江戸の侍・村尾正靖(1760‐1841、号は嘉陵)の江戸近郊日帰り旅の記録『江戸近郊道しるべ』のルートを辿るシリーズ。今回は埼玉県和光市の吹上観音である。嘉陵が出かけたのは文化十三年閏八月二十日。現代の暦では1816年10月11日のこと。嘉陵はこの時、数えの五十七歳である。当時、嘉陵は浜町の家に住んでいた。 「吹上観音(埼玉県和光市白子三丁目)へ詣でようと、五つ(午前八時)の鐘の鳴るのを聞いて家を出、本郷通りから壱岐坂を下り、富坂を登り、伝通院前から三百坂を通り、松平播磨守殿屋敷脇から西に少し曲がって大塚通りに出る」(現代語訳:阿部孝嗣) 埼玉県和光市までかなりの長丁場になりそうなので、どこか…