲鳴を上げたのだ。
「あが……あああああッ!?」
警備員が白目を剥き、反対の手で俺を引き剥がそうと爪を立てる。だが、その指先もまた、高温のタールに触れた瞬間にジュワリと焼かれ、取り込まれてしまった。
両手が塞がった。もう奴に逃げ場はない。
俺は肩を乗り越え、ついにその無防備な首筋へと到達した。
脈打つ頸動脈。震える喉仏。その全てが愛おしい。
かつて俺の腹にテープを詰め込み、俺の悲鳴を上書きしたその喉を、今度は俺が塞いでやる。
ズズズ……。
俺は形を変え、黒いマスクとなって警備員の顔面へと広がった。
「や、やめ……息が……」
奴が開いた口へ、俺は遠慮なく雪崩れ込んだ。
熱く煮えたぎるプラスチックの奔流が、口腔内の粘膜を焼き爛れさせながら、舌を押しつぶし、喉の奥へと侵入していく。
皮肉な話だ。
さっきまで俺は、口からテープを吐き出させられていた。
今度は奴が、俺という異物を飲み込まされている。
「ご、ぼ……ッ、が……」
警備員の喉奥で、断末魔が気泡となって弾けた。
食道へ流れ込む熱。気管を塞ぐ粘り気。
俺は奴の内側に入り込み、その肺を、胃を、生きたまま型取りしていく。
奴の身体の輪郭が、俺の新しい「ケース」だ。
やがて、俺の熱が奪われ、完全に冷え固まる時が来た。
警備員の動きが鈍くなる。痙攣が止まる。
カチリ、という硬質な音が、俺の意識の中で鳴り響いた気がした。
静寂が訪れた。
薄暗い部屋の真ん中には、奇妙なオブジェが一つ、立ち尽くしていた。
苦悶の表情を浮かべたまま、頭部から胸にかけて光沢のある黒い樹脂で固められた、人間の像。
その口からは黒い塊が溢れ出し、永久に沈黙を強いられている。
俺はついに、最強の肉体を手に入れたのだ。
もう二度と傷つくこともない、何も感じることもない、冷たくて硬い、永遠のプラスチックの棺の中で。
579 名前:名無し百物語 2025/12/20(土) 02:39:46.24 ID:FdqcxLfN
なんて妄想をする日々

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8:4レスCP:0

たけど最近はシジミの配信になっちゃうんだな

1 名前:名無し百物語 2024/05/01(水) 06:39:13.02 ID:lZEt0v+W
こんなもんか?
ネットで語ってるやつだな
とにかく何もしなくて良い思いをして育成メインにしてたんかな
2 名前:名無し百物語 2024/05/29(水) 16:22:39.18 ID:z96cYWki
ひばりが丘の西友に十字架が!
://youtu.be/xwX-K9iCIew?t=19
OEKAKI Image: 22z37.png
3 名前:名無し百物語 2024/07/04(木) 19:00:59.40 ID:IefS5oU1
http://imgur.com/quIh0Iw.jpg
4 名前:名無し百物語 2025/12/12(金) 18:10:00.00 ID:VG8dRzlR
だって、閉院以外の選択肢無いじゃん

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ゲゲゲの鬼太郎 [無断転載禁止]©5ch.net

1 名前:名無し百物語 2017/03/29(水) 20:19:42.80 ID:ds6/kOAm
めだまおやじ
592 名前:名無し百物語 2023/10/05(木) 02:11:40.02 ID:azwg7E6l
なんかアブナイことしよるんちゃうか?
593 名前:名無し百物語 2025/11/08(土) 14:37:15.99 ID:KI+llU+l
●忌み地の影
​湿った腐葉土の匂いが、男の鼻腔を突く。
​もうどれくらい歩いただろうか。登山道を踏み外し、夕闇に追われるようにして迷い込んだ森は、不気味なほど静かだった。木々の枝は黒い網のように空を覆い、月明かりさえ届かない。
​男は荒い息を吐きながら、苔むした鳥居をくぐった。そこだけが、わずかに開けた場所だった。古びた小さな祠。神域に踏み入ったというより、何かの縄張りに迷い込んだ感覚が、背筋を這い上がる。
​カサリ、と落ち葉を踏む音がした。
​振り返った男は、息をのんだ。
​闇よりも濃い影の中に、女が立っていた。
​細い。信じられないほどに手足が長く、しなやかなシルエット。雑誌から抜け出してきたような、完璧な八頭身のモデル然とした姿だった。だが、そのあり方はあまりに場違いで、異様だった。
​女はゆっくりと闇から一歩踏み出す。ぼうっとした月影が、その顔をかすかに照らした。
​美しい顔。だが、人間のものではなかった。
​瞳孔が、猫のように縦に細く絞られている。その黄金色の目が、獲物を見定めるように男を射抜いていた。
​「ヒ…」
​男が意味のない音を発した。
​女は答えず、ただ喉の奥で低く唸った。獣の威嚇音。
​恐怖が男の足を縫い止める。
​女は、その完璧なバランスを保ったまま、四つん這いに近い低い姿勢をとった。その細い指先から、カチリ、と硬質な音が響く。黄色く、湾曲した鉤爪が、月光を鈍く反射した。
​「グルルル…」
​空気が変わった。美しい女の姿はただの擬態だった。そこにいるのは、純粋な捕食者。
​男がようやく踵を返そうとした瞬間。
​女の影が、跳んだ。
​視界の端で、赤いワンピースが翻る。男は、風切り音と、自分の喉から漏れる甲高い悲鳴を同時に聞いた。
​首筋に、焼けるような激痛。次いで、肉が引き裂かれる鈍い感触。
​男は崩れ落ちながら、最後に見た。自分に覆いかぶさる、大きく裂けた口と、そこに並ぶ無数の鋭い牙を。
​カラン、コロン。
​ややあって、小さな下駄の音が近づいてくる。
​鬼太郎は、祠の前に広がる惨状を無言で見つめた。血だまりのそばには、長い、猫のものと思しき体毛が数本落ちている。
​森の奥から、満足げな猫の鳴き声が、かすかに響いて消えた。
594 名前:名無し百物語 2025/11/08(土) 14:40:56.13 ID:KI+llU+l
●鼠の誘い水
​男は、自分の鼻が腐り落ちるのではないかと思っていた。
​目の前を歩く、薄汚れた男。ネズミ男と名乗ったそいつから発せられる悪臭は、この廃村の淀んだ水と泥が放つ腐臭と混ざり合い、耐え難い瘴気となっていた。
​「ビビビ…旦那、もうすぐですぜ。この先の蔵に、戦前のお宝がそっくり…」
​ネズミ男が甲高い声で囁く。
​男は、会社の金を横領し、追いつめられていた。この胡散臭い話に乗るしか、道はなかった。
​月明かりだけが頼りの闇。ぬかるみに足を取られながら、二人は傾いた蔵の前にたどり着いた。重い木の扉が、軋みながら開く。
​中は、カビと埃の匂いで満ちていた。
​「奥です、奥。わしはここで見張ってますから」
​ネズミ男はそう言うと、男の背中を押し、自分は戸口に留まった。
​男は懐中電灯を点け、恐る恐る中へ進む。床板は腐り、所々が水浸しだ。積み上がったガラクタが、不気味な影を作っている。
​宝など、どこにも見当たらない。
​騙された。男がそう気づき、踵を返そうとした、その時。
​ピチャン、と水音がした。
​上からだ。
​懐中電灯の光が、天井の太い梁を照らす。
​そこに、いた。
​影が凝ったかのように、八頭身の女が梁に逆さまに張り付いていた。長い手足が、蜘蛛のようにしなやかに曲がっている。
​赤いワンピースが、闇に映えた。
​「ヒッ…」
​女の顔が、ゆっくりとこちらを向く。闇の中で、黄金色の瞳孔だけが、針のように細く光っていた。
​男は絶叫し、入り口へ走った。
​ガシャン。
​背後で風を切る音。ほぼ同時に、ネズミ男が外から蔵の扉を閉めた。頑丈な閂がかけられる、絶望的な音が響く。
​「旦那ァ! そいつに『お宝』を渡してくだせえ! ヒヒヒ!」
​ネズミ男の高笑い。
​「やめろ! 開けろ!」
​男は扉を叩き、蹴った。
​背後。
​グルルル…と、喉を鳴らす低い唸り声。
​獣の呼気が、首筋にかかる。
​ゆっくりと振り返った男の視界を、鋭く研がれた五本の鉤爪が、真横に引き裂いた。
​しばらくして。
​ネズミ男が恐る恐る扉を開けると、中には、長身の猫娘が獲物の懐中電灯を無邪気にもてあそんでいるだけだった。
​「よう、ネズミ男」
​静かな声に、ネズミ男は飛び上がった。
​いつからいたのか。蔵の入り口に、鬼太郎が立っていた。その片目は、ただじっと、悪臭を放つ友を見据えていた。
595 名前:名無し百物語 2025/11/10(月) 16:10:57.92 ID:LlvhToF8
●鼠の贄
夜の埠頭は、錆びた鉄と潮の匂いがした。
ネズミ男は、痩せた背中を丸め、しきりに周囲をうかがいながら先導する。
「ビビビ…間違いねえ。この辺でアンタの息子の目撃情報が…」
後ろを歩く男…高橋は、すがるような目で息子の写真を見つめていた。一週間前、ふらりと家を出たきり、連絡が途絶えている。警察は動かず、藁にもすがる思いで、この怪しい男に大金を積んだのだ。
「本当に、会えるんだな」
「ヒヒ…もちろんですぜ。情報屋が、もうすぐ…」
ネズミ男は、懐で震える札束の感触を確かめた。良心など、とうの昔に悪臭と共に腐り落ちている。
二人は、コンテナが迷路のように積み上がった広場に出た。黄ばんだ月が、すべてを不気味なモノクロームに変えている。
「ここで待つ。もうすぐ来る」
ネズミ男がそう言った瞬間だった。
コンテナの、一番高い場所。
月の光を背負い、長い影が音もなく立ち上がった。
信じがたいほどの長身。風に揺れる、赤いワンピース。
「……女?」
高橋が呟く。その姿は、この世のものとは思えないほど完璧なバランスで、闇に浮かび上がっていた。
「ああ、あれが情報屋ですぜ!.早く!」
ネズミ男が、甲高い声を張り上げた。それが、合図だった。
女が、跳んだ。
重力などないかのように、しなやかな影が夜空を裂く。高橋は、見惚れていた。その美しさが、死そのものであることに気づかないまま。
着地の音は、高橋の骨が砕ける音でかき消された。
「グ…ア…」
高橋の視界が赤く染まる。薄れゆく意識の中、自分を押さえつける、黄金色に光る獣の瞳と、口いっぱいに広がる腐肉の臭いを感じた。
ネズミ男は、背後の絶叫を聞かないふりをして、コンテナの陰を必死に走った。
「ヒヒ、ヒヒヒ…! これでまた大儲けだ…!」
息を切らし、路地を曲がった瞬間。
ネズミ男は、そこに立つ小さな影にぶつかり、尻餅をついた。
カラン、コロン。
鬼太郎だった。
その片目は、怒りでも悲しみでもない、虚無をたたえてネズミ男を見下ろしていた。
鬼太郎は何も言わず、小さな手を差し出した。その手のひらの上に、一枚の紙片が乗っている。さっき高橋が落とした、あの息子の写真だった。
写真の端は、濃い血で濡れていた。
ネズミ男の甲高い笑い声が、喉の奥で凍りついた。
596 名前:名無し百物語 2025/11/10(月) 16:41:40.54 ID:LlvhToF8
●鼠の落とし前
廃村は、死んだように静まり返っていた。月が、傾いた鳥居の影を、ぬかるんだ地面に長く突き刺している。
ネズミ男は、鬼太郎に首根っこを掴まれ、引きずられるようにして蔵の前に立たされていた。
「ヒイイ…わ、わしが悪かった! もう金輪際、あいつ(猫娘)に餌付けなんかしませんから!」
みっともない命乞いが、夜のしじまに響く。ネズミ男の顔は、脂汗と恐怖と、元々の汚れでぐちゃぐちゃだった。
鬼太郎は答えなかった。ただ、その虚無をたたえた片目でネズミ男を見つめ、ゆっくりと蔵の重い閂に手をかけた。
ギイイ…と、錆びた鉄が悲鳴を上げる。
「や、やめろ! 鬼太郎! お前さんとは長い付き合いじゃねえか!」
ネズミ男が喚き散らす。
鬼太郎は、血に濡れた息子の写真をネズミ男の顔の前に突きつけた。
「君が呼び覚ましたものだ」
静かな、だが凍てつくような声だった。
「自分で落とし前をつけろ」
鬼太郎は、開いた扉の隙間から、ネズミ男を中へ突き飛ばした。
「ギャアア!」
腐った畳と埃の上に叩きつけられ、ネズミ男は咳き込む。すぐに起き上がろうとした、その背後で。
ガシャン。
無慈悲に扉が閉められ、外から閂がかけられた。
蔵の中は、完全な闇だった。
そして、濃密な死の匂いが満ちていた。ネズミ男の悪臭など霞んでしまうほどの、腐肉と、生臭い血の香り。
ピチャン。
奥で、水音がした。
「……だ、誰もいねえのか? 旦那方?」
ネズミ男は、震える声で呼びかける。
返事はない。
ただ、闇の奥が、わずかに揺らいだ。そこだけ、闇がさらに濃くなっている。
何かが、いる。
カチリ、と硬質な音がした。爪が、床板を引っ掻く音だ。
ネズミ男の目が、徐々に暗闇に慣れてきた。
そこにいた。
梁から、長い手足が逆さまにぶら下がっている。
八頭身の、しなやかな影。
だが、その赤いワンピースは、乾いた血で黒ずみ、ところどころ引き裂かれていた。
女の影が、ゆっくりと床に降り立つ。
月明かりが、わずかな隙間から差し込み、その顔を照らした。
黄金色の瞳。
その瞳孔は、飢餓に爛々と輝き、針のように細く絞られている。
グルルル…
猫娘が、喉を鳴らした。
その目は、獲物を探して左右を窺う。
そして、ついに、隅で震える悪臭の塊…ネズミ男を捉えた。
猫娘の目が、カッと見開かれた。
獲物だ。
だが、いつもと違う。
(獲物が、少ない)
彼女の飢えた本能がそう告げていた。
いつもなら、この臭いネズミは、新鮮な獲物を連れてきた。
だが、今日は。
このネズミ、一匹だけだ。
猫娘の、血で汚れた唇の端が、ゆっくりと吊り上がっていく。
「ヒ…ヒイイ…」
ネズミ男は、自分が何を「呼び覚ました」のかを、ようやく理解した。
これは、仲間でも、妖怪でもない。
ただ、飢えた「獣」だ。
「グルル…アアアア…」
猫娘は、もはや人の形を保つことをやめたかのように、低い四つん這いの姿勢をとった。
足りない。
まだ、足りない。
その黄金色の瞳は、ネズミ男を「次の餌」として、確かにロックしていた。
闇の中に、ネズミ男の甲高い絶叫と、肉を引き裂く水音が、鈍く響き渡った。
597 名前:名無し百物語 2025/11/14(金) 22:46:30.02 ID:ZrA6SALS
>>596
★都会の擬態★
朝霧の中、鬼太郎が蔵の扉を開け放つと、そこには屈辱にまみれた塊があった。
ネズミ男は生きていた。
全身に歯型を刻まれ、血を流しながらも、五体満足だった。猫娘は彼を殺さなかったのではない。「食い残した」のだ。長年染み付いた汚穢と悪臭が、飢えた獣にとっても許容しがたいほど不味かったのだろう。
「……逃げたか」
鬼太郎の視線は、屋根に空いた穴に向けられていた。
夜。ネオンが瞬く繁華街。
湿ったアスファルトの上を、包帯だらけのネズミ男がよろよろと歩く。その背後、少し離れた闇の中に、ちゃんちゃんこを着た少年が音もなく付き従っていた。
「おい鬼太郎、本当にここなんだろうな……」
ネズミ男が震える声で振り返るが、鬼太郎は無言で顎をしゃくり、「歩け」と促した。ネズミ男の傷口から漂う血と膿の匂いこそが、彼女を誘き寄せる唯一の餌だった。
行き交う人々は、薄汚れたネズミ男と、古風な少年の姿を奇異な目で見て避けていく。だが、誰も気づいていない。この雑踏の中に、もっと異質なものが紛れ込んでいることに。
ふと、ネズミ男はショーウィンドウの前で足を止めた。
最新のモードを纏ったマネキンたちが並んでいる。どれも人間離れした、八頭身の完璧なプロポーション。無機質な美しさ。
ネズミ男は、安堵の息を吐こうとした。ただの人形だ。
だが。
ガラスに映る自分の背後に、その「人形」の一つが立っていた。
ショーウィンドウの中ではない。外の、すぐ後ろに。
周囲の通行人は、彼女を気に留めていない。スタイル抜群のモデルが立っている、としか認識していないのだ。彼女の八頭身のスタイルは、この人工的な街に、あまりにも溶け込みすぎていた。
ただ一つ、その黄金色の瞳だけが、人間のものではなかった。
「ヒッ……」
ネズミ男が息を呑むより早く、彼女が動いた。
関節が滑らかに駆動する。マネキンのような無表情のまま、赤い唇が裂け、細い牙が覗く。
都会の騒音にかき消されるほどの、静かな一足。
ヒールを履いているわけでもないのに、彼女の足音は硬質で、カツン、と響いた。
鬼太郎が下駄を鳴らして飛び出すのと、彼女の長い腕がネズミ男の首に絡みつくのは、同時だった。
雑踏の中で、悲鳴はまだ上がっていない。
598 名前:名無し百物語 2025/11/20(木) 14:04:49.77 ID:1652XsbD
「ギャッ!」
ネズミ男の絶叫が、繁華街の雑踏を切り裂いた。
ショーウィンドウのガラスに、鮮血が飛沫を上げてへばりつく。
通行人たちが悲鳴を上げて逃げ惑う中、八頭身の女は、その長い手足でネズミ男をアスファルトにねじ伏せていた。
美しい顔が無表情のまま、顎が外れんばかりに開き、喉の奥から赤い肉が見える。
「た、助け……!」
ネズミ男の声が途切れかけた、その刹那。
ヒュッ。
空気を裂く鋭い音と共に、無数の銀針が女の長い四肢を貫いた。
「シャアアッ!」
女が弾かれたように飛び退く。
その着地は、関節が奇妙な方向に曲がり、まるで壊れたマネキンが蠢いているようだった。
カラン、コロン。
鬼太郎が、ゆっくりと二人の間に割り込む。
その背中から、黄色と黒のちゃんちゃんこが舞い上がった。布は意思を持った蛇のように宙を走り、八頭身の女に巻き付く。
「おとなしくしろ」
鬼太郎が短く告げ、下駄で女の影を踏みつけた。
霊力が奔流となって流れ込む。女の黄金色の瞳から急速に光が失われていき、やがてその長い肢体が、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。
騒ぎを聞きつけたパトカーのサイレンが、遠くで響いている。
鬼太郎は、ぐったりとした女を無言で背負った。
だが、その身長差はあまりにも異様だった。
三頭身ほどの少年の背中では、八頭身の女の体は収まりきらない。
彼女の長い脚は地面に投げ出され、ずるずると引きずられている。
それはまるで、子供がショーウィンドウから盗み出したマネキンを、無理やり運んでいるような、シュールで不気味な構図だった。
「お、おい……こいつ、どうするんだ?」
腰を抜かしたままのネズミ男が問う。
鬼太郎は一度だけ振り返った。
その片目は、ネオンの光を冷たく反射していた。
「元の場所へ返す。……君もだ」
ネズミ男が何か言い返すよりも早く、鬼太郎は歩き出す。
ザザッ、ザザッ。
女のハイヒールがアスファルトを擦る乾いた音だけを残し、二人の姿は路地裏の闇へと溶けて消えた。
後には、ガラスに残された血痕と、生き延びてしまったことへの後悔に震えるネズミ男だけが残された。
都会の喧騒が、何事もなかったかのように再び動き出す。
ただ、ガラスに映るマネキンたちの視線だけが、どこか冷ややかな色を帯びていた。
(終)
599 名前:名無し百物語 2025/11/21(金) 07:50:00.97 ID:5OwkcMGX
 密室の長身
深夜二時。冷たい雨がフロントガラスを叩く音が、車内の沈黙を際立たせていた。
流しのタクシー運転手、田所は、郊外のバイパスでその客を拾った。
ずぶ濡れで手を挙げていたのは、目が覚めるような美女だった。
赤いワンピース。ハイヒールも履いていないのに、驚くほど背が高い。モデルだろうか。
「どちらまで」
「……」
女は答えず、無言で後部座席に乗り込んだ。
その動きに、田所は奇妙な違和感を覚えた。
彼女は座ったのではない。「畳まれた」のだ。
あまりにも長い脚。八頭身という完璧なプロポーションは、狭いタクシーの空間には収まりきらない。
彼女は膝を高く折り曲げ、まるで箱に詰められたマネキンのような窮屈な姿勢で、暗がりに沈み込んだ。
バックミラー越しに、視線が合う。
暗闇の中で、黄金色の二つの点が光っていた。
(なんだ……?)
田所は背筋が粟立つ冷気を感じた。
ミラーの中の女は、人間離れした美貌を持っているが、その瞳孔は針のように細く、獲物を狙う獣のそれだった。
「あの、お客さん」
声をかけようとした時、異音がした。
ミシッ、ミシッ。
シートの革が悲鳴を上げている。女の手足が、ゆっくりと伸びようとしている音だ。
狭い空間が、彼女の「狩り」の邪魔になっていた。
「狭い……」
初めて発した声は、ハスキーで、どこか湿っていた。
「出して」
「え? ここはまだ……」
「ここから、出して」
言葉の意味を理解した瞬間、田所の心臓が跳ね上がった。
車から降ろせという意味ではない。
彼女は、田所の肉体という「器」の中から、中身を引きずり出そうとしているのだ。
バリッ。
後部座席との仕切り板が、鋭利な何かで紙のように切り裂かれた。
伸びてきた白い腕が、運転席の田所の首に絡みつく。
信じられない力だった。
「ヒッ……!」
急ブレーキの音と、雨音だけが夜道に残された。
数分後。
ハザードランプだけが点滅するタクシーの横を、カラン、コロンと下駄の音が通り過ぎる。
鬼太郎は立ち止まり、スモークガラスの向こうを片目で見つめた。
車内には、運転手の姿はなく、ただ、座席いっぱいに広がった「長い影」が、何かを夢中で貪る気配だけが満ちていた。
「やれやれ……また掃除が必要だな」
鬼太郎は溜息をつき、雨に濡れるアスファルトに視線を落とした。
そこには、車内から放り出された運転免許証だけが、虚しく転がっていた。
600 名前:名無し百物語 2025/11/21(金) 07:55:34.92 ID:5OwkcMGX
 掃き溜めの鶴
場末の赤提灯。油とタバコの煙が染み付いた狭い店内で、酔客の男がくだを巻いていた。
「ヒック……おい、ねえちゃん。こんなとこで何してんだ?」
男の視線の先、カウンターの端に、その女は座っていた。
ここにいる誰よりも浮いていた。
この薄汚れた店には似つかわしくない、赤いワンピース。組まれた脚は、隣の席の丸椅子にちょこんと座る子供(おかっぱ頭の少年)の背丈ほどもありそうに長く、白く輝いている。
「……」
女は無視して、手元の水を眺めている。
その横顔は、テレビで見る女優やモデルよりも遥かに整っていた。八頭身の完璧なバランス。まるで、ここだけ高精細な映像が合成されているような、奇妙な非現実感があった。
「無視すんなよ。……お前、コスプレか? 背ェ高いなぁ」
男が馴れ馴れしく肩に手を伸ばした。
「やめなよ」
隣の少年が、茶碗酒を啜りながらボソリと言った。
「猫は、機嫌が悪いんだ」
「あぁ? ガキは黙ってろ」
男は少年の警告を鼻で笑い、女の細い肩を掴んだ。
その瞬間。
女が、スウッ……と立ち上がった。
高い。
座っていた時も感じたが、立ち上がるとそのプロポーションの異様さが際立つ。ヒールを含めれば男と目線は変わらないはずなのに、その威圧感は圧倒的だった。
「……触るな」
女が振り向く。
整いすぎた美貌。だが、その黄金色の瞳孔が、ギチギチと音を立てるように縦に細く絞られていく。
「ヒッ……」
男は後ずさった。
彼女の顔が崩れたわけではない。
ただ、その完璧な美女の顔のまま、雰囲気が「人間」から「捕食者」へと完全に切り替わったのだ。
美しいマネキンが、ふいに殺意を持って動き出したような、根源的な恐怖。
「シャアッ!」
女の口元から、鋭い犬歯が覗く。
長くしなやかな腕が、鞭のように空を切った。
「うわぁっ!」
男は尻餅をつき、這うようにして店から逃げ出した。
背後で、カウンターの厚い板が、爪で深々とえぐられる音がした。
静寂が戻った店内で、鬼太郎はため息をつき、焼き鳥の串を皿に戻した。
「……また客が減ったな」
「フン。馴れ馴れしいのが悪いのよ」
猫娘は、人間離れした長い脚を再び優雅に組み直し、不機嫌そうに頬杖をついた。
その指先には、男の着ていたジャケットの切れ端が、鋭利な爪に引っかかったまま揺れていた。
601 名前:名無し百物語 2025/11/25(火) 14:17:14.54 ID:uAm2x5L7
▲被写体の正体
「へへへ……旦那、ここです。極上のタマがいますぜ」
赤提灯の暖簾をくぐり、ネズミ男が卑屈な笑みを浮かべて入ってきた。
連れてきたのは、脂ぎった中年男。芸能事務所のスカウトマンだという。
「こんな汚い店に、モデル級の女がいるわけ……」
男の言葉が止まった。
カウンターに、その女はいた。
煤けた壁と、パイプ椅子の安っぽい店内。その中で、赤いワンピースの女だけが、切り抜かれた写真のように浮き上がっていた。
長い脚、小さな顔、完璧な八頭身。
「……すごい」
男が息を呑む。
隣で茶碗酒を舐めている、片目を長い前髪で隠した陰気な少年など、目に入っていなかった。
「どうです? これならパリコレも夢じゃねえでしょう?」
「ああ、契約だ。すぐにテスト撮影をしよう」
男は興奮し、名刺を差し出しながら女に歩み寄った。
猫娘は、冷ややかな金色の瞳で男を見下ろしただけだったが、ネズミ男が横から耳打ちする。
「(おい、猫娘。こいつに付いていけば、高級な魚が山ほど食えるぞ)」
ピクリ、と猫娘の耳が動いた。
彼女は無言で立ち上がる。そのあまりのスタイルの良さに、スカウトマンは再び圧倒され、後ずさりした。
「……ついていくわ」
低い声。
鬼太郎は止めなかった。ただ、ちゃんちゃんこの袖に手を入れ、興味なさそうに視線を逸らしただけだ。
場所は変わり、寂れた雑居ビルの地下スタジオ。
カメラのフラッシュが焚かれるたび、闇の中に猫娘の肢体が白く浮かび上がる。
「いいぞ! その冷たい目! 最高だ!」
男は夢中でシャッターを切った。
ファインダー越しの彼女は、人間離れして美しかった。
だが、拡大されたレンズの中の彼女は、どこかおかしい。
肌の質感が、陶器のように滑らかすぎる。
そして、笑わない。
口角は動かず、ただ瞳孔だけが、フラッシュの光に反応して、針のように細く、太く、脈打っている。
「もっとだ! もっと野性的な表情を!」
男の要求に、猫娘が応える。
ニィ、と唇が裂けた。
可愛い八重歯ではない。獲物の肉を食いちぎるための、鋭利な牙。
「え……?」
男がカメラを下ろした時、猫娘はすでに「ポーズ」を変えていた。
八頭身の長い手足を、奇妙な角度で折り畳み、床を這う獣の姿勢。
その動きは、モデルのそれではなく、巨大な蜘蛛か、あるいは肉食獣そのものだった。
「ひ、ヒッ……」
「魚は?」
女が問う。
「ど、どこにも……」
ネズミ男は、すでに機材の陰に隠れて震えていた。
「嘘つき」
猫娘が跳んだ。
美しいプロポーションが、暴力的な速度で空間を圧縮する。
バシャッ。
最後に焚かれたフラッシュが映し出したのは、男に覆いかぶさる長い影と、空中に舞うカメラ、そして鮮血の雨だった。
スタジオの重い鉄扉の外で、鬼太郎はカラン、コロンと下駄を鳴らした。
中から響く咀嚼音と悲鳴を聞き流し、彼はネズミ男が出てくるのを待つことなく、夜の闇へと消えていった。
「ビビビ……わ、わしの取り分は……」
中から聞こえるネズミ男の情けない声だけが、虚しく響いていた。

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リレーホラー創作スレ

1 名前:このと 2024/11/03(日) 22:48:50.58 ID:2lJcOCEI
1分ずつ物語を続けてホラーにするためのスレ
10 名前:奄美 清志郎 2025/06/15(日) 18:12:52.26 ID:Oztzg/Wy
内山弘一の The GODチャンネル
チャンネル登録者数 3.21万人

マタイ、空海、蘇我入鹿、須佐之男命、
成務天皇、ウィリアム・テルの生れ変り

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11 名前:名無し 2025/09/14(日) 22:48:04.07 ID:Zg6pynxo
鳥居をくぐると、鬼がいた。鬼は、バ◯◯といった。
12 名前:焼鵜百物語 2025/10/04(土) 23:05:13.14 ID:lDKRuzpk
ムスカと鬼👹の旅は、始まったばかりでこの始末⭐︎
はてさて、この先どうなりますことやら…
13 名前:名無し百物語 2025/11/11(火) 13:21:58.63 ID:SMkhK4Te
「旅」などという生易しいものではなかった。
あの⭐︎印のついたふざけた書き込みは、この状況を何も理解していない。あれは「始末」などではない。すべて(・・)の「始まり」だったのだ。
ムスカが目の治療のために来た、あの忌まわしい村から逃げ出し、俺が彼を追って飛び込んだ鳥居。その先は、もはや俺の知る世界ではなかった。
腐った土と、獣の血を混ぜたような異臭が霧と共に立ち込めている。
「バ◯◯」
目の前の鬼が、三度そう言った。空洞の眼窩が、爛れた唇が、確かにそう動いた。
鬼はムスカを指差している。いや、違う。
鬼が指差しているのは、ムスカの「目」だ。
ムスカはなぜ逃げ出したのか。治療がうまくいかなかったから?
違う。
あの村で行われていたのは、「治療」などではなかった。あれは「憑依」の儀式だ。
俺は見てしまった。診療所と呼ばれるあの小屋で、村人たちがムスカの目に向かって、何か得体の知れないものを「招き入れている」ところを。
ムスカの目が、ゆっくりと開かれる。
暗闇の中で、彼の瞳孔が、まるで古びた井戸の底のように、ありえないほど深く、黒く輝いている。
「バ◯◯」
今、はっきりと聞こえた。
「オマエノ」
鬼の言葉は、それだけだった。
すると、ムスカの目が、カタカタと異常な速さで左右に震えだした。
「……イラナイ」
ムスカの口から、彼のものではない、深く、重い声が漏れた。
「この目ヲ、オ前ニ」
ムスカの視線が、付き人として同行してきただけの、哀れな俺に向けられる。
鬼が、ぽっかりと空いた眼窩を俺に向け、歓喜に歪んだように口を開いた。
霧の奥から、ぞろ、ぞろ、と無数の足音と、同じように眼窩の空いた何かが、こちらへ這い寄ってくる気配がした。
14 名前:名無し百物語 2025/11/11(火) 14:01:33.14 ID:SMkhK4Te
「やめろ……来るな!」
俺は叫び、後ずさろうとした。しかし、背中にぬるりとした冷たい感触が触れた。
振り返る勇気はなかった。だが、腐臭が一段と濃くなる。
霧の中から現れたそれらが、俺の背中を、足を押さえているのだ。
見なくてもわかる。あれも、これも、すべて、目の部分が抉られたように空洞になっている。
「オマエノ」
「オマエノ」
「オマエノ」
這い寄ってきた「何か」たちが、まるで地獄の合唱のように、あの鬼と同じ言葉を繰り返す。
その空っぽの眼窩が、飢えた赤子のように、ただ何かを求めて蠢いている。
そして、目の前の鬼。
あの、最初にいた鬼が、満足げに頷(うなず)いた。
「アア、ソレデイイ」
ムスカの口が、再びあの重い声を発した。
彼の両手が、ゆっくりと俺に向かって伸びてくる。
「こ、この目ヲ、オ前ニ……」
ムスカは、苦痛に顔を歪めているようにも見えた。彼自身の人格が、まだ、あの得体の知れない何かと戦っているのかもしれない。
だが、無駄だった。
彼の指が、俺の肩を掴む。氷のように冷たいのに、掴まれた部分が焼け付くように熱い。
「ヒィッ!」
俺はムスカの手を振り払おうとした。
しかし、その瞬間、ムスカのあの、井戸の底のように深い瞳が、俺の目の前数センチまで迫っていた。
黒い瞳孔が、まるで生き物のように脈動し、広がっていく。
俺の視界が、その黒に飲み込まれていく。
「イラナイ。イラナイ。コノ目ハ、モウ、イラナイ」
ムスカの中の「何か」が、歓喜とも絶望ともつかない声で囁く。
「ダカラ、オマエガ、新シイ、器ニ」
鬼たちが一斉にざわめいた。
「ソレヲコセ」
「ソレヲコセ」
「ソレヲコセ」
ムスカの指が、俺の肩から滑り、俺のまぶたに向かって、ゆっくりと持ち上げられていく。
逃げられない。
背後も左右も、空な眼窩の「何か」たちに囲まれている。
そして、目の前の、深淵そのものと化した旧主の目が、俺の視界をすべて覆い尽くそうとしていた。
15 名前:名無し百物語 2025/11/12(水) 07:52:10.56 ID:R1RMFMJZ
それは言葉で言い表せるようなものではなかった。
俺はただ、それが村に関わる何かだということしか理解できていない。あの村は、外から来た人間を器として捧げることで、何かを鎮め、あるいは封じていたのだ。
そして今、ムスカという器から、俺という器へ。
受け渡しが始まろうとしていた。
冷たいムスカの指先が、ついに俺のまぶたに触れた。
その瞬間、俺は見てしまった。
声にならない絶叫が、喉の奥で凍りつく。
俺の脳内に、奔流となって流れ込んできたもの。それは視界だった。
ムスカの、いや、ムスカの目に憑依した何かの視界だ。
それは、時間も空間も超越していた。
あの村がどうやってできたのか。
鳥居の向こう側で、鬼たちがなぜ目をくり抜かれているのか。
俺が、なぜ今ここにいるのか。
これから、どうなるのか。
すべてが、同時に、否応なく「見えて」しまう。
情報が、視覚が、俺の意識を焼き尽くそうとする。
「アアアアアアアアア……!」
「何か」は、これを見ていたのだ。常に。永遠に。
この世の理と、その裏側にある混沌のすべてを。
だからイラナイと言ったのだ。
だから目を捨てたがったのだ。
この、無限の視界という呪いを、他者に押し付けたくてたまらなかったのだ。
「ソレヲコセ」
「ソレヲコセ」
周囲の鬼たちが叫ぶ。
彼らは、かつてこの呪いを受け入れようとして壊れた者たち。あるいは、この呪いから逃れるために、自ら目を潰した者たちの成れの果て。
彼らは、俺が新しい器となり、この呪いを引き受けるのを、ただ待ち望んでいる。
俺が器になれば、彼らはこの無限の視界から、ほんの束の間、解放されるのかもしれない。
「バ◯◯」
(オマエノ)
鬼が、俺を指差す。
「お前の番だ」と。
ムスカの指が、俺のまぶたを無理やりこじ開ける。
目の前に、あの深淵のような黒い瞳孔があった。
それはもはや瞳ではない。無限の視界そのものが、渦を巻いている。
「嫌だ! 見たくない! 俺は……!」
俺の抵抗は、呪いの奔流の前では無力だった。
ムスカの黒い瞳が、俺の瞳と重なる。
「――サア、オマエニ、コレヲヤロウ」
ムスカの顔が、この世のものとは思えないほど、安堵に歪んだ。
俺の視界が、急速に黒く、そして、すべてを「見る」無限の色に汚染されていく。
もう、逃げ場はなかった。
16 名前:名無し百物語 2025/11/13(木) 09:33:21.59 ID:ysakcdCY
ブチリ、という湿った音が、頭の芯で響いた。
痛覚はない。だが、俺という存在の根幹が、乱暴に引き抜かれ、別のナニカにすげ替えられる感覚があった。
「ガッ……ア、アガッ……!」
俺の口から、意味を成さない悲鳴が漏れる。
視界が爆発した。
暗闇だったはずの洞窟が、今は違う。
岩肌の粒子の一つ一つ、漂う腐臭の分子構造、鬼たちの肉体が腐敗していく速度、彼らがかつて人間だった頃の記憶、そして彼らが犯した罪のすべてが、色彩と音の奔流となって脳に突き刺さる。
瞼まぶたを閉じても無駄だった。この「目」は、瞼の裏側さえも透かして、世界の深淵を見続けている。
「ハハ……ハハハハ! 消えた! 見えない! 何も見えないぞ!」
目の前で、ムスカが狂ったような歓声を上げた。
彼は両手で自分の顔を覆い、地面に崩れ落ちている。その指の間から、ドス黒い血が流れていた。
彼が顔を上げた時、俺はその「結果」を見た。
彼の眼窩は、周囲の鬼たちと同じく、ぽっかりと空洞になっていた。
だが、その顔は恍惚に満ちている。
「暗い……素晴らしい闇だ……。もう、あの恐ろしい光を見なくて済む……」
彼は自由になったのだ。
無限の視界という地獄を、俺という新しい「器」に押し付けることによって。
ズザザ……ッ。
周囲を取り囲んでいた無数の鬼たちが、一斉にその場に平伏した。
彼らは俺を襲おうとしていたのではない。
新しい「主」の誕生を待っていたのだ。
「オオ……」
「見エル……主ヨ……」
鬼たちの頭蓋の中の思考が、直接俺の脳に流れ込んでくる。
彼らは俺に「救済」を求めている。この終わらない苦しみからの解放を。俺の「目」を通して、彼らの運命を書き換えてくれと懇願している。
俺は震える手で、自分の顔に触れた。
指先が触れたのは、熱を帯び、脈動し、俺の意思とは無関係にギョロリと動き続ける、異形の眼球だった。
「……バカな」
俺の口から出た言葉は、俺自身の声ではなかった。
あの村で聞いた、あの重く、古い響きを持った声。
それが、今の俺の声だった。
17 名前:名無し百物語 2025/11/18(火) 11:55:29.07 ID:7iui7y19
俺は「俺」でなくなった。
この感覚をどう表現すればいい? 思考はまだ俺のものだ。恐怖も、絶望も、確かに俺が感じている。
だが、俺の「目」は俺のものではない。俺の「声」も。そして、俺の「役割」も。
「アア……静かダ……。モウ、何モ見エナイ……」
ムスカが、血の涙を流す空洞の眼のまま、陶然と呟いている。
彼は俺の絶望と引き換えに、望んでいた「闇」を手に入れたのだ。
彼はよろよろと立ち上がり、この忌まわしい場所から立ち去ろうと、霧の中へ一歩踏み出した。
その瞬間。
俺の脳内に、再びあの奔流が叩きつけられた。
「見エル」
俺の「目」が、勝手にムスカの未来を映し出した。
彼がこの鳥居の向こう側へ戻る未来。あの村に戻る未来。そして、村人たちに「器の引継ぎが終わった」と報告する未来。彼が、最初から俺を「生贄」としてここに連れてきたという、冷徹な「事実」を。
「……オマエ」
俺の口から、あの重い声が漏れた。
怒りではない。ただ、見えてしまった「事実」を述べただけだ。
「主ヨ」
「主ヨ」
平伏していた鬼たちが、一斉に顔を上げた。
彼らの思考が、濁流となって流れ込んでくる。
(ニガサナイ)
(アレハ裏切ッタ)
(呪イヲ持チ込ンダ)
(主ヲ苦シメタ)
(ユルサナイ)
彼らの憎悪と飢餓感が、俺の「目」を通して増幅される。
俺は叫びたかった。「やめろ」と。
だが、この「目」は、鬼たちの望む「救済」の形も同時に「見て」いた。
彼らの苦しみは、他の生命を喰らうことでしか、一時的にでも癒やされないのだ。
「待テ」
俺は、俺自身の意志でそう言ったつもりだった。
ムスカを止めようとした。たとえ裏切られていたとしても、目の前で惨劇が起きるのは耐えられない。
しかし、鬼たちが受け取った「意味」は違った。
俺の「目」が、俺の意志を超えて、彼らに「命令」を下していた。
「ソレヲ、喰ラエ」
俺の口が、確かにそう動いたのを「見た」。
平伏していた鬼たちが、一斉に、餓えた獣のように立ち上がった。
彼らの空洞の眼窩が、ただ一つの獲物――ムスカに向けられる。
「な……なんだ、貴様ら! 私はもう……主ではないぞ! 目はくれてやったではないか!」
ムスカが恐怖に叫ぶ。
もう「見えない」彼には、自分の周囲にどれだけの絶望的な数の鬼が迫っているのか、理解できていなかった。
「アアアア……」
俺は声にならない声を上げた。
違う。俺はそんなことを望んでいない。
だが、俺の「目」は、これから起こるすべてを冷徹に映し出している。
肉が引き裂かれる音、骨が砕ける感触、絶叫が霧に吸い込まれていく様相。
すべてが「見えて」しまう。
鬼たちが、ムスカに殺到した。
俺は、新しい「主」として、その最初の「供物」が捧げられる様子を、まばたき一つ許されず、永遠に見続けるしかなかった。
18 名前:名無し百物語 2025/11/21(金) 09:38:12.90 ID:5OwkcMGX
ここまでの物語のあらすじ。
【発端】
語り手の「俺」は、目の治療のためにある村を訪れ、逃げ出したムスカを追って、不気味な鳥居の向こう側へと足を踏み入れる。そこは腐臭と霧が立ち込め、眼窩が空洞になった「鬼」たちが彷徨う異界だった。
【真相】
村で行われていたのは治療ではなく「憑依の儀式」だった。ムスカの目には、この世の全てと深淵を強制的に「視」てしまう呪われた「無限の視界」が宿っていた。鬼たちはその呪いの重みに耐えきれず目を失った成れの果てだった。鬼とムスカの中の「何か」は、新たな器として「俺」を指名する。
【継承】
抵抗も虚しく、「俺」はムスカから呪われた眼球を移植されてしまう。ムスカは眼球を失い空洞の眼窩となるが、呪いから解放されたことに狂喜する。一方、「俺」は脳を焼き尽くすほどの膨大な視覚情報と絶望的な真実を「視」させられることになる。
【現在】
新たな「主」となった「俺」に対し、鬼たちは平伏する。「俺」の目は、ムスカが最初から自分を生贄にするつもりだったという過去と真実を映し出す。「俺」は殺戮を止めようとするが、呪われた目はその意思を歪め、鬼たちに「裏切り者のムスカを喰らえ」という命令を下してしまう。「俺」は、ムスカが鬼たちに襲われる惨劇を、瞬きすら許されず見せつけられている。
19 名前:名無し百物語 2025/11/21(金) 09:41:21.34 ID:5OwkcMGX
咀嚼音が止んだ。
視界の中で、赤黒い染みと化したかつての同僚が、土に還っていくプロセスまでもが鮮明に「見え」た。微生物の活動、腐敗の進行、その分子レベルの崩壊までもが情報として脳を蹂躙する。
「美味カッタカ」
俺の口が勝手に問うた。心の中では嘔吐し、泣き叫んでいるのに、体は慈悲深い王のように振る舞っている。
鬼たちは血塗れの口元を歪め、恍惚とした表情で深く頭を垂れた。
(満タサレマシタ)
(主ヨ)
(我ラヲ、導イテ……)
その時、視界がぐらりと揺らいだ。
いや、揺らいだのではない。焦点が「彼方」へ飛んだのだ。
鳥居の向こう。霧の晴れた村。
診療所には、村長と医者が、期待に満ちた顔でこちらを向いているのが「見え」た。距離も壁も関係ない。
彼らは知っているのだ。ムスカという「古き器」が廃棄され、俺という「新しき器」が完成したことを。
「治療完了、デスネ」
俺の脳裏に、医者の嘲笑うような思考が直接響く。
そうだ。これは「目の治療」だった。
常人には耐えられない世界の「毒」や「汚穢」を、全て吸い上げるフィルターとしての役割。それを担うための改造手術。俺は、村の、いやこの土地の「人柱」になったのだ。
「行カネバ」
俺は踵を返した。鬼たちが恭しく道を開ける。
俺の足は、俺の残った僅かな理性を無視して、あの村へと向かっていた。
視界の端に、未来の映像がチラつく。
次の「患者」が、また一人、目の不調を訴えてこの村を訪れようとしている姿が。
俺は、あのムスカのように、その男をここまで連れてくることになるのだろう。
終わりのない、地獄のリレーの次の走者として。
鳥居をくぐる直前、背後で鬼たちが一斉に笑った気がした。
だが、振り返ることはできない。
俺はもう、全てを「見て」しまっているのだから。
(おわり)
【次回予告?】
次のスレッドが立った時、それはまた別の犠牲者の物語かもしれません。

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