ほとんど一緒に暮らしたことのなかった、父親、ただ一つの教えは、「他人様に迷惑をかけるな!」だった。 自分のこと棚上げにしてよく言うよ、なんて反発はしなかった。恐れていたわけでも信頼していたわけでもない。 胆に銘じるなんてこたぁ全然なかったが、今にして思うと、思いのほか生きる指針として居座っているいることに驚く。 俺だけじゃない。この「他人様に迷惑をかけるな!」の人生訓は、日本人全体にけっこう広く行き渡った身の処し方なんじゃないかねぇ。 自己責任なんてものが、人々のこころにしっかり根付いているのもまさに、この処世訓の浸透を意味してると思うのよ。 精一杯働き、その稼ぎの範囲で満足する。年取ったり、…