アメリカには大きく分けてダイレクトセールとネットワークビジネス(マルチレベルマーケティング)以後MLMが存在する。
ダイレクトセールで名高いのは化粧品販売のマーリーケイや今ではスーパーでも普通に手に入る食品保存容器コンテナーも元祖はアメリカ発のダイレクトセールビジネスである(商標名タッパーウェアー)、またネットワークビジネスでは当然ニュースキンやアムウェイーだろう。
これらの違いは簡単でダイレクトセールは特に商品価値に注目し、品数が多く商品の開発に特に力を入れている。ではどうやってダイレクトセールで多くの売り上げを得るかと言えば単に次から次えと自分の紹介した購入者達が商品を買えばその購入者達の購入額の数%が仲介料として自分に利益が生まれる、こちらは欲のある人間はMLMに比べ多い気はしない。
一方のMLMと言えば、商品を売ることももちろんそうであるが、重視しているは何といってもチームである、多くのコネクションを使い知人友人を『会員』させて商品を購入してもらう、野望のある活きのいい人間を使うことが大切だろう。MLMは特に横のつながりが大切なのであるが当然自分のチームに良く働く会員あるいはよく購入する会員がいて、もし自分がその人間を会員にさせた経緯があれば本社からボーナスが支給される、MLMは商品を購入させるよりも会員にさせて商品を買わせ一緒に夢を叶えるのが目標であるがその目標は要するに不労所得である、簡単に言えば何もしなくとも収入がもたらされる(下々の働きにより)。
しかし考えてみれば、株にしてもFXにしても経済に敏感でなくてはならないし、投資家にしても資産家にしても自分の資産をどう使うか或いはどこの不動産が値が上がるかなど考えなくてはならないが、MLMの場合は誰かこの話に乗ってくる人間はいないか、いかに商品をうまく買わせるかである。
しかしこのようなアメリカ流のビジネスをしていれば必然的に経済的な犠牲者もでるだろう(実際自らが商品を買わなければ要するに会社に対して金を使い続けなくては会員権が失効するMLMも多く存在する)。
現地のアメリカ人でこれらのビジネスを始める多くの動機は、自分も会社勤めではなく何か自分がオーナーとなり自分の賄いで高収入を得たいと考えてはじめるのだがどうやら本末転倒であるような感じがする、しかし本当にこのようなことで収入を得たいと感じるのであれば自らが上に登り詰めてMLM会社の現地法人の幹部となるか自分からMLM会社を立ち上げるほか無いだろうと感じる、MLMの会員の一部になり歯車となって誰かを紹介しなければならないとか、自分も商品を買い続けなくてはならないようならそれはかなりの精神的なストレスがあるだろう、しかしこれから始めようかと考え話を聞くにしても勧誘する会員の口車は巧みで話を聞くだけで既に不労所得者になって高収入を得ているような気分になる。
私の義理のいとこはイケメン医師でありながらネットワークビジネスに燃えに燃えている、女房が言うには金のことしか頭に無いというが多くの不動産資産を抱え給料にも不満はないだろうと感じる暮らしをしてなぜこれほどまでにマネーゲームが好きなのか。
しばらく前に、これから日本で開始される予定のネットワーク健康食品PRのために私は忙しい時間を割いて英語から日本語への翻訳をしていた、この健康食品はパック詰めされ多くの栄養を備えた完全に近い食べ物らしいが名前はYから始まりOで終わる短い名前だ、この会社の多くの経営陣はプロタンダムというサプリメント会社(ライフバンテージ)からの移動で成り立っているが、おそらくプロタンダムの先行きが悪くなると経営を他の人間に任せ自分はさっさと鞍替えしたのだろうと感じる、私は幹部社員やCEOの紹介ページを時間を費やし翻訳していたのだがあまりの中身の無さと肩書きだけのアピールに嫌気を感じたがアメリカのこの手の商売にはくれぐれも日本人は注意して頂きたいものだ。
内容を話せばこのMLMは朝食用オートミール(麦の粥)を一食分茶碗一杯500円ほどで販売している、家族4人で食べれば2000円を朝食で費やすことになる信じられない価格だ。また日に2回この商品を(他のメニューもある)を食べることを勧めているがそうすれば一日で4000円分の食費は要ることになる。月にすれば12万円である。健康のためにはそれでも良いのだろうか?ちなみにこれらの一食分のパッケージには一日の栄養素の約半分が含まれている。
義理のいとこは私が日本人として一番最初にこのMLMのディストリビューターを始めないかと女房を通じ話を持ちかけたが、残念ではあるが毛頭興味は無いと言えよう。
『ネットーワークビジネス』、実に面白い発想の商売であるがそこにある根本は一体なんだろうかと感じる、当然これらの商売の経営陣は巨額の富を手に入れ決して一人の人間が普通に暮らしても使いこなせないほどの収入を毎月得ている、ある意味彼らがスーツを着込んで質の良いネクタイをしハンカチをポケットから出しているのはそれを暗示しているかのようだ。
MLMの場合は信じられないくらい実際の原価は安く多くの利益は会社(特にリーダーと呼ばれる幹部)へ渡る。要するにこの商売は100円のチョコを知り合いや友人に売ってまずその100円は会社に一度吸収され20円は生産コストや配送料、管理費などになり20円は自分の紹介者またその紹介者の元へ渡る、そして50円は会社の収益にそしてやっとその残りが自分に10円分としての収入がもたらされる、説明しなくても読者の皆様はご存知であろうかと思うが自分の下の紹介者が多くいなければ意味もないし既に人気のあるMLMにこれから会員として加わる時点でもう遅いのだ。
冒頭でも話したが自分から紹介した人達が売れば売るほど自分と自分から上層の人には売上金の数パーセントが入り最終的には全く何もしなくても金が舞い込んでくる(予定だ)。
ある意味極めて理想的な仕組みだが、そんなに良い商品であるならこの仲介手数料の数パーセントを使い貧困で苦しんでいる国や人々に利益の一部を使い無償で配布することはできないのだろうか或いはもっと安く通常ルートで売れないのだろうかとさえ感じる、日清カップヌードルやネスレミロあるいはコカコーラはネットワークビジネスで世界に広がったわけではないように。
しかしそこには商品を売るということ以外に、これを行う多くの人々のとてつもない金銭への欲求と執着が見え隠れしているのが感じられるのは私だけだろうか、ある意味これがアメリカ流資本主義の側面かもしれない。
表現が悪いがこれは昔から伝わる日本の『やくざ』の手口と似ている、まるで人の手を通じない組長への『上納金』システムのようであるが、MLMの場合は金銭は実際目にも見えず間違っているようにも感じず極めて巧みだ。
残念ではあるがこれらに関わる多くの人間は自分が高ランクが欲しいがために懸命でそれを手に入れれば高慢と自惚れに酔ってしまっているかのようにも見える、もっとその上のランクが欲しければ彼ら売り手の勧誘は呆れるほど巧妙でしつこい。
しかし考え方によっては、病気の後遺症や何らかの理由で仕事ができない人にとってはこれらのネットワークビジネスを他の人に対し親切丁寧に扱うことでわずかながらでも収入に恵まれるのであれば良い事かも知れないと感じる、しかし残念だがそのような弱者を思いやる『情(なさけ)』のあるディストリビューターは少ないように見える世界だ。
いくらトップが潤っても底辺の人々が自己破産などのトラブルに見舞われるならば商売としてはアウトだろう。
これからこの商売をはじめようかと真剣に考えている方は一考していただきたいものである。
ネットワークビジネスは廃れないであろうが不労所得で潤うのは全体のたった0.数パーセントらしい、アメリカの資本主義は結局のところトップの利己主義であることを本場アメリカでは誰もが知りつつあるのが悲しい現実である。