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【生成AI活用】開発組織の生産性を変革する「5つの戦略軸」と推進プロジェクトの全貌

この記事は Safie Engineers' Blog! Advent Calendar 2025 9日目の記事です。

はじめに

こんにちは、エンジニアリングオフィスの横道 (@m_yokomichi)です。

2025年、AI技術は私たちの予想を超えるスピードで進化を遂げました。いまや生成AIを使いこなせるか否かは、個人の生産性だけでなく、エンジニアとしてのキャリア、ひいては企業の競争力そのものを左右すると言っても過言ではありません。

今後、活用できる層とそうでない層の差は広がる一方です。そのため、生成AIの活用は私たちセーフィーにとっても全社の重要課題であり、開発本部として組織的に向き合うべきテーマとなっています。

本記事では、開発本部全体で取り組んでいる「生成AI利用促進プロジェクト」について、以下のポイントを中心にご紹介します。

  • 組織課題を解決するための「5つの戦略軸」
  • ボトムアップで進める実際の活動内容
  • 導入による具体的な成果と今後の展望

単なるツールの導入事例ではなく、「組織文化をどう変えていくか」という観点での全貌をお伝えします。

私たちが直面していた「5つの壁」

生成AI活用を組織的に推進しようとした際、私たちは大きく分けて5つの問題領域に直面していました。これらは、多くの開発組織が共通して抱える悩みではないでしょうか。

1. 情報収集の「非効率性」

外部の技術動向を個人がバラバラに追っているため、組織としてのインプットが非効率でした。「隣のチームも同じ調査をしていた」という車輪の再発明が起きており、組織としてのスピード感が損なわれていました。

2. 技術検証・導入の「属人化」

「この新機能を使いたい」と思っても、導入プロセスや評価基準が不明確でした。結果として、意欲あるメンバーの技術選定に時間がかかり、有益な技術の導入による機会損失が発生していました。

3. ナレッジの「サイロ化」

Aさんは高度なプロンプトを知っているのに、Bさんは同じ課題で躓いている。成功事例や失敗事例(アンチパターン)が共有されず、ノウハウが個人の頭の中だけに留まっていました。

4. 活用機運の「温度差」

「便利そうだけど、自分の業務での使い所がわからない」というメンバーも多く、一部の感度が高い層だけが活用している状態でした。

5. 技術的取り組みの「認知不足」

せっかく先進的な取り組みをしていても、それが外部に伝わっていなければ採用やブランディングには繋がりません。また、外部コミュニティとの接点が薄く、フィードバックを得る機会も不足していました。

解決への戦略的アプローチ:5つの軸

これらの課題を打破するため、私たちは「5つの軸」を定義し、戦略的なアプローチを開始しました。

プロジェクト全体構想図

まず、以下のサイクルを回すことで、生成AI(AI技術)の導入・定着を目指しました。生成AI利用促進チームがハブとなり、開発本部全体を巻き込んでいます。

ここからは、具体的な5つの軸について解説します。

軸1:情報収集活性化 📡

目的: 組織的な「アンテナ」の感度を高め、技術選定を高速化する

個人の努力に依存していた情報収集を、組織の活動へと昇華させました。

  • トレンドの定点観測: 最新ツールや事例をチームで分担して調査
  • 導入ジャッジ: 利用方法が明確なものは「実務検証」へ、未導入技術は「企画」へとスムーズに移行させるフローを確立

軸2:技術検証・導入 🛠️

目的: 新技術を「安全に」「素早く」試せる環境を作る

「使ってみたい」を「使える」にするための環境整備です。

  • 環境整備: アカウント管理やLLM Proxy基盤の構築
  • ガイドライン策定: セキュリティや個人情報の取り扱い、機密情報の保持に関するルールを明確化し、安全に利用できる環境を提供

軸3:ナレッジデータベースマネジメント 📚

目的: 知見を「資産」化し、車輪の再発明を防ぐ

  • DB構築: ベストプラクティス、失敗事例、プロンプトライブラリを一元管理
  • メンテナンス: 情報の鮮度を保つため、陳腐化した情報の更新フローを整備
  • テンプレート化: 開発、分析、ドキュメント作成など、用途別の「再利用可能なプロンプト」を整備

軸4:生成AI活性化 🔥

目的: 組織全体の「熱量」を上げ、文化を作る

  • イベント開催: 勉強会、LT(ライトニングトーク)、ハッカソンなどを企画
  • 横展開: 成功事例を部門を超えて共有し、「自分もやってみよう」という空気を醸成

軸5:社外発信 📢

目的: 取り組みを「価値」に変え、新たな知見を呼び込む

  • アウトプット: 技術ブログやイベント登壇を通じた発信
  • 還流: 社外からのフィードバックを社内に取り込み、さらなる改善につなげるサイクル

実際の活動と想定外の反響

戦略は描けましたが、私一人で実行できるものではありません。そこで開発本部全体からメンバーを公募したところ、予想外の反応がありました。

20名の有志が集結

当初は数名集まれば良いと考えていましたが、約20名ものメンバーが手を挙げてくれました。 開発本部のエンジニアたちが、いかにこの課題に熱意を持っていたかの表れであり、非常に嬉しい誤算でした。

分科会による自律的な運営

メンバーの自主性を尊重し、前述の5つの軸ごとに「分科会」を組成しました。 週次・隔週で定例MTGを行い、それぞれの強みを活かしてアクションプランを実行しています。トップダウンではなく、現場のエンジニアが主導するボトムアップ型のプロジェクトとして機能しています。

成果と今後の展望

2025年9月の発足から数ヶ月、土台づくりに注力してきましたが、すでに目に見える変化が起きています。

主な成果

  • 利用率の向上: Claude CodeのMaxプラン等の高度な機能を利用するメンバーが前月比で増加傾向。
  • 学習文化の定着: 開発本部の約半数が生成AI勉強会に参加。
  • ナレッジベース稼働: 独自のデータベースが構築され、日々知見が蓄積されている。
  • ポータルサイト開設: ツールやガイドライン、最新情報を集約した「生成AIポータル」を公開。

今後のロードマップ

📍 短期(FY25年度内)

  • 技術検証: LLM Proxy基盤の構築、Claude Teamプランへの移管。
  • 活性化: LT大会の実施(11/27、12/11予定)、ハンズオン・ハッカソンの開催。
  • ナレッジ: プロンプトライブラリのカテゴリ拡充(コードレビュー、設計支援など)。

📍 中長期(来年度以降)

  • 効果測定: 単なる利用者数ではなく、コード品質や開発速度など「生産性指標」への貢献を可視化。
  • 全社展開: 開発本部で培ったノウハウを他部門へ横展開し、全社的なDXを支援。
  • 文化の定着: 新入社員向けの「生成AI活用研修」などを通じ、AI活用を空気のような「当たり前」にする。

おわりに

生成AIを組織で活用できている状態にするには、個人の「点」の活動だけでは限界があります。組織全体で戦略的に取り組み、「面」の活動にすることで初めて、知見の標準化や文化醸成が可能になります。

今回ご紹介した「5つの軸」はあくまでセーフィーの一例ですが、組織的なAI活用に悩む皆様のヒントになれば幸いです。

セーフィー開発本部では、今後もイベント等を通じて知見をオープンにしていきます。「うちではこうしているよ!」という他社の皆様、ぜひ情報交換させてください!

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