ミスト

 △ミスト(The Mist)

 

 スティーブン・キングの原作を読んだのはずいぶん前だったけど、こんなに退屈な展開だったかなぁ。いや、まじで、触手があるんだから、さっさと見せれば余分なやりとりをしなくて済んだんじゃない?変な脚本だなってなことをあれこれおもって見てたんだけど、なるほど、倉庫にはなかなか行かないっていう設定と、この触手の是非をめぐって、いろいろと個性のある登場人物を登場させるっていう意味もあたわけね。

 

 なんていうか、スーパーマーケットの中だけを舞台にするのは、予算もあるんだろうけど、必然的に論争するための設定だったのね?傲慢な黒人弁護士、旧約聖書に溺れとる宗教かぶれのムー的おばさん、役に立ちそうにない3人の軍人、とか。とくに黒人のアップていうくり¥あん9半切れてな感じで。けど、予算が足りないのか、退屈すぎるぞ。

 

 ヒッチコックの『鳥』をおもいだすけど、このラストはじつに不愉快だな。

ローン・サバイバー

 ◎ローン・サバイバー(Lone Survivor)

 

 すげー。

 後半、息もつかせん。そうか、このアフガンで失敗どころか大変なことになっちゃったタリバンの大物暗殺作戦、レッド・ウィング作戦っていうんか。しかし、敵から逃げる者はいかなることがあろうとも助けて守り抜けという「パシュトゥーンの掟」とかにしたがって助けてくれたムハンマド・グーラーブのいるアフガンの村の人々はどうなるんだろう?タリバンに報復されちゃうじゃん、てんことをおもったけど、まあ、数年後に再会できてるみたいだから無事だったってことねって、ちょっぴり安心。

 マーク・ウォールバーグと監督のピーター・バーグって、この映画あたりからコンビを組んでる感じなんだね。マーク・ウォールバーグはなんつうかそこらにいる兄さんって感じで、これといってアクもつよくないし、大物の前にいるとまったくオーラもなくされちゃうような感じなのに、でもなんだか、リアルな自然体で好い感じだね。

 エリック・バナもおさえた感じの演技で、出番は少なかったけど、ちょっと重しをおかれてるみたいで好いね。

グリーンランド 地球最後の2日間

 △グリーンランド 地球最後の2日間(Greenland)

 

 いや、ちょっと、あまりにも自己中心的な主人公じゃないか?

 小惑星が地球に近づき、大隕石になって落下しちゃうっていう設定はいい。でも、いろいろとひっかかる。まずは、糖尿病の息子。病人は乗せられないとボランティアの基地スタッフからいわれるが、それなら、なんで政府はこの家族を選んだんだ?あらかじめ調査してあるはずだろ?と誰もが疑問におもう。

 ま、それは物語をドラマチックに進めるためには目をつぶるところと考えよう。

 ただ、ジェラルド・バトラーが選ばれた理由が高層ビルの設計士だからってのはちょっと腑に落ちかねる。政府の関係者で実力者はたくさん要るだろうし、これもまたあらかじめ受諾するかどうかの確認がなされるだろ?

 まあそれも目をつぶるしかないが、とはいえ、こういう映画はかならず暴徒が出てきてスーパーが襲撃される。主人公たちも暴徒に紛れていくらインシュリンとはいえ、やむにやまれぬとはいえ、略奪のはしくれになるってのはほかに方法はないのかな?ジェラルド・バトラーも自動車の鍵が開いてないかとがちゃがちゃやるんだけど、なんかそういう緊急事態の対処が日本人みたいな外人はいないのかな?

 日本でこんな事態になったら、移民や観光客は暴れて日本人はじっと耐えてるみたいなことにならないかな?

 いや、それもそうだが、グリーンランドへ飛んでいこうとする際、滑走路に入り込んで、重量オーバーで飛べなくなるかもしれないっていうセスナを止め、医薬品や着替えまでもらって脱出する家族に対して乗客たちはなにも言わずにいるとかって、ありか?

 いやまじ、家族愛とかいう前の段階で、ここまで自分たちだけ助かりたいっていう図太さはどうしたら形成されるんだろう?なんていうか、どうしてこの家族が選ばれたのか、最後の最後までわからなかったわ。

 

父の祈りを

 ◎父の祈りを(In the Name of the Father)

 

 1974年10月5日、ギルフォード事件。

 イギリスとアイルランドの切っても切れない相互に憎み合うような関係については、地球の真反対に住んでいる僕らにはよく見えてこない。ことにその熱量ていう話になると、もはや、想像しようにも見当がつかなくなる。たとえば、ベルファストっていう地名ひとつとってもそうで、ぼくには北アイルランドの中心都市としかおもえないんだけど、北アイルランド問題の核ともいえる都市という認識は当事者じゃないとわからない。

 そんな背景をもった映画がこの『父の祈りを』で、最初に掲げたとおり、1974年に生起したロンドン郊外ギルフォードのパブ爆破事件をあつかってる。映画の中身は、このとき冤罪で逮捕されたアイルランド人ジェリー・コンロンとさらに逮捕されて投獄されたその父親の物語だ。

 コンロンを演じたのは、ダニエル・デイ=ルイスで、父親を演じたのはピート・ポスルスウェイトだ。どちらも名演で、ピートはもはや当人ではないのかっていうくらいのリアルさなんだけど、この人、演技がうますぎて、憎まれ役とかをやるとほんとうに憎たらしいし、うす汚い親父の役をやらせればほんとうに汚ったらしい。だから、この映画でも、IRAと微妙に知り合ってるんだけど独立紛争には参加してない生真面目な父親像を、その獄中の死をむかえるまで、ほんとに上手に演じてる。

 冤罪事件としては、エマ・トンプソン演じる弁護士の尽力によって無罪を勝ち取ることができるんだけど、そこにいたる15年にわかる父子の軌跡を、映画は描いてる。いやほんと、こういう独立闘争についても日本人には縁遠い話で、理解するのはむつかしいものの、父子の愛情物語として見ていけば感情の流れとしてちゃんと捉えられる。そんな映画だ。

 

 

告白、あるいは完璧な弁護

 ◎告白、あるいは完璧な弁護(자백)

 

 これ、おもしろいな~とおもって観てたら、途中になって、あれ?と。あれれ?これ、どこかで観たような気がするぞ、と。で、この頃かなりおぼつかなくなってきた記憶をたぐり寄せたら、あ、あれかっとおもった映画があった。

 そう、スペイン映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』だ。

 てことは、リメイクなの?と。で、ネットで検索してみたら、あら、やっぱりそうだったんだ、てなことだった。それで、あんなに緊迫感があったのか。

名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

 △名探偵ポアロ ベネチアの亡霊(A Haunting in Venice)

 

 退屈だなあ。

 おもわせぶりなだけの点描が続いてるだけで、ミッシェル・ヨーが墜落して彫刻に刺さって死んでからっていうもの、まるきり話が進まない。こけおどしの演出ばかりが連続してて、物語が空回りしてるとしかおもえん。

 ケネス・プラナーポアロ物はこれで3作目になるのかな?

 ほんと、どれもみんな似たような出来映えで、いや、こう言っちゃなんなんだけど、ケネス・プラナー、役者だけやってる方がいいんじゃないかって気がするなあ。

 最後の洋館の屋上から空撮をひいていって、ベニスの町並みが俯瞰されるショットは見事だったとはおもうんだけどね。

バーニング・オーシャン

 ◇バーニング・オーシャン(Deepwater Horizon)

 

 原題の『Deepwater Horizon』は、映画に登場する。メキシコ湾の沖に浮かぶ石油掘削施設の名称で、それがそのまま題名になってるんだけど、もちろん、その方が説得力はあるし、事故をおこした施設なんだから、中身が一瞬にして把握できる。でもまあ、邦題で『ディープウォーター・ホライズン』っていわれてもぴんぷんかんぷんだしね。苦しいところだな。

 でも、そんな日本人が観る場合、たしかに日本企業も全体で10パーセント程度の投資をしているわけで、それが大事故をひきおこしたんだから、ただではすまないわけで、当然、この映画もしっかりと観て、把握しておくのも大事かもしれない。

 ただ、一般の日本人にはなじみの薄い海の上の話だし、多くの日本人はよくわかっていないまま、映画を観ることになるんじゃないか?つまり、この海洋施設のどの部分がどうなるとどうまずいのか、どういうことをすればどうなってしまうのか、そのあたりがけっこうちんぷんかんぷんで、これがよくわからない分、事故の恐ろしさが半減しちゃう。これは、困りものだ。

 けど、もしかしたら、原語で聞けば、もっとよくわかるのかもしれない。いや、たぶん、わかっただろう。となると、うん?これって翻訳がよくないのか?そんなことをおもいながら、マイケル・ウォールバーグが必死になって炎と戦うあたりに眼を凝らしてた。

 たしかに、特撮は凄かった。凄かった分、登場人物たちが施設にいるのか外洋船にいるのか、そのあたりもわかりにくかったかな?

 ところで、マイケル・ウォールバーグの奥さんを演じたケイト・ハドソンだけど、施設の管理責任者カート・ラッセルと関係が深いらしい。というのも、現実の話として、ケイト・ハドソンの母親がカート・ラッセルの内縁の妻らしい。てことは、ケイト・ハドソンは、カート・ラッセルの義理の娘ってことになるんだよね?

 へ~。世間は狭いんだなあ。

 でもまあそれはおいといて。

 事故が起こるまでに半分の尺をとってるのは長過ぎだぜ。だれる。これは、構成のミスとしかおもえないよね。いくら、後半でディープウォーター・ホライズンが悲鳴を上げて崩壊していくところの特撮が凄いといっても、よ。