茨城県出身。1966年生まれ。 お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。 1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』で作家デビュー。以降、音楽や舞踏などの芸術をテーマに、中世・近代西欧の史実に現代の科学技術を大胆に外挿した歴史改変小説『カント・アンジェリコ』『ヴァスラフ』などで高い評価を得ている。他の作品に、『架空の王国』『ウィーン薔薇の騎士物語』など。 夫はロシア映画研究者の井上徹。
整体院の受付で働く中年女性、祝子(のりこ) 彼女は人のオーラが視えるのだが、鬱陶しく思っている。 夫とは険悪となり、夫に他の女性がいることも分かっている。 離婚に踏み切るか否か、と模索していることも鬱陶しい。 愚痴る相手は親友の麻美。小学校時代からの付き合いだ。 新宿・歌舞伎町でスナックのママをしている。 そんな毎日の中、整体院に新たな男性が入ってきた。 月島優。若い男性。物腰も柔らかい。好かれる人物だ。 整体の技術なのか?優の傾聴力のためか? 患者からの人気があがり、優目当ての患者が増えてくる。 そうなると嫉妬の視線が痛々しくなる。 祝子は、そんな整体院、そして優が心配になる。 また整体院の…
高野史緒『アンスピリチュアル』早川書房を読了。 巣鴨の治療院で受付のパートをしている祝子。ごくごく平凡な主婦なのだけれど、実は彼女には人のオーラが視えるという能力があった。しかし、オーラが視えたところで、なんの得にもならないと、祝子はその能力をスルーしていた。 ある日、祝子の働く治療院に月島優という若い理学療法士がやってくる。その若者を見た祝子は思わず息をのむ。なぜなら、彼のオーラがまったく視えなかったのだから。 優は不思議な能力を持っていた。とりたてて特殊な治療を施している風でもないのに、彼に担当してもらった患者はことごとく彼のファンになってしまうのだ。それゆえに治療院の中で疎まれ、歌舞伎町…
2007年に鎌倉の公園で。十六年経って、例えばここに写っている子供が当時4歳だったとするといまは二十歳になりました。その間、わたしはほぼ毎日写真を撮り続けていて、撮る写真は何年経っても変わり映えしない。やれやれ、という感じがしますね。 先日、武蔵野美術大学まで片道二時間以上をかけて電車で移動しているときの往路に、電車内で読書をしよう!と意識的でいたのにもかかわらずバッグの中を探ったら本が入っていないではないですか。そんなことはないだろう、あれだけ、電車で本を読んでいこうと思ったのに・・・二度三度と探したけれど、本は入っていなかった。事実、夕方に帰宅したら、本は自室のベッドの上に置きっぱなしにな…
高野史緒『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』ハヤカワ文庫JAを読了。 月と火星に人類が進出しながらも、スマホはなく、インターネットは実用化されたばかりという世界に生きる夏紀。スマホも量子コンピュータもあるが、人類はいまだ月面にも火星にも進出していない世界に生きる登志夫。異なる世界に生きる二人だが、その二人には幼い頃に土浦の亀城公園にある小さな丘の上で、頭上を飛ぶ飛行船、グラーフ・ツェッペリンを見たという記憶があった。グラーフ・ツェッペリンが土浦に来たのは1929年。ふたりが生まれるよりもずっと前のはずなのに。しかも、夏紀の生きる世界ではグラーフ・ツェッペリンは土浦に来た際に爆発炎上を起こ…
高野史緒氏のまぜるな危険を読んだ。本書は短編集で、「アントンと清姫」、「百万本の薔薇」、「小ねずみと童貞と復活した女」、「プシホロギーチェスキー・テスト」、「桜の園のリディヤ」、「ドグラートフ・マグラノフスキー」の6編が収録されている。本書のタイトルが表しているように、ある物語と別の物語を融合したらどうなるのかという実験的な小説が収録されている。ミステリー的な展開をする小説もあるが、純粋なミステリーではなく、オチはSF的になっている。が、科学的な知識が必要なわけではなく、なんとなく不思議な感じで終わっているものが多い。混ぜている物のうちの一つがロシアに由来しているのは著者がロシアに傾倒している…
まぜるな危険 作者:高野 史緒 早川書房 Amazon 『まぜるな危険』高野史緒著を読む。 作者の『カラマーゾフの妹』は、ドストエフスキーの未完に終わった小説『カラマーゾフの兄弟』の勝手に続編。奇抜な発想に感心したが、長篇に仕立てあげた作者の筆力にも感心した。 この本は同じ手法で書かれた短篇集。「ロシア文学+SFのリミックス」と表記されていて、各篇の巻頭に作者がネタ元をバラしている。 リミックス、パロディ、パスティーシュ、マッシュアップ、類語はいろいろあるが、そこになぜかお笑いのトム・ブラウンの合体ネタも浮かび上がって来た。要は面白いか、楽しめるか。で、ぼく的には堪能できた。以下、各篇を手短に…
大天使はミモザの香り 作者:高野 史緒 発売日: 2019/11/20 メディア: 単行本 時価2億円のヴァイオリンミモザがレセプション会場の控室から消えた。 アマチュアオーケストラの第2ヴァイオリンアラフォー地味美人とクラッシック知らずの無自覚な天才高校生。 二人のやり取りとミモザの持ち主公国の殿下ほか怪しいんだか善人なんだかよくわからない登場人物たち。 ぽんぽんとお話は進んで敵と見方が入り混じって誰もが結構たぬき。
高野史緒著『カラマーゾフの妹』講談社 いわずもがなタイトル買いである。 トンデモ本かと思いきや、乱歩賞のお墨付きではないか。 いわずと知れた世界的名著『カラマーゾフの兄弟』。作者のドストエフスキーにはその続編第二部の構想があったというのは、亀山郁夫の本で知った。 有名な話なのかもしれない。 本書はその前作の作者の意志を継いで書かれた続編という体裁である。 設定は、あの事件から十三年後。 であるからして本作でのドストエフスキーはこの物語の『前任者』という扱いをされている。 よって原作を読んでいない人は、手を伸ばさないのが無難でしょう。 なんせ話は前作で描かれた事件の真犯人探しだもので。 事件は第…