四日 夜や明なん、とりの鳴づるころ雨のいたくふれり。きのふ聞しなる神は、かゝる雨もよにてなど、相やどりのたび人の語れば、やのあるじも寝ざめして、はたけのくさ/″\に又なきくすりの雨や、ありがたのなもあみだぶととなへ、あくびうちせり。はや女の起出て、麻機をる音のしたり。 「かけて織る賤が麻はたあましやまとをにだにも君が来まさぬ」 とずんじて、この宿をたちて黄金橋(コガネバシ)をうちわたる。むかし長者どのといふがありて、こがねあまたもてかけたりしかば、しか名におへり。その末いまもありとか。三戸を放れて浅水(三戸郡五戸町)のうまやあり。遠きむかしは家二三ありて、よべ宿しつる旅人を、うむすといひ人しら…