随意契約による備蓄米の売り渡しについて、小売業者からの申請が殺到しているそうです。令和4年産の備蓄米20万トンは上限に達する見通しで、申請の受け付けを一時休止することになったといいます。
備蓄米の随意契約、一時休止 22年産上限に、30日再開―米穀店・中小スーパー対象:時事ドットコム
それだけ需要があるということなのでしょうか。それとも備蓄米ブームへの相乗りなのでしょうか。どちらにしても既存のコメ流通関係者はこの状況を重く受け止めてもらいたいものです。
イオングループは最大の2万トン申請したそうです。このほか、イトーヨーカ堂に、ロピアなどのスーパー、ドンキホーテなどのディスカウント店、ホームセンターのカインズ、ドラッグストアのサンドラッグ、生活用品メーカーのアイリスオーヤマなど多種多様な業種からの申請があったそうです。コンビニのファミリーマートも申請、1キロごとに小分けして6月上旬から販売する計画で、税抜きの価格を400円にするそうです。
すでに契約が完了させた企業もあり、29日には玄米の引き渡しが始まるといいます。精米や袋詰めを行い、6月2日には5キロ税抜き2000円の備蓄米が店頭に並ぶ見通しになったそうです。
「われわれにとっても非常にチャンスだと思っている。社会貢献もできる」、小泉農水相と面談したアイリスオーヤマの大山社長がそう述べたそうです。アイリスグループは1万トンを契約し、税抜き2000円で来月2日の販売開始を目指しているそうです。自社のイネットサイトやホームセンターを通じて、2カ月程度で販売するといいます。
これまでの備蓄米放出とは異なるスピード感です。いったいこの差はどこから生じるのでしょうか。
論語に学ぶ
不仁者は以て久しく約に処(お)らしむ可(べ)からず。以て長く楽に処らしむ可からず。仁者は仁に安んじ、知者は仁を利す。(「里仁第四」2)
「不仁者」つまり仁の徳に到達していない心無き者は、貧困の境遇に長く耐えられず、きっと不義の行ないに走る。また富貴の境遇においては自制心を失って、きっと驕りたかぶる。「仁者」、心ある者は安らかに仁を実践し、「知者」知ある者は仁の価値を知ってそれを実践すると孔子はいいました。
農水族大臣が去り、備蓄米放出のやり様が変わった途端、安価にスピーディに供給できそうです。それまでの物流だの、精米が制約などの話は一体何だったのでしょうか。孔子がいう「不仁者」たちがコメの流通を牛耳っていたということなのでしょうか。
熊本市のJAグループが経営する農産物の販売店では、備蓄米の売れ行きが好調で、連日売り切れる状況が続いているそうです。
熊本のJAの販売店で備蓄米の売れ行き好調 連日売り切れ|NHK 熊本県のニュース
「JA熊本経済連」のグループ企業が経営する農産物の販売店では、JAが3月に1000トン落札した備蓄米が販売されています。価格は、消費税込みで5キロあたり3680円で、県内産のほかのコメと比べて900円から1000円ほど安くなっています。(出所:NHK)
やはり安価なお米に実需があるということのようです。在庫に限りのある備蓄米ですが、この販売を通して「価格破壊」を起こし、コメ流通の再編につながり、新たなものになればいいのかもしれません。
産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンが実施したアンケートによれば、2024年9月時点での小売価格平均3000円から3500円程度が「妥当」と感じる生産者が約38%いたそうです。これに対し「とても安い」と感じる生産者は16.1%、「少し安い」は35.7%だったといいます。
米農家の実態調査 6割以上が利益還元を実感 「ようやく適正価格」の声も 食べチョク|JAcom 農業協同組合新聞
「今後主食用米の作付面積を増やす予定はあるか」との問いに「増やす予定」と回答した生産者は約34%だったといいます。また、販路の変更を希望しない生産者が61.3%だったのに対し、直売所や産直ECなどで直販の割合を増やす方針の生産者が約32%に上る結果にもなったそうです。
「今まで米はあって当たり前で、価格も長年同じだった。しかし、米の生産コストである資材や機械の高騰で、農家の所得は減少している。本来5kgあたり3500円以上はないと持続的な生産は厳しい状態。後継者の育成のためにも理解してもらえると嬉しい」(山形県・米生産歴10年以上)
「購入する側も、栽培する側も、お互いが持続可能な関係づくりを意識していただけるとありがたい。ただ安くなってほしいとか、高くしないと生産者が続かないとか、片側の利害だけを強調しても解決せず、互いの状況を理解することが必要だと感じる」(北海道・米生産歴5年以上)(出所:JAcom 農業協同組合新聞)
こんな生産者の声があるのであれば、お米を作る側と食べる側の良い関係、ウインウインの関係になれるはずです。やはり既存のコメ流通にかかわる一部の者たちに問題があるということなのでしょうか。JAを含め流通の効率化、生産性の向上が喫緊の課題でもあるようです。
生産者が正しく評価され、儲かる世の中を目指す──「食べチョク」運営元が2億円調達 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「正しく儲かる」農業ビジネスで上場を目指せ #30UNDER30 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「参考文書」
備蓄米 随意契約 小泉農相 備蓄米売り渡し 購入申請を一時休止 “予定量上限に” | NHK | 物価高騰
長野 備蓄米 JAグループのスーパーでは5キロ2000円台|NHK 長野県のニュース
「5キロ2000円」の政府備蓄米に消費者は本当に飛び付くのか、ソッポ向かれても人気化して買いだめされてもコメ価格は高止まりしかねない | 政策 | 東洋経済オンライン

