・霧訪山 長野県塩尻市1306m 自分が住む海抜九百メートルの高原台地は時として霧に包まれる。それは駆け足で空間を蹂躙するような大きな塊でやってくることもあれば、いつの間にか忍び足で風景に浸潤していることもある。こいつらの正体は何だ?と捕まえようとも思うけれど叶わない。 そんな霧の中を動く方法はただ一つだ。「泳ぐ」のだった。初めて霧の中を泳いだのは何処だっただろう。大菩薩嶺から南下した小金沢連嶺だったと思う。そこは笹の深い尾根道で、笹を分けて先に向かうのだ。少し進むと切り開きがあった。水が得られないだろうと4リットル近く持っていたのでザックをおろしてヤレヤレだった。 湯を沸かして米を炊いた。大…