阪神淡路大震災30年の今年1月17日に封切られた映画『港に灯がともる』を、京都の出町座で見てきた。 ことばになる前のため息、うめき、あえぎ、泣きじゃくりながら話される、音節のさだかでないことば、意味をまとうまえの原初的な叫び、そのようなものが聞こえてくる映画だった。 はっきりと言語化できるならば、もはや苦しみの半ばは解決されているのかもしれない。ことばとして分節される前の、声にならない声に、いかにして耳をすませ、耳を傾けるかを問われているような気がした。 冒頭、泣きながら、つかえながら自分の悩みを語る灯さんがアップになるが、耳を傾ける人は映らない。ときおり、低く相槌を打つのが聞こえるので、誰か…