データベース設計とは?基本手順・設計の種類・実務のポイントを体系的に解説

システム開発や業務データの活用が進む一方で、「データが重複している」「必要な情報が取り出せない」といった課題を抱える企業は少なくありません。原因の多くは、データベース設計の段階でデータの構造やテーブル間の関係性が十分に整理されていないことにあります。

正しい設計を行えば、データの整合性を保ちながら、業務の効率化や分析の精度向上を実現可能です。本記事では、データベース設計の基礎から実務に生かせる手順、ツール選定や設計改善のポイントまでを体系的に解説します。

目次

データベース設計とは

データベース設計とは、システムで扱うデータを整理し、正確かつ効率的に管理・活用できるように構造や運用方針を定義する工程です。業務で扱う情報をどのような形で保存し、どのように関連付け、どのように利用・保守していくかを設計段階で明確にします。

適切な設計ができていれば、データの重複や不整合を防ぎ、長期的に安定したシステム運用が可能です。逆に設計が不十分なまま構築を進めると、後からの修正や改修コストが大きくなり、業務の停滞を招くこともあります。

データベース設計は、単なる技術的作業ではなく、業務の仕組みやデータの意味を理解し、将来的な拡張や分析にも耐えられる基盤を築くための重要なプロセスです。

データベース設計の目的

データベース設計の目的は、単にデータを整理するだけでなく、システム全体の信頼性と効率性を支えることにあります。設計の段階でどのように情報を構造化し、運用に耐えられる仕組みを作るかによって、後の業務の流れや分析の精度が大きく変わります。

次は、データベース設計が果たす主な3つの目的について見ていきましょう。

データの重複や不整合を防ぎ、整合性・一貫性を維持する

データベース設計の基本的な目的のひとつは、情報の整合性を保つことです。たとえば、同じ顧客情報を複数のテーブルに重複して保存してしまうと、修正漏れや不一致が生じるおそれがあります。こうした問題を避けるために、設計段階でデータの正規化や関連付けを行い、冗長な構造を最小限に抑えることが大切です。

整合性が保たれているデータベースは、信頼できる情報を常に取得できるという強みがあります。これにより、分析結果の精度や意思決定の確実性も高まるでしょう。データの一貫性は、システムの基盤として欠かせない要素です。

業務プロセスや分析目的に合わせた最適なデータ構造を作る

データベースは、業務の流れや目的に沿って設計されていなければなりません。販売管理システムであれば、商品・顧客・受注といった実体をどのように関連付けるかが業務効率に直結します。業務要件を的確に反映できていなければ、後からデータが使いにくくなり、修正コストも増大します。

また、近年ではBIツールやAI分析など、データ活用の幅が広がりました。そのため、単なるデータ保存だけでなく、分析・活用を見据えた構造設計も重要です。設計の段階で将来の利用目的を意識することで、データの価値を最大限に引き出すことができます。

システムのパフォーマンス・保守性・拡張性を確保する

データベース設計のもう一つの目的は、システムを安定的に運用できるようにすることです。適切にインデックスを設計したり、アクセス頻度の高いデータ構造を最適化したりすることで、検索や集計の処理速度を高められます。

さらに、将来的な機能追加やデータ量の増加にも対応できるよう、拡張性を意識した設計が欠かせません。テーブル構造や命名規則を統一しておくことで、保守や改修の負担を軽減できます。

こうした視点を踏まえて設計を行うことで、長期的に安定したシステム運用が可能になります。

データベース設計の種類

データベース設計の目的を理解したところで、次に押さえておきたいのがデータベース設計の「種類」です。データベース設計は一度で完成するものではなく、抽象的な構想から具体的な構造へと段階的に精度を高めていくプロセスです。

この流れを理解しておくことで、設計の抜けや重複を防ぎ、スムーズにシステム開発へとつなげられます。次は、データベース設計を構成する3つの工程――概念設計・論理設計・物理設計――について確認していきましょう。

概念設計:業務の実体(エンティティ)と関係性を抽象的に整理

概念設計は、業務の全体像を把握し、どのような情報をどのように管理すべきかを整理する工程です。ここでは、システムの対象となる「実体(エンティティ)」を特定し、それらがどのような関係で結び付くかを明確にします。

この段階では、まだデータベースの技術的な要素は考えません。ビジネスプロセスを俯瞰し、業務上のルールや情報の流れを図式化することが目的です。たとえば「顧客」「商品」「注文」など、現場で扱う概念を整理してER図(エンティティ・リレーションシップ図)として可視化します。

概念設計を丁寧に行うことで、関係者間で業務理解のズレをなくし、後工程での手戻りを防ぐことができます。

論理設計:概念モデルを具体的なテーブル構造に落とし込む設計

論理設計は、概念設計で作成した業務モデルをもとに、実際のデータ構造を定義する工程です。テーブルの項目(カラム)、データ型、主キー・外部キー、リレーションの設定などを決めていきます。

この段階では「正規化」という考え方が重要です。不要なデータの重複を減らし、整合性を保ちながら効率的なテーブル構造を作ることで、後のシステム運用や分析がしやすくなります。

論理設計がしっかりできていれば、業務に合ったデータの扱い方が定まり、システム全体の品質と保守性が大きく向上します。

物理設計:実際のデータベース製品(RDBMS等)に合わせて実装する設計

物理設計は、論理設計で定義した構造を実際のデータベース環境で動かすために最適化する工程です。ここでは、使用するデータベース製品(例:Oracle、MySQL、PostgreSQLなど)の特性に合わせて、データ型やインデックス、ストレージ構成を設計します。

また、アクセス頻度やデータ量、同時接続数といったパフォーマンス要件も考慮します。インデックスの設定やパーティショニング、キャッシュの活用など、実行速度と安定性を高める工夫も重要です。

物理設計は、データベースの性能・可用性・保守性を左右する最終段階です。ここでの最適化が、実運用での安定性や拡張性に直結します。

データベース設計の基本手順

データベース設計には、明確な手順があります。設計を感覚的に進めるのではなく、段階を追って整理していくことで、漏れのない堅牢な構造を作ることが可能です。

次は、データベース設計を進めるうえでの6つの基本ステップを紹介します。それぞれの段階で意識すべきポイントを押さえながら、全体像をイメージしていきましょう。

STEP1:業務要件の整理

最初のステップは、データベースを構築する目的を明確にすることです。どんな業務で使い、どのようなデータを扱うのかを整理します。ここを曖昧にしたまま設計を始めると、後で「必要なデータが入らない」「分析に使えない」といった問題が起きかねません。

この段階では、業務フローやシステム利用者の視点を意識しながら、必要な情報や出力結果を洗い出します。たとえば「受注管理システムであれば、顧客・商品・受注・在庫が必要」など、関係する情報の範囲を具体的に描き出すことが重要です。

STEP2:エンティティとリレーションシップの抽出

次に、業務で扱うデータの実体(エンティティ)を整理します。エンティティとは「顧客」「注文」「商品」のように、管理対象となるもののことです。そして、それらがどのように関係しているかをリレーションシップとして表します。

この段階では、ER図(エンティティ・リレーションシップ図)を作成します。ER図を用いることで、関係者全員がデータのつながりを直感的に理解できるようになるでしょう。業務の構造を可視化するこの作業が、後の論理設計や物理設計の土台になります。

ER図とは?基本ルールから書き方まで徹底解説!

STEP3:アトリビュート(属性)を定義し、主キー・外部キーを設定

エンティティが整理できたら、それぞれに含まれる属性(アトリビュート)を定義します。たとえば顧客エンティティであれば、「顧客ID」「氏名」「住所」「電話番号」などが属性です。

同時に、各エンティティを一意に識別する「主キー」を設定し、他のエンティティとの関連を示す「外部キー」も設けます。これにより、テーブル間の関係性が明確になり、データの整合性を保つことが可能です。主キーや外部キーの設計は、後のクエリ効率にも大きく影響します。

STEP4:正規化を行い、重複・冗長性を排除

正規化とは、データ構造を整理して重複や不整合を防ぐ設計手法です。データを複数のテーブルに分割し、それぞれが一貫した役割を持つようにします。第1正規形から第3正規形までを基本として進めるのが一般的ですが、システムやデータの性質によってはBCNF(ボイス・コッド正規形)以降を検討する場合もあります。

正規化により、データの更新や削除が容易になり、整合性を保ちやすくなるでしょう。ただし、必要以上に分割するとパフォーマンスが低下することもあるため、業務要件に合わせたバランスが大切です。

STEP5:インデックスや制約条件を設計し、性能を最適化

正しいデータ構造を作っても、性能を考慮しなければ実用的なシステムにはなりません。この段階では、検索や集計処理の効率を高めるためにインデックスを設計します。また、一意制約や参照整合性制約などを設定して、データ品質を保ちます。

どのカラムにインデックスを張るか、どの制約を設けるかは、システムの利用頻度やデータ量に応じて最適化しましょう。設計段階で性能を意識しておくことが、運用段階でのトラブル回避につながります。

STEP6:実データを想定した物理モデルに落とし込み、テスト設計へ移行

最後に、論理的に設計したモデルを実際のデータベース製品に合わせて具体化します。使用するRDBMS(例:MySQL、PostgreSQL、Oracleなど)の仕様に合わせて、データ型やストレージ構成を決定します。

実データの件数やアクセス頻度を想定し、負荷テストや性能検証を行うことも重要です。こうした実装テストを通じて、設計の妥当性を確認し、必要に応じてチューニングを行います。

これらの6つのステップを順に踏むことで、信頼性が高く、将来の拡張にも耐えられるデータベース設計を実現できます。

データベース設計の要素

データベース設計の手順を理解したところで、次に押さえておきたいのが設計を構成する基本要素です。どんなに流れを覚えても、各要素の意味を正確に理解していなければ、実務で応用することはできません。

次は、データベース設計を支える主要な5つの要素――エンティティ、アトリビュート、リレーションシップ、制約、正規化・非正規化――について見ていきましょう。

エンティティ

エンティティとは、システムや業務の中で管理する対象を指します。たとえば販売管理システムであれば、「顧客」「商品」「受注」「在庫」などがエンティティにあたります。これらは、データベース上でテーブルとして表現されるのが一般的です。

エンティティを定義する際には、「業務上、独立して管理すべき情報かどうか」を基準に判断します。複数のプロセスに関わる情報は独立したエンティティとして扱い、明確な識別子(主キー)を持たせることで、他のエンティティと関係付けることが可能です。

アトリビュート

アトリビュートとは、エンティティが持つ性質や属性情報のことです。顧客エンティティであれば、「顧客ID」「氏名」「住所」「電話番号」などがアトリビュートです。

アトリビュートを定義する際は、必要最小限の情報を整理し、データ型(文字列・数値・日付など)を適切に設定します。不要な情報を含めると管理が複雑になり、逆に不足していると業務に支障をきたします。

また、アトリビュートは将来的な変更にも対応できるように設計することが重要です。たとえば、国際化や新しい商品区分への対応など、拡張を想定した柔軟な設計が求められます。

リレーションシップ

リレーションシップは、複数のエンティティがどのように関係しているかを表すものです。典型的な関係には「1対1」「1対多」「多対多」があります。

たとえば、1人の顧客が複数の注文を行う場合、「顧客」と「注文」は1対多の関係です。一方で、「商品」と「注文」が多対多の関係になる場合は、中間テーブルを設けて関係を整理します。

リレーションシップを正しく定義することで、データのつながりを明確にし、整合性の取れた設計を実現できます。ER図を用いて視覚的に整理することも効果的です。

制約

制約とは、データの正確性と一貫性を保つために設定するルールのことです。代表的なものに「主キー」「外部キー」「一意制約」「NOT NULL制約」などがあります。

主キーは、テーブル内で各レコードを一意に識別するために設定します。外部キーは、他のテーブルの主キーを参照して関係性を保つための仕組みです。また、一意制約やNOT NULL制約を使うことで、重複や空欄を防ぎ、データ品質を維持します。

制約はデータベースの安全性を高めると同時に、システムエラーの防止にもつながります。設計段階で適切にルールを設定しておくことが、安定した運用の第一歩です。

正規化・非正規化

正規化とは、不要なデータの重複を減らし、整合性を保つためにテーブル構造を整理する手法です。第1正規形から第3正規形までを基本とし、データの一貫性とメンテナンス性を高めます。

一方で、業務やシステムによっては、あえて非正規化を行うこともあります。頻繁に参照されるテーブルを結合せずに取得できるようにするなど、処理速度を優先するケースです。

正規化と非正規化はどちらか一方が優れているというものではありません。目的に応じてバランスを取りながら、パフォーマンスと保守性を両立させることが重要です。

良いデータベース設計の条件

ここまで、データベース設計の手順や要素を見てきました。では、実際に「良い設計」とはどのような状態を指すのでしょうか。設計そのものが正しいかどうかは、見た目だけで判断できません。データの品質や運用性、拡張性など、複数の観点から評価する必要があります。

次は、長期的に安定した運用を実現するために押さえておきたい、良いデータベース設計の4つの条件について見ていきましょう。

データの整合性・正確性が維持される構造になっている

どんなに高度なシステムでも、データの信頼性が欠けていては意味がありません。良い設計では、同じ情報を複数箇所に重複して保存せず、更新や削除を行っても矛盾が生じないようにします

主キーや外部キー、参照整合性制約などを適切に設定することで、データの一貫性を維持できます。さらに、アプリケーション側の入力制御だけに頼らず、データベースレベルでも制約を設けておくことが重要です。

このように、正確で整合性のある構造は、業務全体の信頼性を支える基盤となります。

業務変更やデータ増加に柔軟に対応できる拡張性がある

業務やシステムの要件は、時間とともに変化していきます。そのため、良い設計は「将来的な変更に耐えられるか」という視点を持つことが欠かせません。

テーブル構成や命名規則を明確にしておくことで、新しい機能やデータ項目を追加しやすくなります。また、カラム数やデータ型の変更、テーブルの分割・統合などにも柔軟に対応できる設計が望ましいです。

拡張性を意識した設計は、結果的にシステム全体の寿命を延ばし、再構築のコストを抑えることにつながります。

SQLクエリや分析処理のパフォーマンスが最適化されている

設計の段階で性能を考慮しておくことも重要です。データ量が増えると、クエリの実行速度や集計処理の効率が課題になります。良い設計では、インデックスの設定やテーブル分割、キャッシュ活用などを適切に組み合わせ、処理速度を最適化します。

また、頻繁に参照されるテーブルや結合が多いクエリに対しては、必要に応じて非正規化を検討することも有効です。ただし、非正規化は整合性維持の仕組みを複雑にする場合もあるため、運用負荷とのバランスを見極めることが重要です。性能チューニングを運用段階で行うより、設計段階で考慮しておく方が負担が少なく、効果も大きいでしょう。

こうした最適化の工夫が、利用者の満足度と業務効率の両方を高めます。

関係者が理解しやすい構造・命名規則で設計されている

もう一つ見落とされがちなのが「わかりやすさ」です。どんなに性能が高くても、構造が複雑すぎたり命名が一貫していなかったりすると、保守や運用で混乱が生じます。

良い設計では、テーブル名やカラム名に業務上の意味を反映し、関係者が直感的に理解できるようにします。また、ER図や設計書を整備しておくことで、開発者や運用担当者が同じ認識を持って作業することが可能です。

「誰が見てもわかる設計」を意識することが、チーム開発や長期運用において最も重要なポイントのひとつです。

データベース設計における注意点

良いデータベース設計の条件を理解したうえで、もうひとつ意識しておきたいのが「設計時に陥りやすい落とし穴」です。設計工程では、技術的な判断だけでなく、業務理解やチーム体制、運用計画といった多面的な要素を考慮する必要があります。

ここでは、特に注意すべき4つのポイントを取り上げ、それぞれの背景と対策を解説します。次は、設計段階で避けるべき代表的なミスを見ていきましょう。

業務要件を正確に把握せずにテーブル設計を始めない

最も多い失敗のひとつが、業務要件を十分に理解しないままテーブル設計に入ってしまうことです。業務の流れやデータの利用目的を明確にせずに構造を決めてしまうと、実際の運用で「必要なデータが取得できない」「使い勝手が悪い」といった問題が生じます。

設計前には、関係者とのヒアリングや既存システムの分析を丁寧に行いましょう。特に、更新や削除など日常運用でのデータ変化のパターンを理解しておくことが重要です。業務を正確にモデル化できてこそ、実用的で長く使えるデータベース設計が完成します。

正規化しすぎてパフォーマンスが低下しないようバランスを取る

正規化はデータの整合性を高める有効な手法ですが、過度に適用すると処理速度が低下することがあります。テーブルが細かく分かれすぎると、検索や集計で複数のテーブルを結合する必要が生じ、結果としてレスポンスが悪化するのです。

このため、業務で頻繁に参照されるデータは、あえて非正規化しておくことも選択肢のひとつです。特にレポートや分析系システムでは、参照性能を優先するケースが多く見られます。正規化と非正規化のバランスを取る判断力が、設計者の腕の見せどころです。

命名規則や設計書フォーマットを統一してチームで共有する

チーム開発においては、命名規則や設計書の書式を統一しておくことが欠かせません。個々の設計者が独自のルールで進めてしまうと、後から保守する際に混乱が生じやすくなります。

テーブル名やカラム名は、誰が見ても意味がわかるように業務用語をベースにするのが理想です。また、ER図や定義書を共通フォーマットでまとめ、レビューや引き継ぎがしやすい状態を維持しましょう。設計書を「ドキュメントではなく、チームの共通言語」として扱う意識が大切です。

セキュリティ・バックアップ・リカバリなど運用要件を考慮する

データベース設計は、構築して終わりではありません。実際の運用を見据えて、セキュリティやバックアップ、障害発生時のリカバリ計画までを考慮しておく必要があります。

たとえば、アクセス権限の設計を誤ると、不正閲覧や誤更新につながります。定期的なバックアップの仕組みを設計段階から組み込み、バックアップの保存先や保持期間、復旧手順も明確にしておくことが理想です。万が一の障害時にも迅速にデータを復旧できるように備えることで、被害を最小限に抑えられます。

こうした運用面まで踏まえて設計を行うことで、システム全体の信頼性と安全性を高められます。

データベース設計でよく使われるツール

ここまで、データベース設計を進めるうえで意識すべきポイントを整理してきました。実際の設計業務では、手作業だけで構造をまとめるのは非効率であり、専用のツールを活用することで品質とスピードの両立が可能です。

ツールをうまく使えば、設計の可視化・自動化・共有が容易になり、チーム全体で一貫性のある設計を維持できます。次は、設計プロセスで役立つ主要なツール群を紹介します。それぞれのツールがどのような場面で使われるのかを見ていきましょう。

ER図作成ツール

ER図作成ツールは、エンティティやリレーションシップを視覚的に整理するための基本的なツールです。設計段階で業務構造を整理したり、関係者とデータ構造を共有したりする際に便利です。

ERwinやAstahのような専用ツールは、高機能で設計の整合性チェックやDDL(データ定義言語)の出力にも対応しています。一方、draw.ioやLucidchartなどのクラウドツールは操作が直感的で、共同編集にも強みがあります。

チーム規模や開発環境に合わせて、コストと機能のバランスを見ながら選定することが重要です。

DDL生成・スキーマ管理ツール

DDL生成ツールは、論理設計を実際のデータベースに反映させる際に活用されます。SQL DeveloperやDBeaverは、ER図やスキーマ定義から自動的にDDLを生成でき、テーブル作成や制約設定の手間を大幅に削減します。

また、既存のデータベース構造を逆解析してスキーマを可視化できる点も強みです。これにより、改修時や既存システムのリプレースにおいて、現在の構造を正確に把握したうえで設計変更を行うことが可能になります。

こうしたツールを取り入れることで、設計と実装の整合性を確保しやすくなります。

クラウド対応ツール

クラウド環境の利用が一般化するなかで、クラウド対応のデータベース設計ツールも注目を集めています。AWS Glue Data CatalogやSnowflakeのスキーマ設計機能(例:Object Dependenciesビューやデータモデリング機能など)は、クラウド上のデータ資産を一元管理し、スキーマやメタデータの整備を支援します。

オンプレミスとクラウドの両方でデータを扱うハイブリッド構成でも、これらのツールを活用すればスムーズに設計を統合可能です。また、スケーラビリティや自動バックアップなど、クラウド特有の利点を活かした設計もできます。

クラウド移行を前提とする企業にとって、これらのツールは設計段階からの必須選択肢となりつつあります。

バージョン管理やドキュメント化にGitやNotionを活用するケースも増加

近年では、設計書やER図を単なるドキュメントとして保管するのではなく、継続的に更新・共有する運用スタイルが主流になっています。その中心となるのが、GitやNotionといったツールです。

Gitを使えば、DDLファイルやスキーマ定義の変更履歴を管理でき、誰がいつどのような修正を行ったかを明確にできます。一方でNotionは、設計書やレビューコメントをチーム全体で共有しやすく、ナレッジ管理にも適しています。

このように、従来の設計ツールに加えてドキュメント管理ツールを組み合わせることで、データベース設計の透明性と再現性を高められます。

データベース設計を成功させるポイント

ここまで、データベース設計を支えるツールや注意点を見てきました。ツールを使いこなし、設計ルールを守ることはもちろん大切ですが、それだけで良い設計ができるとは限りません。最終的に重要なのは、設計を「活かせる」形に仕上げることです。

次は、設計を成功に導くための4つのポイントを紹介します。実務で成果を出すために、どのような考え方や姿勢が求められるのかを見ていきましょう。

技術視点だけでなく、業務フローとデータの意味を理解する

データベース設計を技術的な作業と捉える人もいますが、実際には業務理解が設計品質を左右します。業務フローやデータの流れを把握せずに構造を決めてしまうと、現場で使いづらい仕組みになりがちです。

たとえば、販売管理システムで「受注」「出荷」「請求」の関係を正しく整理できなければ、データの整合性を保つのが難しくなります。現場担当者へのヒアリングや既存データの分析を通して、「どの情報が、誰によって、いつ利用されるのか」を明確にすることが重要です。

技術的な知識と業務理解の両面から設計を行うことで、現場で本当に役立つデータベースを構築できます。

将来的なAI・BI活用を見据えた拡張設計を意識する

データベースは、単なる情報の保存場所ではありません。近年ではAIやBIツールとの連携を前提にしたデータ活用が進んでおり、設計段階から分析用途を見据えておくことが欠かせません。

たとえば、ログデータや履歴情報を適切に保持しておくと、後のデータ分析や予測モデル構築に活かせます。なお、個人情報や機微情報の取り扱いは法令・社内規程に従い、保持期間や匿名化方針も設計段階で明確にしておきましょう。また、メタデータ(データの意味や定義)を整理しておくことで、分析基盤への移行もスムーズになります。

このように、将来的な拡張性と分析視点を取り入れることで、データベースを「活用できる資産」として成長させられます。

設計書やER図を「開発者だけでなく関係者全員が読める」形にする

良い設計は、開発者だけが理解しているものではなく、チーム全体で共有・運用できる状態であることが理想です。設計書やER図が専門用語だらけで読みづらいと、運用担当者やビジネスサイドのメンバーが理解できず、コミュニケーションロスが生じます。

誰が見てもわかるように、業務名や日本語コメントを明記し、論理名・物理名を併記するなどの工夫を行いましょう。また、図や説明資料を用いて、関係者間で設計意図を共有することも大切です。

設計情報を適切なアクセス制御のもとでチーム全体に共有することで、開発後のトラブルを防ぎ、組織全体でデータ品質を維持できるようになります。

レビュー・改善を繰り返しながらデータ品質を高めていく

データベース設計は一度作って終わりではなく、運用を通じて継続的に改善していくプロセスです。実際の運用で得られた課題や不具合を定期的にレビューし、スキーマや制約の見直しを行うことで、データ品質を徐々に高めていきます。

レビューでは、第三者の視点を取り入れることも効果的です。開発者以外のメンバーがチェックすることで、設計意図の抜け漏れや命名の不統一などを早期に発見できます。

継続的な改善を前提に設計運用を行うことで、システムの寿命を延ばし、ビジネスの変化に柔軟に対応できる強いデータ基盤を築けるでしょう。

まとめ:正しい設計を身につけ、現場で活かすために

データベース設計は、単なる技術作業ではなく、業務理解と構造設計を結びつける「システムの土台づくり」です。正しい設計を身につけることで、データの整合性を保ち、将来的な拡張や分析、システム間連携にも対応できる柔軟な仕組みを作れます。

設計の流れや要素を理解したうえで、業務の実態を丁寧に整理し、ER図や正規化といった基本を確実に押さえることが大切です。さらに、ツールの活用やチームでの共有・レビューを通して、品質を高めていく姿勢が求められます。

まずは小さなプロジェクトや既存システムの改善から取り組んでみましょう。経験を重ねることで「データの意味を設計に落とし込む力」が身につき、現場で信頼されるデータベース設計者として成長していけるはずです。

「これからデータベース設計を始めたいけれど、進め方に悩む」「データ分析の専門家の知見を取り入れたい」という方は、データベース設計の実績豊富な弊社、データビズラボにお気軽にご相談ください。

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