映画『国宝』を観た人の多くが口にする言葉に、「作品全体に漂う圧倒的な空気感が忘れられない」というものがある。 これは決して脚本や演出の力だけではない。撮影現場として選ばれた歴史的建造物が放つ「アトモスフェア(雰囲気)」が、俳優たちの演技、ひいては作品そのものを大きく底上げしていたのである。 ・歴史的建造物が持つ「空気の力」 『国宝』では、数々の歴史的建造物が撮影に使用された。 昭和初期に建てられた「びわ湖大津館」は、劇中で歌舞伎劇場「日乃本座」として登場し、その壮麗な外観や内部が作品世界に重厚さを与えた。 <びわ湖大津館> また、1901年に開館した近畿最古の芝居小屋「出石永楽館」(兵庫県)で…