天保2年。天保2卯4月23日暁寅中刻(午前4時)頃、濃州笠松あたりで少し強い雨が降ると、急に同所から西の方にかけてどうどうとうなり声が聞こえ、人家は大地震のように揺れ、雷鳴はしないがただ風雨だけが激しく、わずかにたばこ1、2服する間ぐらいでほどなく止み、快晴となる。もっとも前日22日申刻(午後3時)頃、少し雷鳴がすることがあったが、この前後10日ほどは毎日晴天の穏やかな空模様で、23日晩には前代未聞の大荒れの天気となり、人の噂ではこれは竜の天上(竜巻)だと皆が恐れる。真実かどうかは怪しいことである。一 笠松村へ7、8町(1町は約100メートル)ある西田代村氏神八幡宮境内の神木の松、その他雑木が…