古典
今回は、嫉妬にかられて罵詈雑言を叩きつけるように詠んだ長歌と、ふと我に返って冷静になったらしい反歌について。 さし焼かむ 小屋の醜屋に かき棄てむ 破薦を敷きて うち折らむ 醜の醜手を さし交へて 寝らむ君ゆゑ あかねさす 昼はしみらに ぬばたまの …
大伴坂上郎女、親族と宴せる歌一首 斯くしつつ遊び飲みこそ草木すら春はもえつつ秋は散りゆく (かくしつつ あそびのみこそ くさきすら はるはもえつつ あきはちりゆく) 万葉集 巻6 995 【普通の意訳】 こんなふうに、飲んで遊びましょうよ。草木だって、春に…
高市皇子 やまぶきの立ちよそひたる山清水汲みに行かめど道の知らなく 万葉集 巻1 158 【語釈】 やまぶき……バラ科の落葉低木。春に黄色い花を咲かせる。 よそひ……装う。飾り整える。 山の中で湧き出る、清らかで冷たい水。 【普通の意訳】 山吹の花に美しく…
ひさびさに、和歌鑑賞をした。 寛平御時きさいの宮の歌合の歌 紀貫之 夏の夜の臥すかとすれば郭公鳴く一こゑに明くるしののめ (なつのよの ふすかとすれば ほととぎす なくひとこえに あくるしののめ) 古今和歌集 夏 156 【語釈】 寛平…889年〜898年の年号…
先日の都良香の歌の記事に、英訳を入れるのを忘れていた。 (´・ω・`) No. 466 Okibi (burning fire) oki (offing) hi (dry) Whence do tears come ? Will their source be known when they are dry? Miyakono Yoshika 「THE KOKIN WAKA-SHU 英訳古今和歌集」 …
おき火 都良香 流れ出づる方だに見えぬ涙川おきひむ時やそこは知られむ (ながれいずる かただにみえぬ なみだがわ おきひむときや そこはしられむ) 古今和歌集 巻十 物名 466 【語釈】 涙川…涙が流れるのを川にたとえていう語。 ひる(干る)…乾く。干上がっ…
こんにちは。 X(旧Twitter)をつらつらと眺めていたら、触ると危険な植物と言われているナガミヒナゲシのそばに、育てると捕まるアツミゲシ(麻薬の材料)が生えている場合が結構あるらしいことに気がついた。 アツミゲシを見つけて通報したというXユーザー…
三月(やよひ)ばかりに物のたうびける人のもとに、又人まかりて消息すと聞きて、よみてつかはしける 紀貫之 露ならぬ心を花におきそめて風吹くごとに物思ひぞつく 古今和歌集 巻第十二 恋二 589 【語釈】 のたうび…「言ふ」の尊敬語「宣(のたう)ぶ」の連…
「枕草子」第三段は、正月一日の光景、七日の若菜摘みに続いて、同じ七日に宮中で行われる「白馬の節会」について、語られる。 白馬(あをうま)見にとて、里人(さとびと)は車きよげにしたてて見に行く。 中御門のとじきみ引き過ぐるほど、頭一所にゆるぎ…
今年は枕草子を読了しようという目標を立てて、じりじりと読み進めているのだけど、このペースではどう考えても年内読了は不可能だし、もう一つの目標である和歌集の読解になかなか手をつけられないので、いっそのこと、 両方を関連づけながら、まとめてやろ…
「枕草子」の第三段は、一月、三月、四月の出来事について、生き生きとした描写で語られている(二月は抜けている)。 今日読むのは、第三段冒頭の、一日について書かれている部分。短いけれど、解釈の難しい部分がある。 正月一日は、まいて空のけしきもう…
AIのCopilotさんに、「枕草子執筆中の清少納言の絵を描いて」とお願いしたら、四枚書いてくれた。そのうちの一枚が、上の絵。 分厚いお布団が暖かそうだけど、室内に貼り付けてある謎の張り紙などのせいで、呪詛でもしているように見える。 それはともかく、…
「平安朝の母と子」(服藤早苗著 中公新書)を半分ほどまで読んだ。 平安朝の母と子 (中公新書 1003) 作者:服藤 早苗 中央公論新社 Amazon 作者の服藤早苗氏は文学者ではなく、歴史学者であって、本書では、平安時代の文学作品や日記などを資料として、当時…
ここのブログの昨日のアクセス数が、おかしなことになっている。 今年の抱負と読書記録を書いただけで、いきなり2000超って何??? 理由が分からなくて怖すぎる。 ほとんど人が来ないことに甘えて、細かいことを気にせずに好き勝手書いているのに。 いまま…
(この画像は、一応、慈円の和歌を元に作ったAIイラストですが、もはやツッコむ言葉もありません…) 今日は、慈円のほととぎすの歌について。 正治百首歌奉りける時 前大僧正慈鎮 五月雨の雲間の軒のほととぎす雨にかはりて声の落ちくる (さみだれの くもま…
「古今和歌集」の巻第十二、恋歌二は、有名な夢オチの歌から始まる。 題しらず 小野小町 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを 古今和歌集 552 彼のことを思っていたから、夢で会えたのだろうかと、小野小町は考えたらしい。 「夢と知…
(↑日本にこんな滝はないというツッコミは、AIイラストアプリ「Designer」にお願いします) 滝間月 やはらぐる光そふらし滝の糸のよるとも見えずやどる月影 (やわらぐる ひかりそうらし たきのいとの よるともみえず やどるつきかげ) 拾遺愚草 藤原定家 【…
こんにちは。 ぬい活を楽しみつつ、好きな古典文学を読み味わい、雅楽に親しむ日々が続いている… などと書くと、なんとも優雅な老後の暮らしという感じだけれど、私のやることだから、優雅になどなるはずもない。 老眼で霞む視界に苛立ちながら目を皿のよう…
今回は、「更科日記」で詠まれている、萩の葉と笛の音の歌について。 作者の菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)は、菅原道真から五代後の子孫だという。 上総介(かずさのすけ)だった父と義母と姉とともに赴任地(いまの千葉県)に下って暮らしてい…
よみびとしらず 風のおとの限りと秋やせめつらむ吹きくるごとに声のわびしき (かぜのおとの かぎりとあきや せめつらむ ふきくるごとに こえのわびしき) 後撰和歌集 巻第七 秋下 421 【語釈】 かぎり…時間的な限界。最後。臨終。 せむ…責める。せきたてる…
今回は、額田王と鏡王女(かがみのおおきみ)の歌。 額田王は、天武天皇の妃だけれど、天武の兄の天智天皇とも恋愛関係にあったらしいと言われている。 鏡王女は、天智天皇の妃だったけれど、後に藤原鎌足の正妻になった女性。 額田王の父親が鏡王であるため…
今回は、古今和歌集のよみびとしらずの歌。 忘られむ時偲べとぞ浜千鳥ゆくへも知らぬ跡をとどむる (わすられむ ときしのべとぞ はまちどり ゆくへもしらぬ あとをとどむる) 古今和歌集 巻第十八 雑下 996 【普通の意訳】 どこへ飛び去っていくのか分からな…
今回は、有名だけれど謎の多い歌人、額田王の、どうもよく分からない長歌について。 春山と秋山の優劣というか、勝敗が、不思議な理由で決定されている。 天皇、内大臣藤原朝臣に詔して、春山の万花の艶、秋山の千葉の彩を競はしめたまひし時、額田王、歌以…
百首歌に 式子内親王 はかなくて過ぎにしかたを数ふれば花に物思ふ春ぞ経にける (はかなくて すぎにしかたを かぞうれば はなにものおもう はるぞへにける) 「新古今和歌集」 巻第二 春下 101 【語釈】 はかなし…あっけない。なんということもない。たより…
百首歌奉りし時、秋歌 式子内親王 桐の葉もふみ分けがたくなりにけり必ず人を待つとなけれど (きりのはも ふみわけがたく なりにけり かならずひとを まつとなけれど) 新古今和歌集 巻第五 秋下 534 式子内親王は、1200年に後鳥羽院に依頼されて、歌を百首…
神田外語大版の英訳萬葉集に続いて、本多平八郎訳の万葉集も、ヤフオクで無事入手できた。 さっそく、読み比べて遊んでいる。 ひさかたの雨も降らぬか雨づつみ君に副ひてこの日暮らさむ (万葉集 520) まず、神田外語大版。 May rain come falling From the…
前回の、雨嫌いの恋人を待つ大伴女郎の歌に共感したらしい別人が、連作のような内容の歌を詠んでいる。 後の人の追同せし歌一首 ひさかたの雨も降らぬか雨づつみ君に副ひてこの日暮らさむ (ひさかたの あめもふらぬか あまづつみ きみにたぐいて このひくら…
大伴女郎の歌一首 (今城王の母なり。今城王は後に大原真人の氏を賜はりしなり) 雨づつみ常する君はひさかたの昨夜の雨に懲りにけるかも (あまづつみ つねするきみは ひさかたの きぞのよのあめに こりにけるかも) 万葉集 巻四 519 【語釈】 あまづつみ(…
今回は、失った恋を思いながら晩秋を過ごす歌。 (上の絵はAIのCopilotさんとの合作です) 千五百番歌合に 右衛門督通具 言の葉のうつりし秋も過ぎぬれば我が身時雨とふる涙かな 新古今和歌集 巻第十四 恋四 1319 (「新訳 新古今和歌集」水垣久 訳注 やまと…
葛城の和歌と聞いて私が思い出すのは、大来皇女が、弟である大津皇子の刑死を傷んで詠んだ歌だ。 恋愛感情ではないけれど、一方通行の思慕を葛城連峰の山に向けているという点では、前回の「高間の山の峰の白雲」(新古今集、990)の歌と共通している。 大津…