今日は十月二十九日。秋真っ盛り。どこか肌寒さが身にしみる朝だ。 上着を羽織り、庭に出てみる。ふと視線の先に、小さな百日紅(さるすべり)が立っていることに気づいた。 ◆ 夏の白い花のこと 夏には、薄紙のような白い花をたくさん咲かせていた。陽射しを受けて透けるようなその花を、蝉時雨に負けないくらい、誇らしげに揺らしていた。 「今年も咲いてくれた」と、見上げるたびに夏を実感させてくれた存在だ。 ◆ いま目に映るのは… けれど今朝の姿は、すっかり趣が違う。 緑色のパチンコ玉ほどの実が、枝いっぱいにたわわにぶら下がっているのだ。 あれほど華やいだ花をつけていた百日紅が、いつの間にか秋の顔に変わっている。…