羅生門・鼻作者:芥川 龍之介新潮社Amazon 作品概要・所感 物悲しい話だ。哀れな男が抱くささやかな望み――一度でいいから飽きるほど芋粥を飲んでみたい――が、いともたやすく、かつ、そんなものを希少がるのは馬鹿げていると言わんばかりの形で実現されてしまう。弱い者が自分の世界を大事にしようとしてもそれが叶わない、という悲哀を描いた一編だということになるだろう。 主人公の五位は、ひたすらに情けなくみっともない男、どこまでも受動的で主体性にまったく欠ける人物として描かれている。彼が唯一希望らしきものを持てるのは、ただ芋粥を夢見ているそのときだけなのだ。あるとき、高位の貴族である藤原利仁が、ふとしたこ…