朝の空は、驚くほど澄んでいた。 雲ひとつない青の奥を、白い線を引きながら飛行機が進んでいく。 どこへ行くのかは知らない。 ただ、遠くへ向かっていることだけは分かる。 私は電柱の影に座り、その様子を眺めていた。 吐く息は白いが、風は昨日よりやわらかい。 年が変わると、人間だけでなく空気も少し気を遣うらしい。 人間たちは、新しい年になると空をよく見る。 初日の出だ、初詣だと、普段は気にも留めない上の方を見上げる。 そのたびに私は思う。 毎日ここにあるのに、と。 散歩中の子どもが、私に気づいて立ち止まった。 手袋の指先は少し毛玉だらけで、息を吸うたびに鼻が赤くなる。 「ひこうき、どこいくのかな」 答…