
- フレームワーク名に込めた想い
- チーム立ち上げ初期に直面した課題
- なぜ構造化されたフレームワークが必要だったのか
- CONNECT CARDSの基本構造
- 実装する中で学んだ3つの重要なポイント
- DIGGLEでの実施結果と気づき
- 自分たちのチームでもやってみたい方へ
- まとめ:是非一度試してみてほしい
- 終わりに
これはQiita Advent Calendar 2025 プロダクトの内製化やモダナイズの苦労話、成功体験、失敗談、あるあるをシェアしよう! by TRAILBLAZER Advent Calendar 2025の12/18の記事です。
DIGGLEエンジニアのaki0344です。
最近、チーム内のコミュニケーション活性化に向けて、「CONNECT CARDS」という1on1フレームワークを作ってみて、チームで使ってみました。
今回は、このフレームワークがどのようなきっかけで生まれたのか、そして作る中で学んだことについて、お話ししたいと思います。
フレームワーク名に込めた想い
「CONNECT CARDS」という名前には、「つながる」という意味に加え、以下の7つの要素を込めています:
- Communication(コミュニケーション)
- Openness(オープンさ)
- Networking(ネットワーキング)
- Newcomers(新参者同士)
- Empathy(共感)
- Collaboration(協働)
- Trust(信頼)
チーム立ち上げ初期は、これらの要素を一緒に作り上げていく時期です。このフレームワークは、その時期にメンバー同士が自然につながり、信頼関係を築くための小さな手助けになればと思い、このような名前をつけました。
チーム立ち上げ初期に直面した課題
私はスクラムマスターとして業務にあたっていますが、当時の所属チームは立ち上げからまだ日が浅く、メンバー同士がお互いのことをあまり知らない状況でした。
チーム全体の打ち合わせでは各々必要な発言をしてくれますが、どこか相互に遠慮しているような雰囲気を感じていました。また、1対1のコミュニケーションはなかなか生まれないなという印象を持っていました。
当時のチーム構成は以下の通りです:
- メンバー数:チーム結成当初は8名程度、1on1を実施する頃には12名程度
- 職種:PdM、デザイナー、エンジニア(大半はエンジニア)
- 経験:1年程度が数名、今年入社したメンバーが約半数
メンバー全員が前職まで異なる背景を持っていたため、共通項を見つけるのが難しく、話題を見つけるのが難しいと感じる状況だったと思います。
なぜ構造化されたフレームワークが必要だったのか
このような状況で、メンバー同士が全員と1on1を実施し、お互いを知り、関係を構築できないかと考えました。
ただ、1on1をやるにしても、単なるフリートークでは不十分だと考えました。
背景が多様だからこそ共通項を見つけるのが難しく、何について話したらよいかわからないという状況が生まれるのではないかと考えました。 一方で、テーマなしでは雑談だけで終わり、表面的になってしまう懸念もありました。
そこで必要だと考えたのが、「完全に自由ではないが、強制的すぎもしない」というバランスの取れた仕組みでした。 話すテーマを決めるキッカケを用意しながらも、参加者が主体的に選択できる設計が大切だと考えたのです。
目指していたのは、業務において他のメンバーに気軽に相談・質問できる関係を構築することです。チームメンバーに話しかける時に緊張したり気後れしない、そのような環境を作りたかったのです。
CONNECT CARDSの基本構造
CONNECT CARDSは、シンプルな構造をしています。
セッションの全体像
セッション時間は30分間。長すぎず短すぎず、業務の合間に実施しやすい長さとしました。
以下が全体の流れです:
- アイスブレイク(3分):緊張感を解くため、Meetの背景フィルタを選んで1on1の間はその状態で進める
- カードを使って相手を知る(20分):メインの対話フェーズ
- ベストカードを決める(3分):印象的だったカードを選び、理由を説明
- クロージング(3分):感謝カードを選んで、感謝の気持ちを伝える
私は以下のようなテンプレートを作成し、1on1を実施するごとにコピーして使ってもらいました。


ゲームのルール:最も大切なポイント
CONNECT CARDSの最も大切なルールは、「相手に聞きたいことを選んで、相手の場に置く」という点です。
まず、場を先手、後手、中央の3つに分けます。中央の場には24枚のカードが置かれています。
1on1をするメンバーが先手と後手に分かれ、以下のサイクルを20分間繰り返します:
- 先手が中央のカードから1枚を選んで、後手の場に置く
- 後手がそのカードの質問に答える
- 後手が中央のカードから1枚を選んで、先手の場に置く
- 先手がそのカードの質問に答える
ここで重要なのは、参加者が「答えたいこと」ではなく「相手が知りたいこと」に応じる形式という点です。また、一度選んだカードは中央の場からは消えるので、相手が同じ質問をすることはできません。
このルールの理解が、セッション全体の効果を大きく左右します。CONNECT CARDSによる1on1を提案する際は必ず参加者に丁寧に説明し、ルール理解を確認してから開始してください。
24枚のカードを6つのカテゴリーで分類
24枚のカードを、以下の6つのカテゴリーに分けています:
- 🟡 協働体験カード:チーム内での共有経験
- 🟢 コミュニケーション改善カード:よりよい関係を築くための情報
- 🔵 お互い理解カード:個人の特徴や働き方
- 🟠 協力関係カード:今後のサポート方法
- 🟣 背景・趣味カード:プライベートなこと
- 🔴 価値観・興味カード:仕事や人生の捉え方
なぜ24枚で、かつ6カテゴリー分けなのかについて、基準は選びやすさです。
あまりに多すぎると、どのカードにするか選ぶのが大変になってしまいます。一方で少なすぎると選択肢が狭まり、対話の展開が限定されてしまいます。
24枚という数は「選びやすくて、かつ選択肢が十分」だと考え設定しました。
カテゴリーで分けるのも、同じ理由です。すべてのカードを区別なく並べるよりも、カテゴリー分割することで、頭の中を整理・切り替えする役に立つと考えています。
セッションの締めくくり:感謝カード
セッションの最後には、8枚の感謝カードから「今日1番感じたものを選ぶ」という形式で行います。ここはお互い同じ思いを抱くこともあるかと思うので、メインの対話フェーズとは異なり両者が同じカードを選んでよいというルールにしました。「あなたのことをもっと理解できました!」といった肯定的なメッセージから感想を選ぶことで、改めて感謝の気持ちを伝えて場を閉じます。
実装する中で学んだ3つの重要なポイント
CONNECT CARDSを考えるうえで最も時間がかかったのはカード内容をどうするかという点です。ここは生成AIとの会話を通じて、試行錯誤を繰り返しました。その過程で、3つの重要なポイントがあると感じました。
ポイント1:チームの関係性の段階に合わせて設計する
作っている中で最初に気づいたのが、チームの関係性の段階によって必要な質問が全く異なるという点です。
初対面のメンバー同士であれば、個人的な背景やプライベートな話題に焦点を当てるのがよいと思います。一方で、チーム結成から1~2カ月程度一緒に業務をこなしている状態だと、適切な質問の内容が変わってきます。
具体的には、「これまでの業務を振り返った上で」というニュアンスを、暗黙的に織り込むことがキーになります。明示的に「これまでどうでしたか?」と言わず、質問の前提として「ある程度一緒に業務をしている」という状況を織り込むのです。
そうすることでプライベートなことだけでなく、もう一歩踏み込んだ会話が自然と生まれることが期待できます。
ポイント2:心理的に出しやすいカードを意識する
次に、出しやすさという観点が非常に重要だということに気づきました。
選びにくいカードが存在するとどうなるのか。参加者の選択肢が狭まり、誰と1on1をやっても同じようなカードばかり出してしまいます。
具体例を挙げると、最初は「私と挑戦したいことは?」という質問がありました。しかし、「私とあなた」という1対1の関係がまだ薄い段階では、このカードは出しにくいのです。
そこで「チームで挑戦したいことは?」に変更しました。スクラムはチームで動くことが前提なので、このほうが自然な質問になります。同時に、1対1の関係を前提にしないため、出しやすくなるのです。
このように、わずかな表現の違いが、参加者にとって選択のしやすさに大きな影響を生むのではないかと思います。
ポイント3:ルール理解が最重要
最後のポイントは、ルール理解の重要性です。
「相手に聞きたいことを選んで、相手の場に置く」というルール。これが正確に理解されないと、ゲーム全体の効果が損なわれてしまいます。
実際、生成AIとの会話では当初、ルール定義の曖昧さからカードの内容がこちらの意図から外れたものが多く提示されていました。その後、生成AIにルールを丁寧に説明することで、適切なカードを多く提示してもらうことができるようになりました。
言い換えれば、ルール理解さえあれば、カスタマイズも容易になるということです。
DIGGLEでの実施結果と気づき
実際にDIGGLEのチームで使ってみた結果、いくつかの気づきが得られました。
ポジティブなフィードバック
参加者からのアンケートでは、おおむね好評をいただきました。
特に、「相手に対する理解が深まった」、「気軽に話しかけやすくなった」という部分に高い点がついており、当初解決したいと考えていた課題にうまくアプローチできたと考えています。
また、「幅広く話す機会となった」、「自分自身を振り返るきっかけとなった」といった感想もあり、単に相互理解を深めるだけでなく、セッションを通じて自分たちの強みや課題に気づくきっかけにもなっていると感じています。
課題と改善の余地
一方で、改善の余地も見えてきました。
「回数を重ねると同じ質問が続いて新鮮味が薄れる」という指摘がありました。これは、チームメンバーの人数が多く、短期間で何度も1on1を実施した際に起きた問題だと考えています。1回目は新鮮な質問でも、2回目以降は「あ、このカードは前に出た質問だ」という新鮮味の欠如が生じたと考えられます。
1on1の回数が多くなる場合、実施期間中の途中で一部カードを除外し、その代わりに新しいカードを入れることで、また新鮮な気持ちで臨めるようになるかもしれません。
また、「設問が抽象的なので結局同じような話になってしまう」という指摘もいただきました。実施するチームの状況により、設問をもう少し尖らせるなど、カスタマイズの余地がありそうです。
1on1実施後に見えてきた変化
最も印象的な変化は、少人数での会話の機会が増えたという点です。
DIGGLEの開発チームは基本的にはテレワークとなっており、現在はバーチャルオフィスのGatherを利用しています。以前はバーチャルオフィスの共有スペースでの会話はあまり見られませんでしたが、1on1実施後は少人数での会話が増えてきているという印象を受けています。
元々チームの定期的な会議では各々発言があるものの、それ以外の場で話す機会は少ないと感じていました。それが会議以外の場でも2~3人程度で集まって話をするシーンが増えているのは、当初狙っていた効果を一定程度得られているのではないかと思います。
自分たちのチームでもやってみたい方へ
ここまで読んで、「自分たちのチームでもCONNECT CARDSをやってみたい」と感じた方には、ぜひ試していただきたいと思っています。
ただ、ここで1つ課題があります。 自分で数十枚のカードを一から考えるのは、正直大変です。
そこで、私から提案したいのは、生成AIを活用するというアプローチです。
この記事をインプットとして生成AIに渡して、カードを一緒に考えてほしいと相談してみてください。
現在のチームの関係性、働き方(オンライン、出社など)、職種、社歴、重視したい観点などを伝えながら、生成AIと対話を進めていくことで、場を用意するまでのハードルがグッと下がります。
生成AIが記事の内容を理解した上で、あなたのチーム状況を1つ1つ確認しながら、カスタマイズされたカードセットを一緒に作ってくれるはずです。
最終的には、あなたのチームに合わせた「24枚のカードの内容」と「カテゴリー分け」が完成し、それを元にテンプレートを作成して1on1を実施することができます。
重要なのは、ここまで述べてきた3つのポイント:
- チームの関係性の段階に合わせる
- 心理的に出しやすいカード設計
- ルール理解の正確さ
この3点を意識しながら、自分たちのチーム用にカードをカスタマイズすることです。これらのポイントが理解できていれば、生成AIとの対話を通じて、自分たちのチームにフィットしたカードセットが作れるようになります。
まとめ:是非一度試してみてほしい
チーム立ち上げ初期は、メンバー同士がお互いを知り、信頼関係を構築する大切な時期です。
その時期に、「気軽に話しかけにくい」という壁があると、その後の協働の質に影響します。
CONNECT CARDSは、そうした壁を取り払い、メンバー間の心理的安全性を高めるための1つのアプローチです。
万能な解決策ではありませんが、試す価値があると考えています。
もしみなさんのチームでも「最近立ち上がったばかりだ」「メンバー同士があまり話していないな」という課題を感じているなら、是非一度CONNECT CARDSを試してみてください。
生成AIと一緒にカードをカスタマイズし、30分間のセッションを通じて、チーム内のコミュニケーション活性化を促進してみることをお勧めします。
終わりに
DIGGLEではともにプロダクトを開発してくれるエンジニアを大募集中です。
少しでも興味があれば、ぜひ下記採用サイトからエントリーください。
カジュアル面談も実施しているので、気軽なお気持ちでご応募いただければと思います!