2025国際ロボット展を見学してきたので、感想をまとめておきたいと思います。
展示会そのものの感想というより「国際ロボット展をきっかけとして考えたこと」の記事になっていますので、ご了承ください。
2回目は人型ロボットについてです。なお、人型ロボットを取り扱ったこともなく、知り合いが中にいるとかいうことはなく、あくまで外から見ている印象です。

写真は神戸高専ロボティクス様の展示の様子:2025国際ロボット展に神戸高専ロボティクスが出展 | 神戸市立工業高等専門学校
人型ロボットの勢いと注目度
沢山いました、人型ロボット。
前回(2023年)のロボット展では、小さいブースで様子見的出展しているような状況でしたが、今年は開発元の企業、もしくは日本の商社などが大きなブースで大々的にアピールしており、勢いや注目度の高さを感じました。
なんとなく思い出すのは、以前の双腕ロボットブーム。
2015年から2017年にかけて、多くのロボットメーカが、双腕ロボットを出展していましたが、数年で下火になり、少数のメーカーが販売を継続するにとどまっています。
(双腕ロボット自体を否定したい訳ではありません。一定のニーズがあるとは思いますが、やはりニッチな市場にとどまっていると言わざるをえません)
ただ、双腕ロボットについては、「産ロボ*1メーカが、産ロボの延長線上で作っていた」事例が多かったのに対し、人型ロボットは、「主に中国の新興企業が主役で、産ロボとは異なるアプローチで作っている」というように、プレーヤーや背景が異なります。
人型ロボットの位置付け
人型ロボットを生産財としてみると、長期安定稼働・動作精度・安全性などの観点から、とても実用レベルではないと感じます。
ですが、そもそも、人型ロボットを生産財として扱うことが適切なのでしょうか?
工場で人の代わりに働いてほしいのでしょうか?
人型ロボットの展示を見ていても、人型ロボットはここで使える!人型だからこそこれができる!ということを明確に打ち出している事例は見当たらず、技術開発・投資先行で、適地はこれから探すといった雰囲気を感じます。
産ロボが登場当初から生産財として扱われ、自動車業界という「はまる」ユーザーを早々と獲得したのとは対照的です。
ときおりインターネット上で「人型ロボットこそロボットの最終形」VS「人型ロボット懐疑派」の論争が見られることがありますが、前提としての目指す所が明確でないがゆえに、議論も発散してしまうような印象です。
「動」の人型ロボット、「静」の産業用ロボット
技術的な観点でみると、人型ロボットと産ロボは設計思想がだいぶ異なります。
産ロボはどのような姿勢でも静止することができ、それを実現するために関節は根本側ほど大出力になっています。
精密な動作、安全のために動作範囲を厳密に制限できること、予想可能な製品寿命といった設計思想が背景にあります。
一方、人型ロボットは非常にアクロバティックで、動きの中でのみ実現できる姿勢という印象を受けます。
関節サイズにそれほど差がなく、自分の動作する勢いを積極的に利用しているようです。*2
従来の産ロボの思想では到底実現できない動作であり、とても驚かされます。(決して技術の優劣ではないことには注意が必要です)
このように、技術的に重なる部分も多いですが、別の分野の製品と言えます。*3
今後の予想
人型ロボットは「弊社はこんなことができます!」という技術見本の意味合いが大きく、将来は、人型ロボットで培った技術をスピンアウトしつつ最適形状に落とし込んだ製品が世に出ていく、そのように落とし込めた企業が生き残っていく、という流れがくるのではないかと思います。
(エンタメ業界のように、人型であることが意味を持つ業界では人型として残っていくと思いますが、それほど大きな需要とは言えないでしょう)
産ロボとは異なる設計思想のため、人型ロボットのメーカが産ロボメーカにとってすぐに大きな脅威になるかというと、少し違う気がしますし、「FANUCや安川電機がヒト型を開発しないのは出遅れている。置いていかれている」というような見方も違うでしょう。
同時に、工場で使えなさそうだから使い物にならない、と言う議論も少し違うと思います。工場で使うことが唯一の正解ではないからです。
ただ、人型ロボットを通して蓄積され続けている技術力は警戒すべきです。
産ロボの適用分野全てではないにしろ、ある程度市場がバッティングする可能性は大きく、産ロボメーカが、全くの他人事として静観するわけにもいかないでしょう。人型ロボのメーカが産ロボに舵を切り、産ロボに人型ロボのノウハウを上乗せしてくるかもしれません。*4
あるいは、飛行ドローンやレストランの配送ロボのように、新しい市場を切り開き、独占するメーカへと変貌してゆくかもしれません。
今後も動向を注視し続けていきたいと思います。



