瘀血(おけつ)と血瘀(けつお)
一人のカスタマーの例である。最近彼は足の膝置換手術を予定していたのだが、整形外科の血液診断で不良と診断されてしまい、血液が改善するまで手術は見送られていた。
この方は長年血液の障害があり、血小板も少ない。少しの衝撃でもすぐに体にはアザが出来てしまいそれもなかなか治らない。
実際、舌を診させてもらうと青い3ミリほどの斑が舌の側面に見られ、簡単に瘀血症と診断できる。
瘀血というのは血がよどみ流れが悪い状態を指す、ドロドロの血というわけである。逆に血瘀というのはいわゆる「血栓」ができる手前まで悪くなったような小さな血の塊が体内にあることを言う。ともに内出血ではない。
血瘀が脳に行けば脳血栓や卒中、動脈で留まれば動脈血栓、などという病名になるだろうが中医学ではそんな名前すら存在しない。
とにかくこのような場合は一刻を争う「証」なのであるが本人はお気楽である。もう既に左目は失明し(おそらく血瘀症だったとみられる)膝も悪いため階段も介護が無ければ上がれないのだが、今年88歳になれば周りは彼の死を待つだけなのかも知れない。しかし本人はまだまだ現役で今後も自分のビジネスを続けたいと考えている。
さて、このような場合の漢方治療は体の証と比べると意外とシンプルであり即効性が高い。瘀血が改善したと思われる要点は、どことなく痛かった体の痛みが消えた、舌の青い斑が薄くなった、そして最終的には血液検査の好結果である。このような重度の証になると食事改善やサプリメントの摂取ではなかなか改善まで至らないのが事実であるが、漢方などにとらわれず治す一番の効果的方法はやはり「自発的な軽い運動」である。毎日の歩いたり走ったりの軽いジョギングのような。
あなたも体のどこかに痛みがあり、疲れやすければ自分の舌を鏡で見て確認頂きたい。もしも小さな小さな斑があればそれは瘀血証である。
今回の生薬は以下である。基本の処方は桂枝茯苓散であり、それに補血や陰虚証の薬を多少加えるとする。
桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、白芍、そして当帰、熟地黄、川きゅう、人参。
桂枝、茯苓というと解表である風邪薬のようだが、体内の熱を取る必要があるためである。
桃仁は毒もあり正直言って薬としては強いがこの証には不可欠である。
川きゅう(草冠に弓)も効果がある、しかし高齢者にはやはり人参が必要と感じられる。
結果:
3月半ばから漢方を摂取し、一か月後の血液検査の結果は幸いにも良好。5月末に膝の手術の予定ができたとの事であるが、漢方は続けて服用し長寿を目指したいとのことである。