1. 面倒なことほど、心を動かす
なるべく波風を立てずに、
誰ともぶつからずに生きたい──
そう思うことは誰にでもあります。
でも、本当に心が動く瞬間は、
いつだって“面倒なこと”の中にあります。
思いが食い違ったり、誤解されたり、
それでも向き合おうとする時間の中に、
人と人のあたたかさは生まれるのかもしれません。
金太郎の物語は、その「面倒さ」を恐れなかった少年の話です。
2. 物語のあらすじ
昔、足柄山の山奥に、金太郎という男の子が母親と暮らしていました。
金太郎は、生まれながらの力持ち。
動物たちと遊びながら、のびのびと育ちました。
ある秋の日、栗拾いに出かけた金太郎たちは、
崖にかかる橋が流されていることに気づきます。
困っている仲間のために、金太郎は大きな木を押し倒して橋を作ってあげました。
夢中で栗を拾っていると、
茂みの向こうから大きな熊が現れます。
動物たちは震え上がりましたが、金太郎は逃げませんでした。
真正面から熊にぶつかり、がっぷりと相撲を取りました。
長い戦いの末、熊は金太郎の強さと心を認め、
降参して笑い、友だちになりました。
3. ぶつかることで、わかり合う
金太郎が熊に勝ったのは、力でねじ伏せたからではありません。
逃げずにぶつかり、相手を知ろうとしたからです。
熊もまた、金太郎の真っすぐな心を感じ取り、
“敵”ではなく“仲間”として受け入れた。
ぶつかり合うことは、勝ち負けではなく、
「わかり合うための時間」だったのかもしれません。
4. 面倒なことが、人を深くする
現代では、ぶつかることや衝突を“避けるべきこと”と考えがちです。
けれど本当は、
その“面倒くさい関係”の中にしか、理解は生まれません。
うまくいかない会話、誤解、遠慮。
そのひとつひとつを通して、
私たちはやっと、相手の中にある本当の気持ちを見つけるのです。
面倒なことを避けずに、
それでも向き合おうとする。
それは、不器用だけれど誠実な、金太郎のような生き方です。
5. ぶつかる勇気が、世界をやわらかくする
金太郎が熊とぶつかり、
力を交わし、笑い合ったように。
人もまた、衝突のあとでやっと、
おたがいの心に手を伸ばせるのだと思います。
面倒なことの中にこそ、
ほんとうのやさしさがある。