石舞台古墳のすぐ隣に「明日香夢の旬菜館」という建物がある。観光客がぽつぽつと姿を見せ、地元の野菜や加工品を手に取っては、どこか楽しげに立ち去っていく。その一角に、ひっそりと、しかし凛とした佇まいで「ポカフレール」は店を構えている。 扉を開くと、外から差し込む陽が木の柱に反射して、店内に淡い光の帯をつくっていた。 高い天井から吊るされた白い照明は、山里の朝の光を集めたように、柔らかく空間を温めている。梁は太く、ほのかな木の香りが残っている。ああ、これは料理の香りよりも先に、建物そのものが迎えてくれる店だな、と思う。 シェフの中北毅さんが店を開いたのは2007年、橿原だった。2015年に明日香村へ…