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「木の中にいる仏様をお出しする」

皆さんは、「木の中に仏様がいる」という話を聞いたことがありますか? これは、仏師が「木の中に眠る仏様を見つけてお出しする」という姿勢で仕事に向き合うことを指す、仏教的な例え話です。仏様は木の中に既に存在していて、仏師はただそれを掘り起こすだけだという考え方です。

個人的に、この話に強く共感します。仏師の役割が「何かを作り出すこと」ではなく、「元からそこにあるものを見つけること」だという視点は、Web開発者としての自分の仕事にも、これを活かせるのではないかと感じています。

開発と仏様

Web開発をしていると、「仏様をお出しする」という姿勢が重要だと感じる場面が多々あります。

たとえば、社内の誰かが「このような機能があれば業務がもっと楽になる」といったアイデアを提案してくれるとき。最初の要望は漠然としていて、どのように形にすればいいのかわからないことがあります。しかし、注意深く話を聞き、背景にある課題やニーズを掘り下げていくと、彼らが本当に求めているものが少しずつ見えてきます。

その「本当に求めているもの」は、まさに木の中に眠る仏様のようなものです。私たち開発者の仕事は、その仏様を掘り起こし、形にすることです。言い換えれば、社内の中に既にあるアイデアや価値を見つけ、それを具体的なプロダクトとして形にすることです。

仏様というのはMVPではないのか?

ここで一つの疑問が浮かびます。「仏様をお出しする」という仕事は、MVP(Minimum Viable Product)を作ることと同じなのではないか?

結論から言えば、仏様とMVPは似ていますが、根本的に異なる点があります。MVPは、最小限の労力で最大の価値を提供するプロダクトを指します。しかし、「仏様をお出しする」という発想には、単に最小限で終わらせるだけではなく、潜在的な価値を見つけ出し、それを活かすというプロセスが含まれています。

たとえば、MVPとしてリリースした機能があるとします。その機能が思った以上にユーザーに受け入れられた場合、それは「木の中に眠る仏様」を掘り起こした瞬間と言えるでしょう。一方で、仏様を探す過程では、最初のMVPが期待外れに終わることもあります。そのときこそ、「仏様はまだ別の場所に眠っているのではないか?」と考えるべきです。

たとえば、ユーザーがフィードバックを通じて「この部分がもっと便利になる」という声を寄せてきたとします。その声を元に機能を改善していくことで、最初は見つけられなかった価値に気付くことができます。このプロセス自体が、まさに仏様を掘り起こす作業と言えるでしょう。

MVPを軸に考えることで、仏様を見つけるための手がかりを得られますが、真に重要なのはその先の視野を広げることです。MVPはあくまで仏様を見つけるための手段であり、最終目標ではないのです。

自分に問いかける

もちろん、仏様を彫り出すには時間と技術が必要です。どんなに優れたフレームワークやツールを使っても、「仏様がどこにいるのか」を見極める目がなければ、ただ木を削るだけで終わってしまうでしょう。

そのために必要なのは、自分自身に常に問いかけることです。

  • この機能は本当に必要なのか?
  • 誰にとって、どの部分が価値となるのか?
  • 自分は余計なものを作っていないか?

こうした問いを繰り返すことで、余計な装飾を削ぎ落とし、価値のある部分だけを形にする感覚が鍛えられていきます。

まとめ

Web開発者として仕事をしていると、時には「自分が何かを作り出している」という錯覚に陥ることがあります。しかし、実際には価値は既にそこに存在していて、それを見つけ、形にすることが私たちの役割です。たとえば、社内での業務効率を向上させるためのアイデアが、当初は漠然としていたとしても、その裏に眠る本質的なニーズを掘り起こすことで、真に価値のあるプロダクトを作り出すことができるのです。言い換えれば、私たちは仏師と同じように「仏様をお出しする」立場にいるのではないでしょうか。