dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

Braveでマウスジェスチャが混乱する場合の対処

ブラウザにBrave、マウスジェスチャにStrokesPlus.netというソフトを使用している。これが突然マウスジェスチャが正しく機能しなくなる。全てではなく特定のジェスチャが無効になる。色々調べてBraveの標準マウスジェスチャ機能と、StrokesPlus.netが衝突していたと判明。

今のBraveには標準でマウスジェスチャ機能がある。これをオフにするには「設定」→「ユーザー補助機能」→「テキスト カーソルを使ってページ間を移動する」をオフにすればいい。Braveのアップデートが影響しているのか、定期的にオンになってしまうため忘れないようメモ。

当初はStrokesPlus.netの不具合を疑ったため、問題解決に随分時間がかかった。

なぜ金に余裕のない人がパチンコにハマるのか分かった

以前から貧乏人がパチンコ(またはパチスロ)にハマっているのが不思議だった。私はギャンブルをほとんどやらない。株をギャンブルといえばやっているが、一般にギャンブルと言った時に想起されるものは競馬を何回かやっただけだ(ダビスタ96、PSにハマったため)。パチンコは一度も遊んだことがないが、人によっては一度に数万円使うのもザラだという。驚くべき金額だが、不思議なのがパチンコが庶民、有体に行ってしまえば貧乏人がよく遊んでいることだ。

一度に数万円という事は月数十万円使っている人もいるわけで、経済的にそう余裕があるわけでない人々が、なぜパチンコという金の掛かる趣味を持つのか、持てるのか不思議だった。そして最近その答えが閃いた。

私の様に日頃ギャンブルをしない人間は、ギャンブルを買い物みたいな消費行動と思いがちだ。必要な物を買うために代金を払う。当然戻ってこない。だが、ギャンブルは"当たる事"がある、つまり払った金が戻って来る事がある。パチンコの期待値は80~85%と言われており、公営ギャンブルの75%と比べて割が良い。統計は大数の法則が働き、母数(試行回数)が多くなればなるほど確率論通りの結果に収束する。期待値が85%なら使った金は最終的に85%(-15%)になる。

一日に1万円パチンコで使うパチンコ好きがいたとする。彼は毎日ホールへ通っているから月30万円パチンコで使っている。こう聞くとパチンコ依存症という印象だ。だが30万円まるまる消費する訳ではない。期待値85%なら30万×0.85=25万5千円は帰ってくる計算だ。つまり月の出費は4万5千円。こう考えるとそう高い趣味とは言えないだろう。

最終的には確率通りに収束するにしても、一時は大勝ちすることもあるだろう(大負けも)。日に数千~数万円で時に10万、20万円になる夢が見られるなら、あまり経済的に恵まれない人々がたまの息抜き、手軽に夢を見る娯楽としてパチンコを愛好するのはおかしな事ではない。いやむしろ経済的に恵まれないからこそ、手軽な金額で即時的に夢を見られるパチンコに吸い寄せられるのかもしれない。

令和の米騒動は誰の責任か?

現在米の価格が高騰している。以前なら5㎏2000円程度だったのに、3千円台後半と二倍近い。利ザヤ狙いの転売も横行し令和の米騒動と呼ばれている。

各種メディアは犯人捜しに狂奔。転売屋と卸業者がよく槍玉に挙がる。だが重要な存在が無視されている。それは自民党と米農家だ。

卸悪玉論は真実か?

農水省の調査によると、JAも含めた集荷業者の集荷量は、24年12月末時点で前年比約21万トン減少。集荷業者が米価値上がりを見越し、約21万トンを抱え込んでいるからだという。

江藤農水大臣は米は足りているが、流通に問題があり消費者に届かないと会見で語った。その根拠は24年度の米の収穫量が、前年比18万トン増加という調査結果だ(農水省調べ)。

しかし、21万トンの米は存在しない可能性がある。農水省が発表した24年産の主食用米の収穫量は約679万トンだが、計算に使う「ふるい目」の大きさが農水省と生産者で異なる。

ふるいは粒の小さい米をはじくのに使う。24年産で最も生産者に使われたふるい目は1.85~1.9mm。対し農水省が使ったのは1.7mm。生産者で1.7~1.75mm未満のふるい目を使う割合は0.1%。ふるい目から落ちた「ふるい下米」は米菓や味噌といった加工用に回る。農水省はこれらも収穫量に含めるため、発表された数字から割り引く必要がある。つまり、農水省の調査手法は正確な収穫量を把握できない。

真犯人は「減反政策」と「備蓄米制度」

米の生産量を減らす「減反政策」は、表向き18年をもって終了。だが実際は続いている。需要と供給を均衡させ米価高止まりが狙いだ。農水省はここ2年において計算を誤り、結果、米不足を招いた。

「備蓄米制度」は、93年の「平成の米騒動」をきっかけに95年に生まれた。常に100万トン程度備蓄するよう、毎年20万トン程度米を買い付け保管。表向きは災害など非常時のための備蓄だが、実際は大量の米を市場から隔離し、米価を高止まりさせる手段になっている(24年の米の生産量は679万トンで、常に100万トンの備蓄なら毎年約15%の米が市場から隔離されている。上述した農水省の調査手法に問題があるなら、実際はもっと割合は高くなる)。

さらに減反政策に農水省は年間3500億円投じ、備蓄米制度の運用には年間500億円かかる。消費者は米価を高くするために税金を払い、それを高値で購入して二重の負担を強いられてきた。

なぜこの時期に備蓄米放出なのか

政府は米価高騰を受け備蓄米放出を決定した。備蓄米がスーパーの棚に並ぶのは3月下旬、一般に流通するのは4月頃。実は4月は米価の下がりやすい時期。米の品質を保つには低温で貯蔵する必要がある。冬場は常温で保管できても春以降は難しい。常温保存だと長く持ってもゴールデンウィーク前が限度。低温倉庫を持たない業者はそれまでに米を放出することになる。だから例年4月頃は米価が低下する。このタイミングに合わせたかのような備蓄米の放出は、政府が米価下落を自らの手柄としてアピールするため、と考えるのは考え過ぎだろうか。


令和の米騒動とは、票田を守りたい自民党、米価吊り上げで儲けたい米農家という既得権益者の生み出した人災である。

セブンイレブン買収と株主利益を軽視する日本企業

カナダのアリマンタシォン・クシュタールによるセブンイレブンの買収提案は7&iの自業自得だ。昔よりましになったが、日本の株式会社は株主利益を軽視し続けてきた。7&iも株価を割安なまま放置し続け、そこに円安が重なって狙われたのである。

アリマンタシォン・クシュタールからの最初の買収提案に対し、7&iは拒否する回答の中で「貴方の提案はタイミングを計った機会主義的なものであり、」と書いている。要は今円安で安く買えそうだから、とりあえず買おうという態度が気に入らないと言っているわけだ。だが今すぐ必要ではないものの、後々必要になる物が割安で手に入る、ならば今のうちに確保しようとするのは商売として当然だ。そのように機を見るに敏でなければ経営者失格だろう。

情けないのは最初の買収提案の後、突如9月13日に7&iがコア業種に指定されたことだ。7&iが国に泣きついたのだろう。すぐに国がしゃしゃり出てきてルールを変える、結局国が民間の経済活動を管理するなら社会主義と変わらない。こんな事をしていたらアメリカのUSスチール買収の妨害を批判できない。最後は国が何とかしてくれるのなら、日本の経営者は緊張感のある経営なんてしないだろう。

7&iは以前からサードポイントから突き上げを受けていた。イトーヨーカ堂など余計な事業を売却し、コンビニ事業に専念して企業価値を上げよと。だが7&iは今後の会社発展に必要なものとして突っぱね続けた。ところが買収提案を受けた後、突然イトーヨーカ堂を売却すると発表。不要な事業を売却し株価を上昇させ、買収ハードルを引き上げようとしたのだ。ならば経営陣はイトーヨーカ堂は7&iの企業価値を押し下げる重荷だったと認識していたのだ。社内政治か何か知らないが、株主利益以外を優先する経営態度がここにも表れている。

XやYouTubeのニュース動画についたコメントにしても、ほとんどがアリマンタシォン・クシュタールに敵愾心剥き出しで、セブンイレブンを国が守れといった保護主義丸出しの意見ばかりだ。大衆がこんなに閉鎖的なら日本にまともな資本主義が根付くはずがない。そんな国は投資家から相手にされない、投資家から相手にされない国にはお金が入ってこない、お金が入ってこない国が経済発展する道理は無い。

セブンイレブンは社会に必要なインフラと主張する人達もいるが、コンビニはセブンイレブン以外にも沢山ある。無ければ無いでどうとでもなる。事実、私はほとんどコンビニを利用しないが問題なく生きている。

7&iの態度は買収されたくないから反対だとしかいっていない。協議もせず門前払いで、買収が株主利益にとってどうかという視点がない。こんな会社は株主を大切にする外資に買収された方が株主のためだ。7&i買収の結末は、日本がまともな資本主義になったか、今まで通り閉鎖的でエセ資本主義のままなのかを海外投資家が判断する格好の材料になる。後者となれば海外投資家は日本を見限る、多分、日本の投資家も。

わんちゃ利兵衛の旅 感想

本書は堀江利兵衛という、かつてテキヤとして茶碗売りをしていた老人の人生を記した本。元は1984年に出版され、40年の時を経て文庫本として復刊した。前半は利兵衛の回顧録で、後半は著者がその周辺の人々の取材を通して、テキヤ業界の内実(当時)が解説される。

本書には複数のバサ(口上)が紹介されているが長いため書かない。気になる人は本書を読んでいただきたい。ちなみに、現代日本人にとって最も知られたバサは映画「男はつらいよ」の寅さんのバサだろう。だが、あのバサはヤホン(古本)のバサであり、寅さんはどんなネタ(商品)でも同じバサを使うため考証に問題があるようである。本書に登場するテキヤ曰く、もうバサなんて20年前にやらなくなったという。最初の出版が1984年なので60年頃にはバサウチは終わっていたらしい。男はつらいよの第一作は1969年公開のため、その頃にはもうバサウチは多くの人にとって記憶の中の存在だったようである。

以下、印象に残った部分をメモする。

口上(バサ)の構成

バサにはダレ口上(前段)、コマセ(中段)、本バサ(後段)に大別できる。ダレ口上はつかみであり客の注目を集める部分。茶碗なら素地の白さや絵柄についての解説が挿入される。ネタ(商品)毎に別の口上がある。

コマセは特定の人(そこのお母さん等)に対して口説いていく。内容は場所ごと客ごとに変化し、簡単にすませる場合と執拗に口説き続ける場合がある。誰をコマセの対象にするかで、よく売れるかどうかが決まるという。

普通は買ってくれそうな女の客をコマセの相手に選ぶ。それには足元を見る。つま先が品物に向かって真っ直ぐに立って動かない人ならコマセやすい。所謂スケコマシの場合は、足を組んだり外したりして不安定な女性の方がコマセやすいという。しかし、バサウチの場合、足元の安定した女性の方がその可能性が高いという。小さな町や村でバサを打つ時は、その土地のボス的存在の女性をコマセの対象とする。女性特有の自尊心、虚栄心、名誉欲などを言葉巧みにくすぐるのだそうで、そのあたりの機微を感知する能力もバサウチには要求される。

本バサは客の気持ちが動きかけた時、すかさず値段を叩いて落としてゆく。そのため値段バサともいう。その時、頃良い間合いで手を叩く。そのパンパンという音が大きくはっきり響かなくてはならない。簡単なように思えても素人では及ばない。音を聞けば筋金入りのバサウチかどうか分かるという。手を叩く代わりに竹や鞭で箱を打つ方法もある。これを箱バサといい、以前はりんご箱がよく使われた。箱バサは九州方面のバサウチが多様し、バナナのたたき売りはこれを基調としている。

本バサの段階で客から「買った」という声がかからないと打ちにくい。それも、予め腹積もりにしている値段に近いところでの声でないと納めにくい。高い値段のところで声がかかればいいわけではない。高値が前例となれば後に続いて売れなくなる。客からまだ高い値段のところで「買った」と言われたら、「待った! 慌てる乞食は貰いが少ないぞ」などと返して、さらに値段を落としていく。

売れなかった時(声が掛からなかった時)は、そのネタ(商品)はひとまず流す。その時は「えらい渋いなあ、ここは貧乏村の空在府(空財布)か」などという捨て台詞を吐いておく。声が掛からないからといって黙って商品を片付けたのでは場が白けるし、捨て台詞で客の闘争心が喚起されれば次に繋げるだけ儲けものだからだ。ちなみに、予め決めていた売値に落としていくのをオトシマイをつけるといい、落とし前はこれが訛ったもの。

最後にアイキョー(愛嬌)を撒く。主に買った客に対する愛想だが、普通の商売と違い、必ずしも謝礼やお世辞を言うわけではない。どちらかといえば皮肉を込めて冷やかす。例として、燗徳利を買ってくれた婦人に対しては、「あんたは後家さんか、長い間本望をとげる機会がなかったろうが、たまにはこんなもんででも本望をとげてみねえ」など。それで客が湧けばしめたもの、客との気持ちの交流ができる。

皿数のごまかしの手口

昔の茶碗テキヤは皿などの数をごまかして(数枚少なくして)売っていた。例えば30枚売ったように見せかけて、後で数えると28枚しかないなど。

まず小皿を表に10枚等間隔に並べる。さらにその縁に重なるようにもう10枚を裏向きに並べる。皿が表と裏の2列となる。そしてバサを打ちながら脇からもう3枚を取って追加する。追加の仕方は整然と並んだ皿の上にガシャンと無造作に置く。さらにもう3枚をガシャンと加える。最初の20枚はすっかり崩れ、正確な数は判別不能となった。値段は20枚のまま据え置き、すかさずまだ買わんのかと今度は4枚をガシャーン。そこで「買った」と声が掛かり「売った」と応える。そこで即座に皿の下に敷いていた新聞紙で素早く包み客に押しやる。だが、家に帰って数えてみると28枚しかない。

テキヤは前掛けをして立て膝で座る。右手で追加する皿を持ち、投げるように荒っぽく置く。その瞬間、前掛けの下から左手を出して近くの皿を引く。前傾姿勢とガシャンという音がその動作を隠すことになる。これがタネだ。

昔はこういったごまかしがよく行われていた。そして客は今と違いそれを楽しむなど鷹揚なところがあった。茶碗屋の手品をどうしても見破ってやると、むきになって買い続ける客もいたという。買って数を数えて「またやられた」と言って溝の中に全部叩きつけてから「もういっぺんやってみてくれ」と、そんな客がいた時代だったという。だが、今(といっても1984年当時)の客は賢くなって、「わしらのやりとりをバカになって楽しんではくれんで...」という。

アキンドという言葉の由来

昔は漁村は魚を、農村は穀物を物々交換していた。海彦山彦の伝説もそれを物語っている。漁民は秋の収穫期になると海の幸を持って農村へ向かう。農村からすると秋に漁村からの交換人が多く巡ってくることになった。そこで、秋人(あきびと)という言葉がアキンドという呼称を生んだ、という説があるという。

ルポ歌舞伎町 ホストクラブの裏側とスカウトの実態

「ルポ 歌舞伎町」を読了。面白かったところ、気になったところをメモしておく。

ホストクラブのお酒の相場

歌舞伎町の或るホストクラブでは、提供する酒は原価7%が基本。7万円で仕入れたら100万円で売る。高級ブランデーとして知られるヘネシー・リシャールは、1本40万円であれば500万円以上で提供する。それでいて開封はさせないし、持ち帰らせもしない。未開封の酒は、別の日に再び売られる。

ホストのバック率と最低保証

ホストのバック率は、客が100万円使った場合、45万円がバックとなる。昔はもっとバック率は低かったが、大手グループの台頭により、プレイヤーファースト(ホスト)の給与体系が広まったという。

歌舞伎町のホストクラブは最低保証があるのがほとんど。例として1日7000円。月25日出勤すれば何もなくとも月収17万5000円となる。

ヤクザのケツ持ち

ホストクラブはヤクザのケツ持ちがあるのが普通。みかじめ料の相場はバーは大体3万円、ホストクラブは5〜10万円。現在は昔ほど歌舞伎町も荒々しくないため、効果があるのかは疑問であり、ケツ持ちのないホストクラブもあるらしい。

ホストとスカウトの結託

ホストとスカウトが結託して女性を食い物にする場合がある。ホストの客に風俗で働こうとしていたり、今の風俗店に不満がある女性がいたら、その情報をスカウトに流してバックを受け取る。

ネットスカウトの実態

今どきの風俗のスカウトは、路上だけでなくネットを使って女性を確保している。Xには顔出ししていない風俗嬢を名乗るアカウントが無数にあり、風俗嬢の日常を面白おかしく綴っている。そういったアカウントにはスカウトが担当風俗嬢にバイトとして運営させているものが多い。さらに、人気アカウントをスカウトが買い取ることもある。買い取っても元の持ち主の風俗嬢にお金を払って運営を頼む。1人で1アカウントに付き月額1万5000円で4つ運営していた風俗嬢もいるという。このようなことをスカウトがさせるのは、そういったアカウントに風俗に興味のある女性からDMが届くからだという。そういう女性を自分のスカウトに紹介すれば、そこからバックが発生する場合がある。

歌舞伎町のスカウトという仕事について

風俗嬢の働き方は「出稼ぎ」と「通い」の2通り。通いは店舗に出勤し、こなした本数だけバックを得る。出稼ぎは短期(10日間など)で地方(といっても都内近郊)の店に出張し、店が用意した寮から出勤する。都内で通用するルックスの女性以外は地方(出稼ぎ)に回す。出稼ぎには保証がある。客がつかずに売上が少なくとも、一定金額が必ず給料として支払われる。客がつき嬢の手取りが保証額が上回れば完全歩合制に切り替わる。

保証額は1日5万円が相場。勤務日数は月10日間が相場のため、客がつかずとも50万円はもらえる。但し、1日12時間待機で無休。10日間の契約をして、前半の5日間でほとんど客がつかない場合、残りの5日もただ居るだけでいられるわけではない。店側も保証金を無駄にしないよう、常勤の嬢にお茶を引かせてでも、出稼ぎの嬢に客を当てる。

保証には「トータル保証」と「日割り保証」があり、トータル保証は契約期間を満了することが保証金発生条件となっている。それに対し日割り保証は日払いで保証金が支払われる。諸々の事情に明るい嬢は、出稼ぎの日割り保証の店を選ぶ。そしてのんびりしていられる前半5日などで店を辞め、後半の客を無理にあてがわれる期間を回避する。それでも月収25万円だからコスパがよい。このような女性ばかり出稼ぎに斡旋してしまうと、寄越したスカウトの信頼も地に落ちるため、スカウトは真面目に働くよう出稼ぎ中の風俗嬢のご機嫌取りも必要になる。

風俗嬢のバック率の相場は売上の50〜60%。スカウトの収入(スカウトバック)は風俗嬢の手取りで決まり、ヘルスで嬢の手取りの15〜25%。ソープで10〜15%。これが永久バック制で、女の子が店を辞めない限り永久にスカウトに支払われる。例えば、紹介した女の子が大衆ヘルス(1本2万円)で月10日、日に3本働けば、スカウトには4万5000〜7万5000円が入る。もし、そういった子が3人いれば13万5000〜22万5000円、5人なら22万5000〜37万5000円。

スカウトする女の子の基準は「身長 - 体重が100を切るとまず売れない。110からが許容範囲」なのだという。

スカウトが会社とやり取りする場合は「Signal」というメッセージアプリを用いる。テレグラムと同じく通信内容が暗号化されて安心なため。

路上における風俗店へのスカウトは、声をかけた時点で東京都迷惑防止条例違反となる。さらに、売春の仲介をしたと認められた場合、職業安定法違反または売春防止法違反ともなる。スカウトが逮捕される場合、私服警官による現行犯逮捕がほとんどで、女性警官がおとり捜査を行う場合もあるという。そのため、会社から警察に必ず言ってはいけないこと(容疑を迷惑防止条例違反に留めるためと、会社を守るため)を覚え、現行犯逮捕された時に喋るストーリーも、事前に暗記しておかなければならないという。

遺伝と平等 読書メモ

紹介文
遺伝とはくじ引きのようなもの――だが、生まれつきの違いを最先端の遺伝統計学で武器に換えれば、人生は変えられる。〈遺伝と学歴〉〈双子〉の研究をしてきた気鋭の米研究者が、科学と社会をビッグデータでつなぎ「新しい平等」を指向する、全米で話題の書。サイエンス翻訳の名手、青木薫さんも絶賛する、時代を変える一冊だ。

行動遺伝学の最新の知見を紹介した本。以下、印象深かった部分をメモ。本書ではアウトカムを成り行きと訳すことが多いが違和感が強い。結果と読み替えた方が自然に読める。

貧しい家の子は老いやすい

著者の研究室の調査によると、低所得で貧しい地域に育った子供は、8歳の時点で生物学的年齢の重ね方が早い科学的根拠有り。

「金持ちが天国に入るのは駱駝が針の穴を通るより難しいかもしれないが、金持ちには、裁きの日を先送りできるという慰めがある」

GWASとポリジェニックスコアとは

GWAS(Genome-Wide Association Study)は、多くの人々の遺伝子を調査し、遺伝子と特定の特徴や疾患との関連性を見つける研究手法。例えば、ある遺伝子が特定の病気のリスクを高める可能性があるかどうかを調べることができる。これには大規模なデータセットが必要で、数千、数十万、またはそれ以上の人々の遺伝子情報が必要。

ポリジェニックスコアは、複数の遺伝子座(遺伝子の位置)から得られた情報を組み合わせ、ある特定の特徴や疾患のリスクを評価する指数。これは、GWASの結果を元に計算され、個々の遺伝子の影響を合計することで得られる。

GWASは多くの遺伝子と特定の特徴や疾患の関連性を見つけるための研究方法であり、ポリジェニックスコアはその結果を使って個々人の特徴や疾患のリスクを評価する指数。

遺伝研究におけるヨーロッパ中心主義

現在のGWAS研究のほとんどは、遺伝的祖先がヨーロッパ系の人を対象に行われれた結果。そのまま別人種に当てはめられるわけではない。

自由や機会の無い悪平等の環境が最大の平等を生む

旧ソ連構成国は教育にも就職にも自由や競争が無かった。その後ソ連が崩壊し、誰もが学校や職業を選べるようなると競争原理が発生した。
エストニア旧ソ連構成国)には、エストニア・ゲノムセンターという全国民の大規模な遺伝子データベースを持つ施設がある。イギリスの遺伝学者達はそのサンプルを用い、ソ連の占領(共産主義)が終わった時点で10歳未満だった人達と、それ以外の人達について調査した。その結果、ソ連時代以後に教育を受けた人達は、そうでない人達と比べ、学歴ポリジェニックスコアで説明できる学歴の偏差が大きかった。つまり、選択も競争も無い環境では、遺伝子の影響は弱められる。反対に誰もが自由に教育(学校)も職業も選べる開かれた環境では、他の障害が無い分、個人の遺伝子の影響が強く顕在化する。

ちなみに、アメリカはチャンスの国(アメリカン・ドリーム)と思われているが、実は社会的流動性が低い国。これはセーフティーネットが脆弱だからで、そういった国では遺伝の影響は抑えられている(アメリカは27位、日本は15位)。共産主義国のように自由や機会が無い世界、貧困、差別、抑圧的な政策などが蔓延る最も望ましくない世界ほど、個人の遺伝子が生かされず、結果、平等になる。

Global Social Mobility Index - Wikipedia

遺伝子編集により人間を賢くするのは不可能

知能テストの成績や学歴などに関する遺伝的構造は複雑。小さな効果と未知のメカニズムを持つ、何千何万という遺伝的バリアントが絡む。さらにそういった遺伝的バリアントは、社会的に忌避される要素にも影響する。例えば学歴の高さに関連する遺伝的バリアントの多くは、統合失調症のリスクとも関連している。ゲノム編集によりIQを高めるのは、現時点で科学的に不可能。

国の介入が常に公平性を推進するとは限らない

公平を実現するための介入が、人々の遺伝的差異を増幅させることがある。タバコは健康を害するとして各国で規制や重課税が行われてきた。それにより1960年代以降、喫煙者は半減。だが、タバコへの課税による禁煙効果が、最も有効に作用したのは、タバコ依存症の遺伝的リスクが最低の人達だった。一方、タバコ依存症の遺伝的リスクが最高の人達は禁煙できず、健康被害と懲罰的なタバコ料金の二重の負担に苦しんだ。介入がマタイ効果(豊かな者はより豊かに、貧しい者はより貧しくなる)を生み格差を広げたという。

教育への介入はほとんど失敗している

教育の世界では様々な介入が行われてきたが、ほとんどは失敗。米国教育省の教育科学研究所(IES)が監修している、何が教育に有効かというオンライン情報サイトには、IESが実施したランダム化比較実験に関する報告がある。以下、引用。

「これらIESにより行われた研究の結果には、明確なパターンが認められる。評価の対象となった介入の大部分は、学校で普通に行われている実践と比べて、ほとんど、ないし全く効果が無かったということだ」

慈善組織ローラ&ジョン・アーノルド財団(現在はアーノルド・ベンチャーズ)による報告では、

「真に効果があることが明らかになった介入も僅かながらある。……しかし、そういう介入は、はるかに大きなプールを検証する過程で見つかった例外にすぎない。当初の研究では有望とみられていた介入まで含めて、介入の大半は、効果が小さいか、効果が全く無いことが明らかになった」

犯罪傾向にも遺伝が関係している

攻撃性や暴力性は遺伝子の影響があるという科学的根拠がある。子供時代に始まる行動障害、物理的攻撃性、冷酷さ、配慮の無さなどは、子供時代には高い遺伝率(80%より高い)を示す。

さらに、子供時代の衝動的行動や危険行動(ADHDの症状、多数の相手との性交、アルコール関連問題、マリファナ摂取など)についても、そういった遺伝的傾向を持つ人は、持たない人と比べ重罪を犯す可能性は4倍以上高く、投獄される可能性は約3倍高い。

最終学歴は誕生時のくじの結果

ある古典的研究では、誕生後すぐに引き離され別々の家庭で育った双子がいる。この双子の知能テストの得点差の平均は、1人の人物が知能テストを2度受けた時の得点差の平均とほぼ同じだった。さらに、一緒に育てられた一卵性双生児の人生を追跡すると、同じ両親のもと、同じ地域、同じ遺伝子を持って同時に人生を踏み出した人達が、異なる学歴を持つのは稀。大学入試でほぼ同じ得点を取り、最終学歴もかなりの程度まで同じ。

遺伝と環境、両方の影響があるにせよ、この2つを誕生時のくじ(遺伝くじと自然くじ)と捉えると、人生は誕生時のくじで多くが決まっており、人が自分の意思でどうにかなる領分(自己責任)は驚くほど小さい。

知能テストは人そのものの価値は測れない

知能テストは優生学推進者達により、人の生まれながらの価値を判断するもとのされた。それは人種差別的で階級差別主義的な社会を正当化する便利な言い訳。知能テストは、

「ある人物の価値を教えるものではないが、価値があるとされる何かを、その人が行えるかどうかなら教えてくれるのである」