いろいろな米国の機関や研究施設で働き、運良く米国のグリーンカードを取得してその後、永住を決めた日本人夫婦や、JAICAなど仕事の関係で駐在員として来たケース、あるいは留学当時日本人同士で仲良くなり結婚し、労働ビザを運良く取得し居続けるなど、日本人家族が大勢アメリカには居るが、永住となるとその行く末は時に厳しいものがある。特に夫婦ともに日本人であれば。
アメリカで長年暮らし年齢も重ね、病気がちになれば高額な医療に支払う金額も馬鹿にならず、医療面でのアメリカでの住みにくさは日本の良さを知っていればいるほど辛いものがある。
私の周りでもアメリカ暮らしを諦め帰国する日本人が多い。しかし国際結婚で相方がアメリカ人となると話はまた別だ。
帰国する高齢日本人には必ずといっていいほど同じパターンがある。それは子供がアメリカに住んでいないということである。
日本から移住してきた当時は、子供も小さいかあるいは後にアメリカで出産し、子がアメリカの国籍が取得可能でも、結局子供自身がアメリカではない他の国に行ってしまったり、運良く日本で仕事と伴侶を見つけ親よりも先に帰ってしまえば、親としてはアメリカで暮らす目的と情熱は消え失せてしまうようである。
このような場合アメリカに住む目的も失ってしまい、何の魅力もない国になってしまうようである。結局は心の絆が大切になるということだろうか。自由や平等などというアメリカの看板文句よりも、人生での役目を演じ終わったイブシ銀の人間にはやはり家族の絆が一番大切なようだ。
しかし、他のアジア人と日本人を比べると違いがあり、それは例えば中国人が移住すれば他の兄弟家族や、挙句の果てには遠い親戚までもアメリカに呼び寄せ一緒に住み込み、自国に帰ることすら必要でなくなってしまう。そして、いつの間にか中国人街・韓国人街などが出来ているわけである。(不法滞在も多いが)しかし、日本生まれ育ちの移住組日本人にとっては、アメリカよりも日本が断然住みやすく、日本が沈没でもしない限り、家族を呼び寄せる事なんてしないだろう。アメリカが自国と比べて、住みやすい世界で一番の国などとはお世辞でもいえないのが事実だ、結局アメリカには精神的な意味での真の安らぎが無いのかも知れない。
日本でもアメリカの文化や習慣に憧れて、アメリカで暮らしたいと思っている若い人も少なくはないだろう。それは戦後のアメリカによる日教組を巻き込んだ左翼的な親米教育。またはNHKをはじめとする大草原の小さな家や、数多くのアメリカ産ドラマなどの「アメリカ良い国印象」のようなマスコミの運動によるものだ。しかしアメリカの現実は決して甘くはない。これほどまでに自分で考え責任をとり、それで自分から事を起こさないと何も始まらない、白黒はっきりしすぎる自由と言う名の個人主義世界のほかの国にはないだろう。
日本でも自国に自信が持てず、不満ばかり吐き、政府の援助をあてにしてる人間も最近多いらしいが、まずは自国への不満を考えるよりも日本という国をこれから発展させ社会構造を変え、自分の子孫にとって良い国を創るのが大切だろう。それは金持ちにとって居心地がいい国、社会ではなく、本当に各自が努力すれば少しでも道が開ける社会だ。しかし私も十二分日本での暮らしの閉塞感、虚しさ。一度道から外れたらなかなか戻れない、日本の社会構造はイヤになるぐらい知っている。
最後に、私が今まで見てきた中で少し厳しいケースを書いておきたい。彼らは駐在員として70年代、80年代在日本の商社で働き、どういう訳か現地法人の会社を辞め、輸入関連の自営業を始めた。仕事の浮き沈みも幸いあまりなく今に至っている。旦那の方は89歳ぐらいだろうか、現役で今現在仕事をしている。彼らも年を重ね最終的には日本に引っ越ししたくとも、伴侶の片方が痴ほう症になり、今では日本に帰る労力さえも残っていないということである。ここでの一番の問題は、アメリカの医療費が高額なために、痴呆でも医療施設に入れず、伴侶が一生亡くなるまで面倒をみなければならないということである。



