dd50ee70’s blog

計算機科学を中心によしなしごとを

フェルミのパラドックス、高度な認知能力(言語、推論、予見など)

 かつては知的な活動ができるの動物は人間だけと、特に西欧社会では宗教的背景もあって、確信されていました。今は、動物にもあんなことができるこんなことができると、動物の賢さを示す実験・観察が目白押しになっています。道具を使う、チンパンジーが石を使ってヤシの実を割っている。道具を作る、チンパンジーが細い枝の葉をすべてむしってシロアリ釣りに使う。群の仲間を識別し、状況に応じたシグナル、鳴き声、動作などによりコミュニケーションする、チンパンジーもそうだし、イルカなども。数を数える、チンパンジーのほか、有名なヨウムのアレックス君もそう。鏡を見て自分だとわかる。キリがないのでこれくらい。こうなってくると人類に特有の知的能力は何かという質問に答えるのが難しくなるほどです。

 とは言っても、抽象的概念を表現できる言語、世界の動きを説明するモデル*1を使い因果関係を説明する、推論に基づいて将来を予見する能力などは今も人類特有と考えられています。そう言った能力を基盤に技術文明が発達したと思われます。

 さて、技術文明につながる高度な認知能力は一度しか進化しなかったのか。最近の研究ではネアンデルタール人もいいところに行っていたと見られています。しかし、ネアンデルタール人は人類で、現代人(ホモ・サピエンス)との共通祖先が高度な認知能力を持っていたか、ホモ・サピエンスに影響されて能力が発達した可能性があるから、これは「一度」に入ります。別の問い方をすると、過去に人類以外の技術文明があったとしたらそれを見つけることができるか考えます。どのくらいの技術がどのくらい前にあったかにより話は異なります。

 核分裂原子炉を実現する技術があったのなら、まず確実にその痕跡を地質学者が見つけられます。核分裂をすると高レベル廃棄物が出ます。いずれ地層に埋設処理するでしょう。その跡地を百万年後に掘ると、テクネチウム99が検出されます*2テクネチウムは自然に存在しない放射性元素なので、「人」工的産物であることが明らかです。一億年後になるとテクネチウムは全て崩壊してありません。しかし、「跡形」は残ります。ルテニウム99が、ジルコニウム90、バリウム137*3とセットで出てきたら、核分裂生成物の成れの果て確定です。このように原子力を使える文明の痕跡は大昔でも確実に検出できるでしょう。その証拠が見つかっていないので、地球では現在が最初の原子力文明といえます。

 一方石器は当てになりません。チンパンジーもヤシの実わりのために石を加工しますから、加工された石器らしきものが出土してもそれだけで技術文明の証拠にはなりません。

 では、金属器はどうでしょう。金や白金の器物はどれだけ時間が経っても残るでしょう。問題は自然物ではないと判定できる特徴を見つけられるかです。まあ、注意深く調べればわかるんじゃないでしょうか*4。鉄製品は錆びるからせいぜい数千年の寿命ではないでしょうか。銀や銅は硫化水素などと反応はしますが、結構持つでしょう。金属製錬ができる技術文明も人類以前にはなかったと言って良いでしょう。そして、金属の精錬・加工には高度な技術が必要なことを合わせれば、人類以外の技術文明はなかったと言えます。

 まとめると、技術文明につながる高度な認知能力の進化はこれまで一回だけ。しかし、賢い動物が色々いることを合わせると、ハードルの高さは二つ星⭐︎⭐︎でしょうか。

*1:昔は神話や宗教、今は科学です

*2:ストロンチウム90やセシウム137など放射線が強い厄介者は完全になくなっています

*3:それぞれ、テクネチウム99、ストロンチウム90、セシウム137の崩壊生成物

*4:無責任だけど実例がないのだからしょうがない

フェルミのパラドックス、陸上へ進出

 宇宙旅行の技術を持つ知的生命は必ず、どこかの時点で上陸しなくてはいけません。キッパリ。推測だらけのこのテーマでは珍しく断言できます。水から出ないと宇宙には絶対手が届きません。ですが、地球では何系統かの生物が上陸を果てしいます。もっとも、乾燥した環境で一生過ごし繁殖できなければ真の陸上生物と言えませんね。カエルみたいに幼生(オタマジャクシ)は水の中で育つのは話にならない。その条件を満たすのは、種子植物、真菌類、真菌と藻類が共生する地衣、それと、動物では脊椎動物の有羊膜類*1節足動物の昆虫とクモ・ムカデの仲間です。軟体動物のカタツムリの仲間は微妙ですが除きましょう。ナメクジはもちろん除きます。

 さて、陸に上がるのが生物進化においてどのくらいの障壁になるか考察しましょう。上に述べた通り、結構多系統の生物が上陸しています。すると大したことはないのか。しかし、動物では2系統(脊椎動物節足動物)のみ。しかも、外骨格の節足動物は致命的な弱点を抱えています。それは脱皮でしか成長できないこと。あまり体が大きくなると脱皮後、まだ体が固まらないうちは重力に耐えられないのです。水中なら浮力があるので問題ありません。よって体の大きさに制限がつくわけです。SFでよく出る巨大な昆虫は存在できません。といっても、古生代石炭期には体長70cmのトンボがいたから、上限はそれ以上です。今の昆虫が小さいのは、体表の気門から気管を通して呼吸する仕組みからきています。体が大きくなると気管も長くなり、ガス交換ができなくなります。石炭期は酸素濃度が35%もあったので大きくなれたのでした。

 体が小さい生物でも知性を発達させられるか。ある程度以上複雑な神経系を持つ必要があるので、あまり小さいと知的になれないと思われます。しかし、前にも書きましたが、集団で知性を発揮する可能性もあります。実は、計算機科学の分野ではパーティクルスォーム最適化(PSO, 群集団最適化)と呼ばれる一連の計算法が研究されています。初めに出たのはアントコロニー最適化で、これはアリさんが巣から出て餌を探すとき、良い餌がある場所に行ったアリがたくさんフェロモンを残し、他のアリがそこを辿って行くうちに一番良い餌場への行列ができることをモデルとした計算法(アルゴリズム)でした。結構良い結果が出たので、真似してハニービー(ミツバチ)最適化、昆虫は嫌いだからグレイウォルフ(灰色オオカミ)最適化など類似品が多数できています。実は、私はパーティクルスォーム最適化は全部嫌いなのですが、これは今回置いておきます。実際の小型生物が集団として賢くなれるかですが、これはアリさんが行列するくらいが関の山と思います。問題は情報伝達の速度が致命的に遅いこと。アリさんとアリさんが角突き合わせるか*2風に乗ってフェロモンが香ってこないと情報が伝わりません。これも前に書きましたが、自然界を操作する複雑な装置を作るには、物理法則で決まる自然界の時間尺度(重力で物が落ちる時間など)より、余裕で早い認知能力が必要でしょう。

 まとめると、

  1. オゾン層が形成されているなどの条件が整っていれば、陸上に進出するのはそう難しくはない。
  2. 知的能力を進化させられる可能性を持った生物群が上陸する必要がある。
  3. 上の条件は前回の議論に該当する。

ということで、前回と同じく星一つ⭐︎くらいの困難さかと思われます。

*1:哺乳類と爬虫類

*2:触角ですが

フェルミのパラドックス、多細胞生物の出現(個体として統合された感覚行動器官を含む)

 やたら長いサブタイトルは「多細胞動物」としたくなかったからです。動物以外の知的な生物があるかどうか、植物だって賢くなれる? という可能性を否定しきれないからです。

 多細胞生物はすべて真核生物です。原核生物には細胞分裂後もくっ付いていて群体となるもの*1はありますが、多細胞(あるいは多核の巨大細胞)で一つの個体となる生物はいません。しかし、真核多細胞生物は多くの系統で見られます。植物、緑藻、褐藻、紅藻、真菌類(キノコとカビ)、それに動物、変わったところで粘菌の類いもいます。でも、多細胞ならなんでも良いわけではなく、賢くなるには感覚と行動器官があり、外界の情報を捉えてそれに対応できなければいけません。そうなると地球では動物だけ、と言いたいところですが、粘菌が微妙な立ち位置にいます。

 粘菌という一つの分類群があるわけではなく、ねば〜としているが、ある時キノコのような子実体を作り胞子を出す雑多な生物群を指します。細胞性粘菌はアメーバのような単細胞で個々に分裂して増えますが、エサが少なくなると集まって一つの塊を作り、ナメクジのように動き出す。良さそうな場所に来ると柄を伸ばしてその先に胞子嚢を作ります。変形菌は多核の塊で餌を探します。美味しい餌がある場所を最短距離で繋ぐといった賢い振る舞いを見せます。最後はキノコになって胞子を飛ばし新天地を開発します。粘菌が知的生物になり道具を使い出す、なんてホラーSFです。ひょっとしたら、そんな進化をする世界があるかもしれません。

 まとめると、

  1. 多細胞生物は何回も進化している。
  2. 生涯を通じて感覚器官・運動器官を持ち、個体として振る舞い、知的な行動をするのは動物だけである。
  3. 生活史の一時期に運動したり、ちょっと賢くなったりする、粘菌という変なやつもいる。

ということで、多細胞生物の出現は進化の中でそんなに困難なことではなく、せいぜい星一つ⭐︎とします。

*1:ブドウ球菌、連鎖球菌、一部のシアノバクテリアなど。シアノバクテリアには細胞分化する(光合成をせず、窒素からアンモニアを合成する細胞が出現する)ものもいる。

フェルミのパラドックス、真核生物の出現(細胞内共生、酸素呼吸を含む)

 すべての生物は細胞からできるている。これは常識ですね。細胞には核がある真核細胞と核がない原核細胞がある、これも常識に加えましょう。細菌・バクテリア(同じものですが)には核がなく、DNAは細胞質にむき出しで入っています。これは原核細胞です。これに対し、真核細胞*1には膜で囲まれた核があり、その中にヒストンというタンパク質と結合したDNAが入っています。本当に核があるから真核細胞と言います。

 真核細胞は核があるだけではなく、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、葉緑体など膜で囲まれた細胞内小器官が色々あります。原核細胞にはそういったものはありません。真核細胞はサイズが大きくDNAの量も多く、多細胞になったり、さまざまな物質を作ったり、複雑なことをします。原核細胞から絶対に知能が進化できないか、と言われるとわかりません。群体で何か知的なことをやり出す可能性とか、否定はしきれません。しかし、原核細胞は本質的にサイズとDNA量に制限がかかるので、分裂して増えまくる以外の進化戦略は無理ぽな感じです。つまり、真核生物の登場は知的生物登場の大きなハードルであったといって良いでしょう。

 それでは、真核細胞は必然的にできるものなのか、それとも偶然が重なってできたのか。まず、今いる真核生物はすべて共通の祖先から枝分かれしてきたことが知られています。多分、真核細胞の出現は一回しかなかったのでしょう。真核細胞は古細菌と呼ばれる、細菌とは別の微生物の系統から出現しました。ただし、酸素呼吸能力を獲得した細菌(リケッチアの仲間の先祖と言われる)と共生し、酸素呼吸によるエネルギー獲得を共生体に任せたのがことの起こりと見られています。その共生体はミトコンドリアになりました。今日でもミトコンドリアは独自のDNAを持ち、呼吸に必要な何種かのタンパク質を自前で作っています。ホストの細胞は自分のDNAをヒストンで保護し膜の中にしまって細胞全体をコントロールするようになりました。これが今日想定されている真核生物の歴史です。まあ、進化の過程など誰も見ていた人はいませんし、想像するしかないですが、もっともらしい想像とありそうにない妄想は峻別しなくてはいけません。

 以上の知見から

  1. 真核生物の出現は知能の進化に必要であった。
  2. 真核生物は共生により酸素呼吸能力を獲得することから始まった。
  3. 真核生物が誕生するには稀な現象が揃うというお膳立てが必要であった。

と言えるでしょう。知的生命に至るハードルとして星三つ⭐︎⭐︎⭐︎つけましょう。

*1:動物、植物、真菌類(カビとキノコ)、各種藻類(藍藻を除く、こいつは別名シアノバクテリアで細菌の仲間)、ミドリムシ、ゾウリムシ、マラリア原虫など単細胞のやつも多い

フェルミのパラドックス、酸素発生光合成生物出現

 まず、酸素発生光合成生物出現☆☆☆を考察します。

 酸素発生と断る理由は、酸素を発生しない光合成をする生物、全てバクテリアですが、が少なくとも4系統存在するからです。そいつらは硫化水素から水素を抜き出し、光のエネルギーを使って無機化合物から有機物を作ります。硫黄が廃棄物として出ます。それに対し、植物などは水を分解して水素を取り出し、二酸化炭素から有機物を作ります。廃棄物は酸素です。水分子の酸素と水素の結合は硫化水素の硫黄と水素の結合より強く、これを切り離すには多くのエネルギーが必要、つまり進化の難易度が高いということ。植物、緑藻、紅藻、褐藻、多くの系統の単細胞真核藻類、それにシアノバクテリアが酸素発生光合成をしますが、それらは一つの系統から出ています。最初はシアノバクテリアが水の分解を開発し、あとは細胞内共生により広まったとみられています。酸素を発生しない光合成は独立に4系統以上(光合成の定義により数え方が異なる)出現したのに、酸素発生は一回のみ、こちらのハードルの高さがわかります。

 シアノバクテリアが地球の大気に酸素を盛大に放出しだしたのが20億年くらい前です。それによってのちの生物進化に大きく影響する事態が起こりました。

  1. メタンガスによる温室効果がほぼ終了した。それまでは酸素がなかったのでメタンガスの濃度が高く(メタン細菌がメタンガスを作る。今でも)その温室効果により気温が高かった。メタンガスが酸化されてなくなり、気温が低下した。低下しすぎて地球全体が凍りつくほどの大氷河期になったともいう。
  2. オゾン層が形成されて危険な紫外線が遮断された。安心して陸上を散歩できるようになった。
  3. 生命活動に使えるエネルギーを大量に取り出せる酸素呼吸が可能になった。それまでの生物は、少ししかエネルギーを得られない、発酵により生命活動を行っていた(今でも酸素呼吸に背を向けて発酵だけをする生物、主に細菌、はいる)。

酸素呼吸は知的生物や技術文明の必須条件ではないでしょう、多分。酸素呼吸は多くのエネルギーをもたらすので効率よく🟰素早く、複雑な組織や行動を作り上げることができます。しかし、非効率なエネルギーでも時間さえかければ同じことはできるかもしれません。この辺歯切れが悪いのは完全な想像だからです。ゆっくり生物は必然的に長生きだから恒星間旅行にはかえって向いているかも。一番近い恒星まで光の速度の1/10で往復するのに、地球で待っている人には84年くらいかかる(旅行する当人は少し短くなる)のですから。

 ただ、色々な現象が起きる時間は惑星の重力などで決まっており、ゆっくりしすぎだとそれに対応できない恐れがあります。例えば1mの高さからものが落ちるのに約0.45秒かかります。この時間は地球の重力だけで決まるので地球と同じくらいの重力の惑星なら全て同じくらいです。我々はよっぽどボケっとしていなければ、避けたりキャッチしたりできます。すばやく動けない生物だといちいち下敷きになる、それはかないませんね。機械を作る時も反応速度は効いてきます。水車を作るとします。水が流れる速度は重力と水量(粘性が関係するので)で決まります。水の流れと水車の回転を見て不具合を調節できる能力がないと、そもそも水車を作ろうという気にもならないのでは。

 このように酸素を発生する光合成は一回しか進化していないこと、地球環境と生物の進化に大きな影響を及ぼしたことを考慮して、三つ星としました。知的生命誕生へ第一に越えるべき高いハードルでしょう。

「みんなどこにいるんだ?」フェルミのパラドックス

 原子核物理学の研究で有名なエンリコ・フェルミが、宇宙人がいる確かな証拠がないことに関して「みんなどこにいるんだ?」とつぶやいたと言われています。文明が恒星間を航行できる技術に到達すれば、数百万年という比較的短い時間(宇宙の年齢138億年に比べたら)で天の川銀河の隅から隅に行き渡れるはずなのに、そうなってはいないのはなぜか。どこで考え違いをしているのか、ということでフェルミパラドックスと呼ばれるようになりました。実に多くの仮定をした上で成立するパラドックスなので、まず、仮定を並べましょう。

  1. 生命が発生してもおかしくない惑星が十分ある。これは最近の観測で仮定ではなく事実となりました。
  2. 実際に生命が誕生する。
  3. 恒星間航行できる技術を持つ知的生命が出現する。
  4. 3で出現した知的生命が、他の恒星系に移住したくなって実行する。
  5. 数百万年の間知的生命が存続する。

このうち、4と5の仮定の具体的内容を色々いじると、パラドックスが出たり消えたりします。知的生命は必ず新天地に移住し、移住先からもまた移住する。数百万年以上そんな活動をする。とくれば、「宇宙人さんこんにちは」となっていいのにそうでない。これはパラドックスです。一方、みんな引きこもりだったり、文明が長続きしなかったりすると、宇宙人を見かけなくても不思議はないねという結論を出せます。生命の誕生は非常に稀なことだ、つまり仮定2をほぼ否定し天の川銀河で生命がいるのは地球だけ、とすれば宇宙人などいなくなって、パラドックスは消えてなくなります。

 ここでは仮定3をいじってみます。生命はそこそこ誕生する、天の川銀河全体で数百億という惑星(あるいは衛星)が生命を宿しているが、そこから技術文明を発達させるまでにいくつか高いハードルがあって、人類以外超えられた生命はいない。つまり、恒星間航行できる宇宙人はいない、今もこれまでも、というストーリを検討します。ハードル、壁として次の5つを設定し、毎回ひとつずつ詳しくみていく予定です。

  1. 酸素発生光合成生物出現
  2. 真核生物の出現(細胞内共生、酸素呼吸を含む)
  3. 多細胞生物の出現(個体として統合された感覚行動器官を含む)
  4. 陸上への進出
  5. 高度な認知能力(言語、推論、予見など)

ハードルの高さの目安として星をつけます。星三つ☆☆☆が一番困難で、二つ☆☆がその次、星一つ☆はちょっとした困難という位置付けです。困難度を評価する際、生命進化の実例が地球の生命しかないため、これまでの生命の歴史を見て、一度しか起きていないことは困難度が高い。何系統かの生物に見られる、が一系統以外は袋小路に迷い込んだ現象はちょっとした困難と評価します。

防災訓練、こんな想定はダメですか

 肩の力を抜いて、パロディぽいのを書きます。

 わたしのいた、T県の県立大学では毎年防災訓練をやっていました。想定は「大地震が起こってどっかで火災が発生する(発生場所は毎年変わる)。消火班は初期消火に努め、避難誘導班は取り残された人がいないか確かめる。結局消火できないのでキャンパス内の広場まで逃げ出して、学長先生のありがたいお言葉を聞いて終わり。」分単位で各人の行動が決まっていて、分厚い手順書を見ながら、次は何するんだっけという感じでやっていました。

 こういうふうに何をするか全部決めてもらっていれば、災害が来ても安心ですね。

 て、アホじゃないの、想定外のことが起こるのが災害というもの、「本番」の時もまず、手順書を探して、それを見ながら・・・なんてことするの? 基本的な動作(消火器の使い方など)は訓練して、あとはその時の状況に合わせて自分で考えて行動できる能力を養う。なんて難しいことを考えていたら火災にまきこまれて焼死したことにして、臨機応変に訓練を終了していました。

 もっと変化をつけた防災訓練案を三つほど。

 想定1. 生物工学科が隠し持っていた天然痘ウィルスが漏れ出し、広範囲に汚染が広がり感染者も出た模様。

 訓練: ひたすら逃げる。

 年寄りで若い頃種痘をしたことがあるものは、まだ免疫が残っているかもしれないから、除染や感染者の救護活動をする。防護服を着て消毒薬を散布する(訓練だから水でいいでしょう)のをやってみたかった。(言うまでもありませんが、生物工学科はおろか、日本中どこを探しても天然痘ウィルスはありません。)

 想定2. 立山が噴火し大火砕流が発生。県東部は全部埋まった。西部(県立大学はこっちにある)も火山灰により交通・電力・通信が途絶した。

 訓練: 火山灰除去訓練。本物の火山灰はないから砂をショベルですくってバケツなんかに移す。情報工学科だけはアドホックネットワークの立ち上げ訓練をする。アドホックネットワークとは直訳すると「場当たり的通信網」です。中継機が何台かあるが、ごく近い中継機間でないと通信できない(電池で動くから強い電波が出せない)状況で、それぞれの中継機が自動的に経路を開拓し、全体として通信できるようにする仕組みです。専門に研究したことがないのでこれぐらいでご勘弁を。大規模災害の時にそういうのができると被害状況の把握、救助、救援物資の配布に役立ちそうです。でも実用化したという話は聞いてません(専門でないから詳しいことはわかりません)。

 想定3. 日本海中部に直径10kmの小惑星が落下、波高3000mの津波が2時間後に到達する。(衝撃波が超音速で、つまりもっと早く来て、あたりは瓦礫の山になりますが、訓練の時間がなくなるのでそれは無視。)

 訓練: 周りの人にさよならを言う。これをやらないと心残りということをする。

わたしはアイスクリームを腹一杯食べたいので近所のスーパに買いに行き食べちゃいます。中には密かに想いを寄せているAさんと最後の思い出を作りたい方もいるでしょう。防災訓練(この想定ではちっとも「防災」になっていませんが)という大義名分があるからやっちゃいましょう。さて、人類滅亡級のこの災害では、本番ではさよならを言って終わりです。しかし、これは訓練、終われば日常が戻り、普通に明日が来ます。わたしはトイレで一日を過ごす羽目になりますが、本当にAさんとやっちゃった方は要注意。お互い独身でAさんの方も憎からず思っていたのなら、これを機会にお付き合いが始まりめでたくゴールインも夢ではない。既婚者だと、人生終了級の大災害に発展するかも。防災訓練は真剣に取り組まないといけませんね。