飾り気のないアメリカ暮らし。数少ない『男の愉しみ』の中で髭剃りは重要な部分にあたる。
日本の文化の中で髭を剃ることは面倒で野暮ったくいっそ伸ばしたほうが良いのではとも感じるだろう、髭剃りといえば朝シャワーの中でせせこましく剃るか、夜風呂に入るときに剃るかだ。
日本には色んな種類の髭剃りがあるが、ずべては簡単に剃れてかみそり負けの少ないものが主流だろう、早く言えば簡単で早く剃り味の悪くないものとなる、一方電気シェーバーなるモノもあるがこれは髭が濃くない輩のものだ。
私は長年100円ショップの髭剃りを買いだめして使ってきた、上海留学でも大量のプラスティックシェーバーを持参し週に何本までと決めていたものだ、しかしアメリカではそうはいかない。
アメリカに来るとき2つのスーツケースの中にオヤジの形見であるジレット社製の古い両刃髭剃りもしのばせてきた、しかしこれは亡くなった親父を時々想い出すためであり、この国に親父も連れて来たといったところだろうか、実際に使うことは考えていなかった。
移住当時、一番安い髭剃りをスーパーで買い求め使っていたが日本製の100円髭剃りとアメリカののモノはわけが違っていた。剃った後が酷いのである、私は髭だけでなく頭も剃るため剃り後の痛みは通常の人の二倍三倍でありかみそり負けはそれ以上だ。
かみそり負けというより、この人生すべてに負けてしまったかのような経験だ。
今回は少し良いものをとスーパーで探したが意外にも今風のジレットやシックなどという髭剃りは高く手が出ない、しかしいろいろ品定めしていると偶然両刃かみそりが目に付いた、というよりそれがあることに驚いた、私は親父の髭剃りを持ってきたことを思い出し1箱2ドルのかみそりを買って試してみることにした。2ドルは当時仕事の無い私の財布には優しかった。
そしてその夜、早速古いオヤジの両刃髭剃りホルダーにセットし使ってみたが、始めは慣れないものの、ゆっくり剃るその剃り心地は昔の床屋の髭剃りに似てい る、『ジョリジョリ』といった感じだ、剃る感覚は強いもののひげそり負けは全く無い、しかしこの両刃ホルダーを使うには技術が必要で簡単に出血なしで剃 り終えることはできないが私は今後アメリカではこれで行こうと感じた。

