宇野浩二の随筆『質屋の小僧』に見る文学への情熱と人間観察の妙 芥川賞の選考委員として知られる宇野浩二。彼の随筆『質屋の小僧』には、貧しい文学青年だった自身の経験と、質屋で働く若者の文学への憧れが、温かくもユーモラスに描かれています。この作品から、宇野の鋭い人間観察と、文学への真摯な姿勢が浮かび上がってきます。 宇野浩二という作家の横顔 宇野浩二(1891-1961年)は、明治から昭和にかけて活躍した小説家です。福岡市に生まれ、早稲田大学英文科を中退後、『蔵の中』や『苦の世界』といった作品で文壇に名を馳せました。 彼の作品の最大の特徴は、独特の「説語体」と呼ばれる文体にあります。まるで語り手が読…