まただ。 また、俺は会社の、色褪せたモニターを前に、魂の抜けた顔で座っている。 隣の席の“勝ち組”は、ボーナスで買ったであろう高級モニターで、鮮やかな世界を見ている。俺の画面に映るのは、洗いすぎて色落ちしたTシャツのような、ぼやけた現実だけだ。 家に帰って、ゲームの世界に逃げ込もうにも、状況は変わらない。古いモニターでは、クリエイターが心血を注いで作り上げた美しい世界は、ただの“データ”にしか見えない。FPSを起動すれば、敵の姿は闇に溶けて消える。 「美しい世界に浸りたい」「残像のない世界で、敵を殲滅したい」 その、あまりに当たり前で、しかし両立の難しい願い。どちらかを選べば、どちらかを諦めな…