世界の文明と文化を理解していく上で、その根っ子の部分には宗教が厳然と存在している。宗教について基本的な事を知っていないと人々の行動の背景や価値観などを理解できないし、文化が適切には理解できないと言われる。『孫子』の謀攻篇に「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」という名言がある。これはここでの文脈にも通じることだろう。 そこで問題となるのが、本書の「まえがきにかえて」の一文中の小見出しになっている「宗教音痴の日本人の常識は、世界の非常識」である。 手軽に「無宗教」という言葉を使う。その言葉が他の国々の人々にはどのように受けとめられるかを気にかけない。その危うさをまず理解することが重要…