「物流の2024年問題」が日本のサプライチェーンに突きつけた現実は過酷です。ドライバーの労働時間規制により、このままでは「運びたくても運べない」時代が到来します。すでに今年のブラックフライデーには、一部宅配が滞る事態が発生しました。
この危機を打開する最大の期待を背負っているのが、自動運転トラックです。
特に日本のトラックメーカー各社(いすゞ、三菱ふそう、日野、UDトラックス)は、政府や物流大手(ヤマト運輸など)と共同で、新東名高速道路などでの隊列走行(レベル2/3相当)**の実証実験を重ね、技術的な開発はほぼ完了し、商用化に向けた最終的な段階**を迎えています。
大型車メーカー4社 新東名高速で自動運転トラックの実証走行開始 – 一般社団法人 日本自動車会議所
政府のロードマップでも2026年度以降の社会実装が掲げられており、技術の実装自体は目前に迫っています。しかし、これが真に日本の危機を救う「特効薬」として普及するかどうかは、一つの巨大なハードルにかかっています。それは**「価格」**です。
🚛 最初の波:なぜ「隊列走行」なのか
自動運転トラックの第一段階として、日本が隊列走行を優先したのは、極めて現実的な戦略です。
- 人手不足への即効性: 1人のドライバーが後続の無人(または支援)車両を引き連れて走ることで、実質的な輸送能力を数倍に高められます。
- 燃費の劇的改善: 先行車が風よけとなることで、後続車の空気抵抗が減り、15%〜25%もの燃費向上が見込めます。
- 技術の成熟: トラックメーカー各社は、すでに車両間通信(V2V)による高精度な車間維持技術を確立しています。2026年、新東名高速道路などの特定区間でこの光景が見られるのは、ほぼ確実と言えるでしょう。
💸 立ちはだかる最大の壁:数千万円の「追加コスト」
しかし、ここで深刻な問題が浮上します。自動運転トラックは、従来のトラックに比べて車両価格が劇的に跳ね上がるという点です。
- 高額なデバイス: LiDAR(ライダー)、高精度カメラ、ミリ波レーダー、そして膨大なデータを処理するAIコンピューター。さらに万が一の故障に備えた「二重のブレーキ・ステアリング系統(冗長性)」の搭載により、車両価格は数千万円単位で上昇すると予測されています。
- 中小企業の苦悩: 日本の運送業界の99%は中小零細企業です。彼らには、この巨額の初期投資を賄う財務体力がありません。
「大手企業だけが導入する高価なツール」に留まってしまえば、業界全体の輸送能力不足を解消するという、真の危機回避には至りません。

🛡️ 危機回避のための「コスト構造革命」を
価格の壁を打ち破り、2026年を物流再生の元年にするために、私たちは以下の変革を提言します。
- 「所有」から「利用(TaaS)」への転換: 運送事業者がトラックを「買う」のではなく、走行距離や時間に応じて「利用料」を払うサブスクリプション型のビジネスモデルへの移行。これにより中小企業の初期負担をゼロにします。
- 政府による「投資リスク」の肩代わり: 技術が普及し量産効果で価格が下がるまでの数年間、政府が強力な導入補助金や税制優遇を行い、社会実装を強引にでも後押しすること。
- End-to-End(全体最適)での価値創出: 単に「走る」だけでなく、荷役の自動化や運行管理の効率化をセットで行い、高コストを上回る「稼働率の向上」を荷主・運送業者双方が享受できる仕組みを作ること。
🏁 技術は準備万端。問われるのは「普及の哲学」
自動運転トラックは、2026年に間違いなく公道へ現れます。しかし、それが一部の先進的な試みで終わるのか、物流危機の救世主となるのかは、私たちが**「高価格というハードルをいかに組織的に乗り越えるか」**という普及の哲学にかかっています。
技術を社会に定着させるのは、スペックではなく「経済的な持続可能性」なのです。
【#HINO をサクッと知ろう!】
— 日野自動車株式会社 (@HINOJapan) 2025年3月12日
日野は社会課題解決に貢献するため #自動運転 技術の開発を進めています!
最近では、大成ロテックの舗装評価路で自動運転車の走行試験を開始したほか、国交省や経産省のプロジェクト「RoAD to the L4」テーマ3に参画し、自動運転トラック走行実証に取り組んでいます! pic.twitter.com/Vb78BkAXtF
【次回予告】 第2回:【深掘り】隊列走行の次はどこへ?単独レベル4無人走行への「残された七つの壁」
「参考文書」
いすゞ、自社部品物流ルート(栃木~愛知)で自動運転事業実証を開始 ~2027年度の自動運転レベル4トラック・バス事業の開始に向け、公道での検証を加速~ | いすゞ自動車
日野自動車、自動運転トラックを実用化 24時間無人走行で道路試験 - 日本経済新聞
