木下尚江の小説『良人の自白』読了。 二人の対照的な人物、俊三と與三郎。幼馴染でありながら、前者はエリートのインテリで地主の跡継ぎ、後者はその地主の苛斂誅求に苦しむ小作人であり、地主とその後継者への敵意と復讐心を隠そうともしない。俊三自身が幼馴染の窮境に心を痛め、手を差し伸べようとしても、激しく撥ねつける。 地主制度に反抗する與三郎とは別の意味で、俊三もまた反抗的人間である。成績優秀で、卒業式では天皇から時計を下賜されるはずだったのに、すっぽかして帰ってきてしまう。母の一周忌の法事もすっぽかして、金を払って貰う戒名など無意味だとうそぶく。 大学を卒業して弁護士になっても、それが自分にふさわしい仕…