嘉永6年(1853)6月末日、阿蘭陀(オランダ)の商船が長崎に入港する場面から始まり、明治17年(1884)4月、お慶が中庭の彼方の空を見上げ、遠くで海の音が鳴るのを聴いている場面で終わる。お慶とは、長崎の油屋町で菜種油を商う大浦屋を継いだ女主。 この小説は幕末から明治初期という時代の転換期に長崎商人として進取の気性を発揮してその時代を駆け続けた女商人の一代記。併せて大浦屋お慶の生き様がこの時代の転換期に活躍した人々と深く関わりを持つ。そのプロセスを通じて、幕末から明治初期の社会情勢を鮮やかに切り取っている。 勤王・佐幕の両極の立場で時代の転換に関わった人々の視点から描かれたものとは違う側面…