現在50歳未満の人について言うと,「種痘(しゅとう)」の経験のない人がほとんどだろう。 種痘は天然痘という病気の予防接種である。日本でもかつてはこのワクチン接種が小学生の全員に施されていたが,1976(昭和51)年を境に接種は廃止された。1980(昭和55)年にWHO(世界保健機関)が天然痘の根絶を宣言したことで,世界の多くの国々で種痘は終了となったのである。 ワクチン接種というと,インフルエンザのような皮下注射を思い浮かべるのが普通だ。ところが種痘は話が違う。種痘は注射ではなく,特殊な方法を使って行われるのである。また注射だと赤く腫れたりすることはあっても,ふつう時間がたてばそれは消えてゆく…