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京都の街中とは思えないほどの静けさに包まれた、
富小路通にひっそりと佇む「京・富小路 天ぷら吉川」。
大正初期に建てられた数寄屋造りの建物をそのままに、1952年に片泊まりの宿として創業した老舗では、
今もなお当時の風情とともに、丁寧に仕立てられた天ぷらを提供しています。

私が訪れたのは、茶室を改装したカウンター席。ここはたった8席だけの特別な空間。
目の前で職人が油に向き合い、ひとつずつ丁寧に天ぷらを揚げていく姿は、まるで舞台のような美しさ。

揚がるたびに油の香りがふわりと立ち上り、ぱちぱちと小気味よく響く音に、自然と期待が高まります
まずは海老からスタート。
衣は薄く、口に入れた瞬間にサクッと心地よく割れ、その後プリッとした海老の甘みがじんわり広がります。

ししとうは香り高く、ほろ苦さの中にじんわりとした旨み。

フルーツトマト。衣の中で蒸された果肉がとろけて、
熱が引き出した甘酸っぱさがじゅわっと溢れ出す。

京都の夏の風物詩の鱧。骨切りされた身はふんわり軽く、口の中でほろりとほどけます。
油の温度もハモに合わせて絶妙に調整されていて、清らかな味に仕上がっています。

ゆりねは、外はサクッと、中はふわっとホクホク。芋のように優しい甘み。
噛んだ時のほくほく感がたまりません。
万願寺唐辛子はししとうよりも肉厚で、舌に残る甘みが印象的。揚げることで本来の香りと旨みが凝縮して、じわっと広がる熱と甘味がなんとも心地よい。塩をほんのひとつまみだけで、無限に食べたくなる一品です。

お酒は京都の地酒の飲み比べをいただきました。


甘くてほっくりとしたかぼちゃの魅力を最大限に引き出したひと皿。
繊細な衣の中で火が入った身は、香り高く、ねっとりとした甘さがじわじわと押し寄せる。

肉厚でジューシーな椎茸。噛んだ瞬間に香りがふわっと広がって、椎茸の旨みがしみじみと滲んでいく
ホタテの貝柱はレア仕上げで、とろりととろける食感。甘みが濃密で、噛むたびに質の良い旨みがふくらんでいきます。
一口ごとに幸せを噛み締めるような、忘れられない美味しさ。

噛むとシャキッと軽やかに水分が弾けるズッキーニ。
みずみずしさそのままに、ほんのり甘みがあって、揚げることで引き立つ香りが心地よい。
油と素材のバランスに職人の腕を感じる一皿。

再びの海老でフィナーレ。最初に感じた感動が改めて身体に沁みるような、リピートの幸福。衣の薄さと海老の甘みが、最後まで一切ブレずにエレガント。堂々とした締めくくりでした。

そして最後に選んだのは「天丼」。
軽やかに揚がった天ぷらに、ほんのり甘辛く香ばしいタレが絡み、ごはんが止まらない美味しさ。

〆にふさわしい満足感で、心もお腹も満たされました。

「また来たい」と心から思える店。食べ物の美味しさだけでなく、空間と体験そのものが記憶に残りました。京都を訪れるなら、ぜひ旅のスケジュールに。
ごちそうさまでした!
京・富小路 天ぷら吉川 (天ぷら / 京都市役所前駅、烏丸御池駅、三条駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.8













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