ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]


おひさ〜
今回は(も)穴埋め記事だ。
さて、劇場新作よりお家で久しぶりにカウチポテトした作品について語ってみたい。
現役の天文学者だったカール・セーガンの著作を映画化したコノ作品の内容は、パパっ娘で幼い頃に父を亡くして大人になりSETI(地球外知的生命体探査)で働きながらも、心にわだかまりを残す女性主人公のエリーは、ある日、識別不能な信号を受信し、それが地球外から発せられたことを確信する。そして、その地球外生命体がメッセージとして出した信号を解読してみると、それが、一種の宇宙船みたいな設計図だと知ると、それまで予算を削減しようとしていた国が、総力を上げてそれを建造するが……という流れになっている。
そして、コノ作品のいちばん不可解なポイントは、エリーは確かに遠くの星を旅したが、地球上では、それが宇宙船(ポッド)が上から下に落下したようにしか見えなかったところだ。

見えなかった。が、船内の記録では約18時間分のノイズが記録されていた。
今回はこのあたりについて軽く語ってみたい。
軽くなので難しい言葉はできる限り控える。正直にいえば、これからやるには◯◯仮説とか観測事情とかの最先端の宇宙理論の解説ではなく、高校物理の基本を軸に語るだけだからだ。
あえて言えば、これさえ押さえておけば小難しい系……もとい、ハードSF作品のイメージができる!
なので、コノ作品だけでなく『インターステラー』(2014)や『メッセージ』(2016)などもそんなに難しく考える必要も無くなる。
そして、本職の物理学とSFによく出てくる虚構の物理学との違いもイメージできるようになる。
その物理の基本とはシンプルに二つ。
A:その空間は微分可能である。
B:その空間はエネルギー保存の法則を守っている。
これだけ。
だけども、Aの説明を多少すれば、空間の微分可能とは、宇宙を含むその空間(時空間)すべて……この場合は世界、今風にいえば世界線……を微分方程式で計算できる。ということだ。もちろんくどいが、ここは学生時代に習った微分・積分をイメージしても大丈夫。
もっとザックリと付け加えれば、文字の表記は違ってても、地球でやった計算とM78星雲でやった計算とクリプトン星でやった計算の算出法は同じで、さらに現在と過去と未来でも計算の算出法は変わらない。
これが、空間の微分可能。
そして、数学からみれば微分も代数も幾何も密接に癒着しているので、その空間が微分可能なら、数学も同じになる。
劇中、主人公のエリーが「数字は宇宙全体の共通言語」とキッパリ言っているのはソウユウ事だ。
そこから、コノ作品の世界(時空間)も微分可能な設定になっている。
次にBの説明だが、簡単に言うと「孤立系エネルギーの総量は変化しない」だが、ここでのエネルギーとは電気とかガソリンとかではなく、その根本にある「物体や孤立系でおこる仕事の総量」となる。変化しない総量、だが、これはエネルギーの前に運動、熱、電気、位置と名称が変わる(変換される)のが前提としてあるので、変わるが孤立系全体としてのエネルギーの総量は変わらない。これも学生時代に習ったイメージでOK。
孤立系、についても説明しておくと、これもAで語った空間=世界=世界線で構わない。
-- ここで、そういった話を聞いた事がある者なら、「それじゃエントロピーって何なの?」という疑問が出てくるだろうが、エントロピーとは「閉じた系でおこる運動の乱雑性」となるのだけども、イメージし難いだろうからモソっと付け加えると、ありていに言えばエネルギーが秩序だって際に動くたびに増えてゆく不可逆性・不規則性を指す。ここではエネルギーが別の何かに変換されるときに出てしまうカスみたいなものだとイメージしてもよい。ただ今回はココはこれ以上は語らない。その訳は今回の説明でおぼろげながらも理解できるだろう。
ここまで、SFをよく知っている人ならピンときただろうが、SFの科学・サイエンスは大体がBをいじる。
孤立系を大きく拡張するのだ。
例えば、『メッセージ』の原作テッド・チャン『あなたの人生の物語』はフェルマーの原理とか道筋とかを語ってSFに詳しくない人にはハテナ?の嵐だが、あれも早い話が孤立系の拡張だ。
使いつくされてはいるが、SFアニメやドラマで良くあるワープとか亜空間とかもソノ手の類だと思ってよい。もちろんコノ作品でも登場したワームホールもそれらのお仲間である。
そして、そんなSFではAの方はゴニョゴニョとごまかすパターンが多い。
余談だが、本職の物理学、今回なら理論物理学の研究者ならAとBの両者を突き詰めてリアリティを固める。素人からみれば意味不明で難解に感じる超ひも理論とかプレーンワールドとかの宇宙論もそうゆう検証を行なっているので、素人には妙ちくりんだが、理論として鎮座しているのところがある。
こんな状況なのは根拠があって、物理学が想定している自然界には重力、電磁気力、強い力、弱い力のいわゆる「四つの力」があって、その中から電磁気力、強い力、弱い力の三つは発見されているけども、重力だけがまだだからだ。
電磁気力の力の大きさを1とすると、強い力は100で弱い力は1/1000だが、重力は10マイナス38乗という桁違いの弱さだ。
この桁違いの弱さが、前述した理論物理学の超ひも理論やプレーンワールドを生み出したし、SF特にハードSFと呼ばれるジャンルが好きにイジれる基盤となっている。
さて、それらを踏まえコノ作品の空白の18時間クライマックスを解説すればこうなる。
宇宙船のポッドがワームホール発生機の中心に入った瞬間、時空間(世界線)がゴムみたいにビロ〜ンと伸びて中心を通りすぎる瞬間に伸びていた時空間がゴムが収縮するかのごとく元に戻って、海にドボン。
メモリそのものが動くので地球上では一瞬でも18時間のノイズが残る。
なんじゃそれ!と思うだろうが、その解釈しかないの。
コノ作品からみれば、Aに違反しないでBをイジるならそうゆう解釈しかできない。
ちなみに、コノ作品(映画)ではセリフでやんわりと語られていただったが、カール・セーガンの原作ではラストの円周率あたりで、この宇宙の外のようなのが存在しているのを示唆して終わるが、これもまた孤立系の拡張になる。
だから、この解釈は間違ってはいないだろう。

でもマァ、あのホッカイドーはないな!(最後に本音)
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