前編では紀伊國屋の成功と地方書店のジレンマについて触れた。後編では、さらに踏み込んで、この業界が抱える「流通と構造」の闇、そして未来への展望を論じたい。 3. 「返品率50%」という異常なサプライチェーン 書店業界が抱える最大の癌は、異常に高い「返品率」だ。製造業として見れば、作った製品の半分近くが一度も使われずに捨てられる(断裁される)など、狂気の沙汰である。 データはあるが、意志がない不条理 POSデータで「何が売れているか」は可視化されている。しかし、取次主導の「パターン配本(過去実績に基づき勝手に送り込まれる仕組み)」という昭和の慣習が、それを殺している。取次側には数千の個店を分析する…