2022年に刊行されたミルチャ・カルタレスクの長編小説『Theodoros』(テオドロス)は、一人の男の生涯を軸に、歴史と神話、現実と幻想を往復する圧倒的なスケールで描かれた作品である。本作は全33章から成り、約3,000年に及ぶ時間軸を貫きながら、伝説・歴史・哲学を重層的に編み上げていく。 物語の中心にいる主人公は、三つの名前と三つの生を生きる存在である。19世紀初頭の「神話的なワラキア」に生まれたトゥドール、エーゲ海に現れる海賊テオドロス、そしてアフリカで皇帝となるテウォドロス二世。著者は、これら三人が実は同一人物であったという大胆な仮説の上に物語を展開する。 最初の生であるトゥドールは、…