このストーリーで軸となるのは葛木邦彦。警視庁捜査一課の殺人犯捜査係主任となるまで、花形部署の第一線をつっぱしってきた。だが、2年前に妻がくも膜下出血でこの世を去った。それを契機に、所轄の刑事課へ異動を願い出て、江東区東部を管轄する城東警察署の刑事・組織犯罪対策課の係長となった。 葛木には俊史という既婚の一人息子がいる。俊史はキャリアであり、今年の四月に人事異動で警視庁捜査一課の管理官に着任していた。一方、葛木はノンキャリアのたたき上げである。 俊史は父親に言う。「親父は子供のころからおれの心のヒーローだったんだから。警視庁捜査一課の刑事なんてみんなテレビドラマでしか知らないけど、おれの場合は自…