神道研究室

在野の神道研究者が神社の問題に鋭く切り込みます

神社で半旗はありえないという話

参政党の白ネクタイ 参政党の神谷宗幣氏が靖國神社に参拝する際に白ネクタイを着用して批判している人がいますが、靖國神社に参拝するのに白ネクタイはマナー違反ではありません。むしろ黒ネクタイがマナー違反です。 葬式のときに喪主が黒のリボンまたは腕…

週刊新潮の記事について

『週刊新潮』(6月12日号)に田中派の多数派工作が功を奏し再任されたという記事が掲載されました。この記事に関連し「週刊誌に多数派工作と書いてあるじゃないか」とか「毒饅頭を食べた神職が多いということだ」というコメントをいただきました。 まず多数…

本願寺派を見習え論について

本願寺派の総長が辞任したことを受けて「総長は門主の親任が得られなければ辞任するものだ。田中恆清も見習え」というコメントをいただきましたが、本願寺派を見習うと統理の指名権も主張できなくなりますよ。都合のよいところだけつまみ食いするのではなく…

日本学術会議について所感

日本学術会議の法人化をめぐり上野千鶴子氏が座り込みで抗議したそうです。 このニュースに対し、一研究者としての正直な感想は「どうでもいい」です。ただ日本学術会議がすべての学者の代表のような顔をされるのは不本意です。 もし日本学術会議の会員が「…

統理の権威と説明責任

統理の説明責任 前回は指名を拒否したのに、今回の改選で神社本庁統理はすんなりと田中恆清氏を指名しました。この場合、次の3パターンが考えられます。 田中恆清氏に対する評価を改めた(総長に相応しい人物だと考えを改めた) 田中氏を総長に指名したくな…

怪文書?について

統理選任に反対者が 評議員会が終わりました。今回の評議員会は改選期にあたり、鷹司尚武統理が再任されました。ただ「中外日報」によれば今回は満場一致ではなく、一部反対者がいたそうです。この反対者に対し「統理様に反対するとは何事か」という意見も聞…

「神社本庁再生への道」52の読後評

最近の号の総評 「レコンキスタ」令和7年5月1日号に藤原登氏の「神社本庁再生への道 その五十二」が掲載された。議会制民主主義を成り立たせるのは、規範の順守と自立した代議員の見識である!|自浄.jp 最近の号も目を通していたが、基本構造は同じで「Aは腐…

修験系社家による修験道回帰はあるか?

英彦山における修験道儀礼の復活 英彦山神宮の神職である高千穂有昭氏が護摩祈祷を復活させました。護摩木の炎、吹き鳴らすほら貝 英彦山の修験道が150年ぶり復活:朝日新聞 これまでも神仏習合「的」な儀礼はよく見られましたが、それらは本当の神仏習合と…

代表役員の不正登記について

法人乗っ取り テレビなどで大々的に報道されることはあまりありませんが、法人を不正登記によって乗っ取るという事件が発生しています。 ニュース「虚偽の登記で社長交代、法人登記と乗っ取り防止について」 : 企業法務ナビ 同様の事件は営利企業だけではな…

宮崎神社の神主はるちゃんねるへのコメントについて

YouTube上のコメント YouTubeの「宮崎神社の神主はるちゃんねる」で目に付くコメントがありましたので、それに対して批評します。それはhttps://youtu.be/kongpMuAen0?si=4NfuQVZKXaWzjTGp に投稿された一連のコメントです。まず そんな参拝方法はありません…

質問回答(橿原神宮の元宮?)

質問 今回はインターネット上に投稿された以下の文章について論評を頼まれました。 【樫原神宮】神社は造ろうと思えば誰でも簡単に造れるそうです。また、日本神道には「勧請する」という風習があって神様のフルコピーができます。 + 勧請神社は、ニセモノ…

時事随想

それは学説ではありません まず申し上げたいのは「学者の言うこと全部が学説じゃない」ということです。高名な科学者がラーメンを食べて「美味い!」と称賛したとしても、それは個人の感想であって、その店のラーメンの美味しさが科学的に証明されたことには…

質問回答(皇位継承と側室)

質問 いつも拝見しております。 以前所功先生が「旧典範では容認されていた側室の庶子による継承が戦後の新典範では否定されたから、一夫一婦制のもと必ず男子のみで受け継いでいかなければならない現行規定では皇室の方々を苦しめるだけ」として、(男系男…

今後の募財活動と世代交代

社殿の修理 当然ながら社殿は修理をする必要があり、その費用は氏子に募財(募金)をお願いするケースがほとんどです。その最大のものが伊勢の式年遷宮であり、神社界が中心となって全国的な募財活動が展開されます。こうした寄進の歴史は古く、勧進相撲など…

「神社本庁再生への道ーその四十九」読後評

そろそろ終わりにしたらどうか 鷹司尚武統理が田中恆清氏を総長に指名して騒動が一件落着したかと思いきや、一水会の機関紙である「月刊 レコンキスタ」で連載しているフリーライター藤原登氏の「神社本庁再生の道ーその四十九」(令和7年2月1日号)は「本…

東京都神社庁におけるパワハラ報道

東京都神社庁におけるパワハラ 東京都神社庁の業務上横領事件を内部告発し、その後に退職した元職員が在職中に庁長からパワハラ等により精神的苦痛を受けたとして慰謝料など約500万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。東京新聞1月30日号。 東京神社庁…

ちょっとした他ブログの紹介 

単純化しすぎだけど現代人には 私も講演が難しいと言われがちですので、わかりやすい解説の参考例をネットなどで探しているのですが、日本史について良いブログをみつけたのでご紹介します。 平安時代(3):イラストで学ぶ楽しい日本史:So-netブログ 最初…

夫婦別姓を神道的観点から考える③ 明治の夫婦別氏

夫婦別氏の時代もあった 1876(明治9)年3月17日に次のような太政官指令が出されました。 伺ノ趣婦女人ニ嫁スルモ仍ホ所生ノ氏ヲ用ユ可キ事但夫ノ家ヲ相続シタル上ハ夫家ノ氏ヲ称スヘキ事 これは内務省の伺いに対し女性は結婚した後も「所生の氏」(=実家の…

夫婦別姓を神道的観点から考える② 江戸時代の神職の名前

江戸時代はビジネスネーム社会 江戸時代の百姓はみな氏も苗字(家名)もなかったけど、明治時代になって苗字を名乗れるようになったから、自分で考えて戸籍に登録したり、自分ではいい苗字が思い浮かばなかったからお坊さんに考えてもらったりしたという先入…

夫婦別姓を神道的観点から考える①

氏名の氏は氏ではない? 国会で選択的夫婦別姓が議論されていますので、今回は神道的にこの問題について考えていきます。 日常的に「氏名」を尋ねられます。そして田中太郎さんだったら迷わず、「氏」の欄に「田中」と書くでしょう。しかし、この「田中」は…

質問回答(問責・統理という役職)

質問と回答 次のような趣旨の質問をいただきました。 神社本庁の役員会において理事の問責決議が可決されました。また、議事録作成に加担した人々、花菖蒲ノ會の主要メンバー、それぞれの責任は何が妥当でしょうか。 ありのまま記録に残すだけで充分だと思い…

統理という役職について改めて考える

二頭体制がもたらすもの ナポレオン・ボナパルトは「一地域で作戦する軍隊を二人の名将に分けて指揮させるよりは、むしろ一人の凡将に統一指揮させる方がよい」と言ったそうですが、これは組織運営論の基本的原則であって指揮命令系統が2つあると組織が混乱…

戦時中の絵馬のお焚き上げについて

出征兵士の奉納した絵馬 滋賀県の豊国神社で出征兵士が奉納した絵馬が大量に発見されました。同神社では遺族会などに相談の上、お焚き上げすることを決定し、2024年12月に儀式を執り行いました。これに対し2025年1月23日に軍事評論家の辻田文雄氏らが貴重な…

質問回答(布教と教化)

質問いただきました いつもブログを読ませて頂いているものです。私は学生で、神道博士様の書かれている問題には詳しく無く、本や講義で知った内容に加える形でいつもブログから学ばさせて頂いております。御時間宜しければ、要語の違いについて解説して頂き…

質問回答(在任期間が最長なのに役員になれなかった)

質問 次のような質問をいただきました。 うちの神社の総代は10人で、その10人から役員2人(宮司を含めて役員は3人)を選ぶことになっています。役員2人は在任期間が上位2人が選ばれることが慣例となっております。今期で一番の長老が勇退されるので、現在…

藤原登「神社本庁再生の道ーその四十八」読後評

芦原氏に対する敬意 フリーライターの藤原登氏が『月刊レコンキスタ』(令和7年1月1日号)に「神社本庁再生への道ーその四十八」を掲載しました。鷹司統理は田中氏を総長に指名したが、田中体制の終焉は必至|自浄.jp そのなかに以下のような文章があります。…

花菖蒲ノ會会報26号読後評

田中恆清氏が総長に指名される 令和6年12月12日に神社本庁役員会が開催され、田中恆清氏(京都・石清水八幡宮宮司)が総長、𠮷川通泰氏(広島・福山八幡宮)が副総長にそれぞれ指名されました。 今回の指名の意図について、鷹司尚武統理は花菖蒲ノ會の会報26…

「臨時評議員会の早期開催を強く要望する」論評

質問 令和6年11月25日付で「評議員会有志一同」が作成した「臨時評議員会の早期開催を強く要望する」という文書(以下「要望書」と仮称する)を受け取った方から情報提供して戴きました。今回はその内容について論評したいと思います。 総長を決めるのは? …

継嗣令で女系継承を認めても皇統護持にはならない

何が問題なのか まず基本ですが、「女性天皇」と「女系天皇」は異なります。「性」は天皇に即位されるご本人の性別が男性・女性どっちかという区別であり、「系」とはご本人ではなく父親・母親のどちらが皇室の家系かという区別です。 愛子内親王が即位され…

高森明勅氏の皇室典範論に駁す

国連の勧告 10月29日、国連の女性差別撤廃委員会は、皇位継承資格を男系男子に限定する皇室典範の改正を含めた勧告を日本政府に突き付けました。この件について神道学者の高森明勅氏は 国際機関から勧告を受けるまでもなく、「主権の存する日本国民」自身の…